AI時代に「コロナ前の働き方」を続けると埋もれる——業界の変化と最初の2年の指針
本記事の主張
AIの普及で「自然言語からコード生成」が当たり前になりました。これは “書き手”の価値の低下を招く一方、設計・検証・運用まで含めた “見抜く目と判断”の重要度を引き上げます。
本稿は、SE業界の全体的な変化を俯瞰し、新人が最初の1〜2年で進むべき方向性を準大手SIerで副部長をしてた立場から示します。
細かな製品名や固有技術の深堀りはしません。
いまSE業界で起きている構造変化(要点)
- AIの常用化:自然言語→コード生成が一般化。「まずAIに書かせてから直す」を標準手順に【する方法を模索している】。
- 技術の高度化・多様化:フロント/バック/データ/運用が密接に絡む。単一レイヤ専業では価値が薄くなりやすい。
- 個人の担当範囲の拡大:自動化基盤の整備により、要件〜運用改善までを小さなチームで回すケースが増加。
- 内製化の加速:ソフトウェアを自社の中核資産として抱え、知識・意思決定を外に出しっぱなしにしない流れ。
この流れの中で、 「指示待ちでコードだけ書く役割」 は急速に縮小します。
逆に、 仕様を言語化し、AIを活用し、成果で語る役割 が拡大します。
変化と求められる姿勢(対応表)
業界の変化 | 現場で起きること | 新人に求められる姿勢 |
---|---|---|
AIの常用化 | 雛形・CRUD・テストの自動生成が前提 | AIに説明できる言語力と、出力を評価・修正する目 |
高度化・多様化 | レイヤ横断の連携が必須 | 得意軸を持ちつつ隣のレイヤに手を伸ばす姿勢 |
担当範囲の拡大 | 小チームで要件→運用まで回す | 設計→実装→観測→改善を通しで経験する意志 |
内製化の加速 | ビジネス指標との結びつきが強化 | 「工数」ではなく**成果(指標)**で語る習慣 |
「AIがあるならプログラミング不要?」への実務解
AIは出発点を早める道具です。コードの雛形やテスト、ドキュメントすら生成できます。
しかし、現場の品質は次の要素で決まります。
- 設計の妥当性:責務分割・境界・副作用の封じ込め。
- 正しさの検証:境界条件、例外、並行性、データ一貫性。
- 運用上の健全性:可観測性(ログ/メトリクス/トレース)、コスト、SLO。
AIが吐いた数万行を短時間で査読し、危険箇所に気づける理解力は、プログラミングやソフトウェア設計の基礎が支えています。
結論:「AIだから不要」ではなく「AIがあるからこそ基礎が試される」。
新人が最初の2年で磨くべき3つの軸(方向性)
1) 説明力:仕様と意図を言葉にする
要件・制約・受け入れ条件・例外を文章で説明できること。AIへの指示もレビュー依頼も、まずは言語化から始まります。
2) 結果で語る姿勢:数字と事実で会話する
「速くなった」「安定した」を計測や事例で示す習慣。レイテンシやエラー率、運用負荷など、何で良くなったのかを説明できると信頼が跳ね上がります。
3) スコープを広げる意志:隣のレイヤに手を伸ばす
得意領域を起点に、隣接するレイヤ(例:設計→実装→テスト→運用)へ一歩ずつ踏み出す。横断理解があるほど、AIの活用も効果的になります。
学び方の原則:AIを相棒に、短いサイクルで回す
長大な教材を順にこなすより、小さなテーマを決めて短いサイクルで反復する方が伸びます。
具体的には、次のような流れを日常のリズムにします。
- 意図と条件を文章化(何を満たせば成功かを先に書く)
- AIに雛形を生成(コード/テスト/説明を含めて出させる)
- 実行して検証(失敗・遅延・抜けを観測し、根拠とともにAIへフィードバック)
- 危険箇所は自分で確定(並行性・一貫性・境界条件など)
- 学びを短く記録(次回の自分とチームの速度を上げる)
このサイクルは、教材学習にも現場タスクにもそのまま適用できます。
ポイントは、常に“AIと数字で会話”することです。
よくある誤解とリフレーミング
- 「AIが完璧に書くはず」 → 生成は出発点。検証と設計で品質が決まる。
- 「最初から何でもできる人材が強い」 → 広げる順番が大切。得意軸×隣接一歩の積み重ねが最速。
- 「受託(SES)だから成長できない」 → 契約形態より姿勢。意図を言語化し、改善を数字で語る人は場を選ばず伸びる。
まとめ:あなたのレバレッジを最大化する
- 業界は、AI常用・多様化・担当範囲拡大・内製化の4点で変わった。
- 新人は、説明力/結果で語る姿勢/スコープ拡張の意志を最初の2年で磨こう。
- AIは“相棒”。短いサイクルで会話し、基礎理解で出力の質を押し上げる。
コロナ前のやり方を続けても、もはや評価は上がりません。
“AI × あなた”の組み合わせで、チームの速度と安全を底上げする人になる。 その第一歩は、今日のタスクを言葉と根拠で進めることから始まります。
ちなみに、アタナタに教えてくれる先輩社員はコロナ前の働き方しか知らない人なので、気をつけてください。
「聞くな」ということではなく、聞いた上で判断しましょう。