2023年秋に、情報処理推進機構(IPA)が主催する応用情報技術者試験(AP。以下、応用情報) に今回初挑戦し、合格したものの...
試験勉強にあまり時間を割けなかったため、点数が低く、自分の理解度としても不安が残る結果となりました。
そこで試験に臨むまでの自分を改めて振り返り、反省しながら試験の復習をしたいと思います。
本記事がどなたかの参考になることがあれば幸いです。
前提
受けた試験について
令和5年度秋期試験 応用情報技術者試験(AP)
- 午前の部 150分 選択式問題(四肢択一) 80問
- 午後の部 150分 記述式問題 大問11問から5問選択(1問目は全員必須)
筆者について
- 文系卒IT未経験
- 入社後の部署研修で洗礼を受け、OJTを経てバリバリIT部署で実働丸4年に満たない程度働く(現在進行形)
- 入社1年目の秋に基本情報技術者試験(FE)を受験、なんとか合格
- 主な技術分野
- IoT, AI, Webサイト構築
- 言語: Python, Web系(HTML/CSS/Javascript, Typescript, Vue.js)
- その他必要に応じて広範囲に触ります
- プライベートはバリバリITしてない...
- 家事育児に追われ勉強時間がない...
なぜ受験したか
- IT分野の知見を深めるため
特にIT未経験にとってネックとなるのが、技術者にとって「常識」と言えるような知識がどうしても後付けになってしまうところだと感じています。実務で扱う技術分野だけではその「常識」が限定されてきたり偏ってしまうところも。
応用情報は広くIT分野をカバーしており、また試験内容も継続的にアップデートされるため、自分にはうってつけでした。基本情報の試験勉強では身に付かなかった部分のおさらいも含め、改めてITと向き合おうと考えました。
- キャリアの評価に使えるため
国家資格であり、実務に役立つ知識が豊富な応用情報は、自分のレベルを示すのに良い指標になると思います。(結果、点数は低かったですが...)
- 頑張りたかったため
自分は育休等で合計2年ほど仕事を休みました。焦りを感じる一方で、仕事復帰できたことは喜びでした。限界を感じる場面も数限りない中、何か成長につながる努力をして達成感を得ることが精神的にも良いと考えました。
どんなふうに準備したか
自分の場合プライベートは家事育児に追われ、机に向かう時間はほぼないに等しいです。
受験を決めた直後は数年前に買った書籍を最初のページから読み始めていましたが、不得意なアルゴリズムは就寝前の勉強ではすぐに眠たくなり進捗が悪かったです。
そこで、家事や夜泣きの対応をしながらでも勉強できるよう、動画ベースで学ぶことに切り替えました。自分の場合、結果的にこれが合格への近道になりました。
まずは石田宏美さんがUdemyで公開されている応用情報試験対策の講座を午前・午後それぞれ購入し、午前向けの講座から進め、午前の出題範囲を一旦網羅してからは、無料で過去問が解ける「応用情報技術者試験ドットコム」を利用しました。
午後対策は1週間前に開始し、講座はほとんど未視聴でしたが、午前の知識がベースになっていることから、過去問の解説と知識のフォローでギリギリ合格という結果でした。また数年前に買った書籍は、終盤での知識のフォローや確認に利用しました。勉強ノートの作成はその頃、定着していない知識の学び直しと整理のために行いました。
結論としては、試験準備の手法自体はこれで良かったですが、スケジュールについては全くお勧めしません。もっと早くに始め、勉強時間を増やすに越したことはありません。
以下の章で具体的にどうだったかを記します。
試験まで: 午前
上で紹介したUdemy講座の視聴開始は試験3ヶ月前と少しスタートが遅れました。講座の内容は本よりもかなり噛み砕いて説明されており、またイメージが湧きにくい技術分野などは実演もあったりとかなり助かりました。再生速度を早め、わからないところは何度も視聴し進めました。1日にしっかり聞ける時間は1時間ほどで、勉強できない日も多かったため、1ヶ月後に確認した時の講座の終了度は2/3ほどでした。
その後モチベーションが下がり中弛みしたり、試験日を10月後半と勘違い(実際は10/8)したりということが重なり、午前の過去問を解き始めたのは試験1ヶ月前を切っていました...。
ここで気合いを入れ直したものの、午前の過去問80問を通しで1日1回ペースでできる時もあればできない時もあり、過去問は結局7回分通しで行いました。
午前は過去問の数をこなすことが肝と言われており、決して多い回数とは言えないですが、結果いくつも見覚えのある問題が出たので、見直しておけたのは良かったです。最初の過去問(令和5年春)の点数は50%を切っていて軽く絶望しましたが、終盤は70%を超え、試験では自分の中では最高点でした。
この時点でまだノートは作っていなかったです。
試験まで: 午後
午後は11の大問から5問選択(1問目のセキュリティは必須なので実質自分で選ぶのは4問)というトリッキーな形式です。
ここで事前にどの問いを選ぶかしっかり考えていたのも功を奏しました。
午前はとにかく問題を解くのが力になりますが、午後の場合は11問全てを網羅するのに時間がかかりすぎるため、早めに自分の得意分野の検討をつける必要があります。
手始めに、石田さんのUdemy講座に含まれていた午後問ショート版を11問分こなして雰囲気を掴み、その後は過去問1回分しかやりませんでした...。
ノートを作ったのはこの頃、いまだに自分の中で曖昧だった概念のみに絞ってあいうえお順で定義や図を書いて整理しました。
選択問題の検討方法
こちらの記事を参考にしつつ、自分の実際の正答率を見て見当をつけました。記事内では、過去の正答率が高めの分野とその分析、また文系・理系と時間の余裕の有無に応じておすすめの科目を一覧にしてくださっています。
おすすめの分野は、上記記事で以下のようにありました(引用):
正答率が高いのは、「3.プログラミング」「5.ネットワーク」「7.組込みシステム開発」「11.システム監査」です。
「3.プログラミング」は得意な人しか解かないからという側面が強そうですが、残りの3つは好き嫌いが分かれる分野でもなさそうなので、おすすめできるかと思います。
正答率が低いのは、「6.データベース」「9.プロジェクトマネジメント」「10.サービスマネジメント」です。
計算問題を避けて解いたら撃沈、というパターンが多そうなので、過去問から得意だという自信が得られていない限りは、安易な選択は避けた方が賢明かと思います。
上記などを加味し、個人的には大まかに以下のような判定をつけていました。
おすすめされていないサービスマネジメントを入れているのは、自分の中では手応えがあったからです(結局選んでませんが...。)
また、順位づけはどちらかというと「国語系」などの分野分けになっています。同順位がいくつもあり5つに絞られていないのは、試験本番で「だめだ!」となったときに別の選択肢を残し焦らないようにするためです。実際、試験では優先順位2のシステム監査がかなり難しく感じられるなどの予想外がたくさん起き、結果的にこの対策でOKでした。
分野 | 順位づけ | 備考/自己評価 |
---|---|---|
問1 情報セキュリティ | 1 | 必須 |
問2 経営戦略 | 2 | ぼちぼち |
問3 プログラミング | × | 数式苦手 |
問4 システムアーキテクチャ | 5 | わからないところもあるが時間をかけずに解けた |
問5 ネットワーク | 5 | わからないところもあるが行けそう |
問6 データベース | × | 専門ではないのでやめておく |
問7 組込みシステム開発 | 4 | 計算が苦手だがデバイス周りがある程度わかる |
問8 情報システム開発 | 4 | いけそう |
問9 プロジェクトマネジメント | × | ぼちぼち。国語力が必要 |
問10 サービスマネジメント | 2 | ぼちぼち。国語力が必要 |
問11 システム監査 | 3 | 間違うがいけそう。時間を残せた |
試験: 午前
時間管理は過去問対策である程度掴めていたので普段通り進められました。
結果は テクノロジ系 > マネジメント系 >ストラテジ系 の順に点が取れていました。
試験当日のポイントはこのあたりかな、と思います(私見ありです)。
- 1問目はかなり難しいことが多いので、解けなくても焦らない
- 前半の問題の方が解くのに時間がかかる。後半はスムーズに進むので残り時間を見て焦らない
- 数問分をまとめて答案に書き込む(塗り潰す)。答案がずれていないか注意する
- わからない問題は見切りをつける
- わからなかった問題には後で見直せるようマークをつける
- 自分が選んだ選択肢に丸をつけておく(家で答え合わせできるように)
試験: 午後
結果的には以下の大問を選んで提出しました。
- 問1 情報セキュリティ(必須)
- 問4 システムアーキテクチャ
- 問5 ネットワーク
- 問8 情報システム開発
- 問9 プロジェクトマネジメント
絶対にやるつもりでいたシステム監査がなかったり、解かないつもりだったプロジェクトマネジメントを選ぶなど、大波乱が起きたことを感じ取っていただけるかと思います...。
150分の間で大問それぞれの配分は30分です、長く感じますが実際に解いてみるとあっという間です。150分間で何をしたか、かなり生々しいですが、以下に記録としてあえて残したいと思います。
こんな試験当日は嫌だ...と反面教師にしてください。
〜試験開始〜
問1 情報セキュリティ
手応えは良くないが答案用紙を埋め30分で区切って次に進む
↓
問11 システム監査
中途半端なところで答案記述を開始してしまったせいで、自分の推測が入り込みすぎてしまい、
答えの見当がつかなくなってしまうというかなり辛い状態に。
文章がまとまらないまま30分が経過し次に進む。
焦りが本格的になり、いわゆる国語系が怖くなる
↓
問4 システムアーキテクチャ
悪くない手応え
↓
問2 経営戦略
一問目でつまづいたため切り捨てる
↓
問5
手応えはあまりないが回答は埋める
↓
問7 組込みシステム開発
チラ見して感覚で切り捨て
↓
問8 情報システム開発
まあまあ解けた
↓
問9 プロジェクトマネジメント
残り10分の中でなんとか回答を埋める。
6問解いたので問11を切り捨てることに
〜試験終了〜
前半の絶望をなんとか気合いで押し進め、60点台のギリギリラインで合格でした。当時は、ひとまず答案は全て埋めたが、落ちていても何らおかしくないと考えていましたし、今もそう思います。
試験中の絶望のきっかけは「問11 システム監査」で全体を読んでから問題を解き始めることを心がけていたにも関わらず、「わかりそう」と早合点し解こうとした結果、問題のコンテキストと自分の考えが混ざってしまい、求められている回答がわからなくなったところです。
なぜそんなことになったかというと、「問1 情報セキュリティ」で手応えがなかったことが影響していると思います(+性格)。そのさらに根本原因は、やはり午後の試験対策にかけた時間が圧倒的に少なかったから、と言えるでしょう。手応えを感じないのも、勉強不足ゆえかと思います。
こんな人間があえてポイントを挙げるとすれば以下かと思います。
- 問題は最後まで読んでから解く
- 解けそうな問題を探す
- 時計を見る。ある程度時間をかけたら割り切って進む
- 選択問題のあたりは4問より多くするのがおすすめ
全体を振り返って
事情があったとはいえ、試験対策そのものにかけた時間が少ない、またモチベーションのコントロールができなかったことなど、反省点は山盛りです。
実務で不足した知識を補うことが一つの目的ではありましたが、結果的に実務経験などの別の力にも大いに助けられた結果となってしまいました。
未終了のUdemy講座からの通知が鳴り止まないので、この後も勉強を続けたいと思います。
利用したリソース
Udemy
- 現役講師が教える【応用情報技術者試験 午前版】講座 合格に必要な知識の徹底解説+過去問題解説(講師:石田宏美)
- 現役講師が教える【応用情報技術者試験 午後版】講座 合格に必要な知識の徹底解説+過去問題解説(講師:石田宏美)
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