この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2018の17日目のエントリーです。
はじめに
まず、以下がざっくり私が現在置かれている状況です。
- SIerで新規プロダクト開発のPO兼スクラムマスター
- スタートアップでプロダクトチームのリーダー
いずれも試行錯誤で日々失敗の連続を繰り返してる真っ最中です。
そんな中でも常に意識していることがあります。
それが良いチームとは何か、そして良いチームであり続けるために何が必要かです。
この記事では、良いチームとは何か、そして良いチームであり続けるために何が必要かについて自分なりに考えていることを書いてきます。
チームとは
まずはチーム
について考えていきます。
個人的には「いま話題の「心理的安全性」について、本気出して科学的に分かりやすく説明してみた」にある以下引用部分が非常にしっくり来ています。
「チームとは、人々が互いに新しいアイディアを生み出したり、互いに答えを見つけたり、互いに問題を解決したり、するための活動である。」(2012, Edmondson)
これが、チームが「動詞:チーミングだ!」と彼女が主張する、その意味です。
つまり、チームとはチーミングする集団
であり、さらにこのチーミング
を自分なりの言葉にすると、互いに成長し続け、常により良い成果を挙げ続けること
と考えています。
よって、チーム
とは互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団と考えています。
次項以降で、互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団をもう少し深掘りしてみます。
成果とは
前項ではチームを互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団としました。
次に成果
とは何か、ここについて考えてみます。
「成果(セイカ)とは - コトバンク」を見ると、
あることをして得られたよい結果
こう書かれています。
ではよい結果
とは何でしょう?
短期的に見れば利益が上がることもよい結果でしょうし、働く人が幸せになることが中長期的に利益に繋がればそれもよい結果だと思います。
非常に定量化することが難しく、一言では言い表すことが難しいものです。
またしても「いま話題の「心理的安全性」について、本気出して科学的に分かりやすく説明してみた」の引用になりますが、
過去の成功事例や、偉い人の書いたマニュアル通りにやればオールオッケーなチーム(実行志向のチーム)は減っていて、「不確実性と難度の高い挑戦」が求められるようなチーム(学習志向のチーム)が、増えてきているのではないでしょうか。
上記を自分なりの言葉にすると、中長期的に何が成果になるのか以前にも増してわからなくなっている
です。
こうなってくるともはや一般的な成果
を何かしらの言葉で一括りにすることは無理なので、組織ごとにOKR、KPI、KGI等色々な数値をもとに成果を定量化しているという流れになっていると捉えています。
また、組織ごとに成果を定量化したとしても、それは常に変動していくものであり、都度見直していく必要があるものとも考えています。
つまり、成果とは
- 画一的なものでない
- 流動的なものである
の2点が言えると考えており、自分なりの言葉にまとめると現時点で最良と思われる結果の指標であると考えています。
チームであるためには
チームの話に戻ります。
前項ではチームを互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団としました。
より良い成果を挙げ続けることが出来なければそれはチームではないわけですが、上記に記載した通り成果
とは組織ごとに個別に決めていく必要があります。
つまり、チームであり続けるためには何らかの方法で成果を定量化し続けていかなければならないと考えています。
ではどのように成果を定量化していけば良いのか?
こちらについてはあまりにも範囲が広すぎるのですが、少なくとも観点のひとつとして、メンバーが成長し続けているか
を含める必要があると考えています。
もちろん成長した結果が組織に貢献していなければ組織としては意味がないわけですが、さきほど成果を現時点で最良と思われる結果の指標
とした通り、何が組織にとって貢献になるのかさえ可変的で不明瞭になっていきていると考えています。
ここまで来ると、成果とは何かを常に考え続ける必要はあるにしても、少なくともメンバーが成長し続けていればそれは成果の一つとして捉えて良いのではないか
という答えが自分の中で出てきます。
つまり、メンバーが成長し続け、成果とは何かを常に考え続けることがチームであるための条件だと考えています。
メンバーが成長し続けるためには
前項では前項ではメンバーが成長し続け、成果とは何かを常に考え続けることがチームであるための条件としました。
とすると、メンバーが成長し続けているかを見る必要があるので、本項ではそこについて考えていきます。
まず、成長とは何か?
「成長(せいちょう)とは - コトバンク」
生物が卵から成体へと刻々と変化している間に,大きさ,重量を増していく現象。もちろん一時的な水分の添加などによる変化は意味しない。この間,細胞の増殖を伴う。この現象において形態の変化を伴うが,その点を主眼点としてみる場合は発生という。生長とも書き,使い分けは明確でない。また発育という語との区別も一応のものである。
こう書いてあります。
わかりづらいですが、これを自分なりの言葉にすると、何かしらがインクリメントされる
です。
これでもまだふんわりしているので、何かしら
をいくつか列挙していきます。
- プログラミングスキルが向上した
- 設計力が向上した
- 業務スピードが向上した
- 高い視座で考えられるようになった
- 今まで悩んでいたことが解決された
- 他のメンバーに言えなかったことが言えるようになった
- etc...
少し挙げるだけでも非常に多岐に渡り、それぞれ個別に見ればある程度定量化することは出来ますが、これらの指標を全て定量化して成長を判断するのは非常に難しいと考えています。
そうなると、自分自身で成長出来たと実感出来たか
が重要になってくると考えています。
では、どうすれば自分自身で成長出来たと実感出来たか
を測ることが出来るのか?
私なりの答えは振り返り
に尽きます。
何かしらがインクリメントされたかどうかを測るためには、過去と今を比較することが不可欠で、そのためのツールとして振り返りは最も強力で唯一のツールだと考えています。
その振り返りにも種類がありますが、個人的に行っているのは
- 日々の日報で1日を振り返る
- スプリントレトロスペクティブで個人、チームとしてのKPTを振り返る
- 1on1で個人だけでは気付けない部分を振り返る。
の3つです。
3つ以外でも振り返りの方法はたくさんあると思いますが、方法はともかく短いサイクル
で振り返ることが重要だと考えています。
人間は非常に忘れやすい生き物だと思うので、感覚が広がれば広がるほど過去のことを忘れてしまいます。
そうなると過去と今を比較
がしづらくなってきてしまいます。
もちろん短すぎると成長の実感があまり出来ず振り返りの効果が薄れてしまいますが、いずれにしても振り返り
を行わない限りメンバーの成長を測ることは出来ないと思います。
よって、短いサイクルで振り返りを行うことがメンバーが成長し続けるために必要がことだと考えています。
良いチームとは
前項では短いサイクルで振り返りを行うことがメンバーが成長チームであるための条件としました。
前項まででチームであるために何が必要かを考えたので、本項ではその先にある良いチームとは何か
について考えていきます。
しつこいようですが、良い
とはどのようなことを指すのか、「良い - コトバンク」を見ると、
人の行動・性質や事物の状態などが水準を超えているさま。
こう書かれています。
つまり良い
とは何かと比較して、その比較対象より優れている
状態と考えています。
ここで、良いチーム
について改めて考えてみます。
- 良い
- 何かと比較して、その比較対象より優れている
- チーム
- 互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団
上記がそれぞれの解釈なので、チームに対して何かしら比較対象を設け、それと比較した結果優れていれば良いチームであると言うことが出来ます。
では何を比較対象とすれば良いのか?
私の中の答えはチームの成長度合い
です。
まず、成果について、画一的でなく流動的なものとしました。
そして、その成果はチームの構成要素のひとつであるため、チーム自身も画一的なものにはなり得ないとすることが出来ると考えています。
とすると、比較対象を外部にすることには無理があり、チーム内部で何かしらを比較する必要が出てきます。
次に、チームであるためには成長し続けている必要があるため、以前と今の力の比較は良いかどうかよりも手前の話になります。
外部と比較出来ず、以前と今のチームの力とも比較出来ないとなると、残るは成長度合い
しか思い浮かぶものがありませんでした。
つまり、私の中で、良いチーム
とは、成長し続けるだけでなく、成長度合いを指数関数的に伸ばしていけるチームであると考えています。
良いチームであり続けるためには
画もなく文字ばかりになってしまいましたがそろそろ終盤です。
前項では、良いチームを成長し続けるだけでなく、成長度合いを指数関数的に伸ばしていけるチームとしました。
本項ではどうすれば成長度合いを指数関数的に伸ばしていけるチームになれるのか、またあり続けられるのかについて考えていきます。
指数関数的に伸ばしていくためにどうすれば良いのかを考える上では、「エクスポネンシャル思考」が非常に参考になりました。
上記書籍を簡潔にまとめることは非常に難しいのですが、私なりに指数関数的に伸ばしていく
ために必要な要素を簡潔にまとめると、
- 常に今を疑う
- ムーンショットな目標を掲げる
- あえて曖昧にする勇気を持つ
- 外部の人を積極的に活用する
- 目先のことにとにかく熱中する
- 素早く実行し、小さな失敗を繰り返す
このあたりがポイントになると考えています。
上記ポイントのそれぞれを自分なりにチームの活動に置き換えると、
- 常に今を疑う
- 「普通は」「常識的に」「当たり前に」という言葉を絶対に使わない
- ムーンショットな目標を掲げる
- 「出来ない言い訳」よりも「どうすれば出来るか」を真っ先に考える
- あえて曖昧にする勇気を持つ
- ジョブディスクリプションだけに囚われない
- 外部の人を積極的に活用する
- 人の入れ替えだけでなく、ハンガーフライト等の交流で常に新しい風を入れていく
- 目先のことにとにかく熱中する
- やることとやらないことを明確にする
- 素早く実行し、小さな失敗を繰り返す
- 短いサイクルでスプリントを回す
このようになりました。
つまり、これらのことを達成することが出来れば、成長度合いも指数関数的に伸ばしていくことが出来るのはないかと考えています。
前項までは自分なりに一言でまとめてきましたが、本項の良いチームであり続けるためには
を一言でまとめることはできないため、上記をまとめとさせて頂きます。
まとめ
ひたすら文字だけの投稿になってしまったので、一応各項をまとめておきます。
チームとは
互いに成長し続け、より良い成果を挙げ続けることが出来る集団
成果とは
現時点で最良と思われる結果の指標
チームであるためには
メンバーが成長し続け、成果とは何かを常に考え続ける
メンバーが成長し続けるためには
短いサイクルで振り返りを行う
良いチームとは
成長し続けるだけでなく、成長度合いを指数関数的に伸ばしていけるチーム
良いチームであり続けるためには
- 「普通は」「常識的に」「当たり前に」という言葉を絶対に使わない
- 「出来ない言い訳」よりも「どうすれば出来るか」を真っ先に考える
- ジョブディスクリプションだけに囚われない
- 人の入れ替えだけでなく、ハンガーフライト等の交流で常に新しい風を入れていく
- やることとやらないことを明確にする
- 短いサイクルでスプリントを回す
さいごに
自分なりに普段からなんとなく考えていたテーマでしたが、ここまで言語化して考える機会は今までありませんでした。
言語化したとは言ってもまだまだわかりづらく、間違っているところも多々あると思います。
ここはおかしい
ここは間違っている
等ありましたらぜひご意見頂けますと幸いです🙇
良いチームを成長し続けるだけでなく、成長度合いを指数関数的に伸ばしていけるチームとしましたが、自分自身も指数関数的に成長していくという強い想いを胸に、平成最後の残り数日を、精一杯生きていきたいと思います。