はじめに
第1回で基礎を整理したので、今月からは、8月にあったAIの動向をいくつかピックアップして短くまとめます。
本記事では「詳しい解説」ではなく、
周囲の会話に置いていかれないためのメモです。
今月の印象
8月を見ていて一番感じたのは、新しいモデルだけでなく、
「ローカルで動かす」「ブラウザ上で作業をする」「声で頼む」のような、
チャット以外の使い方の話が多かったことです。
公式発表の中から気になったものを挙げていきます。
AI全体
Metaの Muse Glimmer
8月10日、Metaが Muse Glimmer を出しました。
ChatGPTなどは、ネット先のサーバーで動かす使い方が中心なのに対して、
Muse Glimmer は、ローカルに入れて動かすことを意識して設計されたモデルです。
Apache 2.0 という、商用利用や改変、再配布が原則無料で認められているライセンスなのも特徴です。
AI導入をしたいが社内のソースコードや文書の情報漏洩を懸念する、
企業のニーズにも応えられるものが登場したという印象を受けました。
参考: Introducing Muse Glimmer | Meta AI Research
Googleの動画生成など
Googleは8月のまとめ記事で、Gemini Omni 1.1 Flash の動画生成や、
Geminiアプリの月間利用者数が10億人を超えたことなどに触れています。
文章だけの話ではなく、画像・動画・音声の生成も広く普及している、くらいに見ておけばよさそうです。
参考: The latest AI news we announced in August 2026 | Google
Grok 4.6
8月12日、xAI(SpaceXAI)が Grok 4.6 を出しました。
Grokは、ChatGPT / Claude / Gemini に並んで名前が出やすい、主軸以外のLLMのひとつです。
公式の説明では、前の Grok 4.5 を土台に、
長い作業を続けられるエージェント用途や、コーディング、調査、資料作成寄りを強めた、とされています。
文脈として扱える量は最大50万トークンで、
テキストと画像を入れて、テキストで返すモデルです。
使える場所も、チャット画面だけではありません。
公式では Cursor や Grok Build、API、ほか連携先でも使える、と案内されています。
開発ツール側でも選べるモデルが増えた、くらいは押さえておくとよさそうです。
LLM(サービス側)
ChatGPT
8月6日、OpenAIがChatGPTを更新しています。
Plus / Pro 向けには、回答にどれだけ時間をかけるかを選ぶスライダーが追加されました。
Free 向けには、テキストチャットが無制限になり、難しい質問用の Think ボタンも足されています。
ただしファイルや画像などには、まだ別の制限があるそうです。
裏で動くモデルの話は、下の Model の節で分けて書きます。
参考: Improving GPT-5.6 Sol in ChatGPT—and expanding access to GPT-5.6 Luna for free users | OpenAI
Claude
8月26日、Claude in Chrome が有料プラン向けに一般公開されました。
Chromeの中でページを見たり、クリックしたり、入力したりできる、というものです。
要するに、「答えるだけ」ではなく「ブラウザ上で手を動かす」側に寄っています。
便利そうな反面、ページに仕込まれた怪しい指示(プロンプトインジェクション)への対策にも、
公式がかなり紙幅を割いているのが印象的でした。
参考: Claude in Chrome is generally available | Anthropic
Gemini
Gemini Live では、予定やメールの確認、音声での受信トレイ操作など、
声で頼んで作業を進める方向の更新が出ています。
Geminiは引き続き、Googleの日常ツールとつながる話が多い印象です。
参考: Get more done with Gemini Live | Google
Model(中身のバージョン)
GPT-5.6 Sol / Luna
上で書いたChatGPTの更新は、画面の機能だけでなく、モデル側も変わっています。
今回は、
- GPT-5.6 Sol:Plus / Pro向け。今回はチャット用Solが更新された
- GPT-5.6 Luna:Free向けの新しい既定。前の既定は GPT-5.5 Instant
対話型のチャットで使うSolは、答え方の簡潔さや事実の正確さ、
考える量の調整しやすさが改善された、と公式は説明しています。
一方で、ChatGPT Work や Codex で使うSolは、今回は変わっていません。
同じ名前でも、使う場所によって中身が違うことがある、と覚えておくとよさそうです。
参考: Improving GPT-5.6 Sol in ChatGPT | OpenAI
Gemini 3.7 Flash
8月中旬、Googleが Gemini 3.7 Flash を出しています。
コーディングやエージェント向けの、速く回す系のモデル、という説明です。
3.6 Flashから約3週間での更新で、価格も抑えめにしています。
3.7 Flash は、ひとつ前の 3.6 Flash より、
コード・エージェント・実務作業を強くして、安く回しやすくした更新、と公式は説明しています。
参考: Gemini 3.7 Flash を発表 | Google
おわりに
9月のまとめも、今回と同じように書いていけたらと思っております。
現時点でも、気になる動きはすでに出ています。
ひとつは、Anthropic の Dario Amodei CEO が、
AIモデルの能力を上げるペース自体を落とすべきだ、と呼びかけたことです。
もうひとつは、OpenAI が GPT-6 Astra を出したことです。
新しい世代のモデルとして名前が出始めていて、9月号でも触れたいと思っています。
参考:
We Must Pace the Frontier | Dario Amodei
GPT-6 Astra: A new generation of intelligence | OpenAI




