FileMaker Data Migration Toolとは
FileMaker Data Migration Toolとは、Claris社から提供されている、FileMakerのデータ移行を行うためのツールです。
FileMakerで作ったシステムをバージョンアップさせる際に、とても便利に使えるツールでしょう。
紹介内容
今回はマイグレーションを行うための作業環境について、オススメの構成があるため、紹介します。
構成
FMDataMigration・・・マイグレーションを行うためのプログラム
新本番.fmp12・・・新しく使おうと考えているFileMakerファイル
旧本番.fmp12・・・これまで使っていた、実際のデータが入っているFilemakerファイル
doneフォルダ・・・マイグレーション作業で出来上がるFileMakerファイルを格納するフォルダ
公式用語との紐付け
FileMaker Data Migration Toolを利用する際に、ファイルの名称に混乱してしまうケースがあるように思います。
ソースファイルって何? クローンファイルって何? という疑問が出てくるのではないでしょうか。
今回のファイル構成と対比してみましょう。
/var/folders/qq/t2scl2cn0rg6kl0lbs99yljc0000gt/T/com.evernote.Evernote/image.png
まずは「旧本番」ファイルです。これはリリース前の状態でいえば、今まさに本番で稼働しているシステムのファイルのことです。
データ(ソース)が日々登録されたり更新されたりしているファイルです。
FileMaker Data Migration Toolでは、それを 「ソースファイル」 と呼びます。
「データ=ソース」と考えると、このあとの流れもスムーズに理解できると思います。
つぎに、「新本番」ファイルです。これは、プログラムやレイアウト表示、データベース構成、アカウントなどを最新にしたものです。
開発環境がある方ならば、開発環境で開発を行い、完成させた「これをリリースするぞ」ファイルを指します。
FileMaker Data Migration Toolでは、それを 「クローンファイル」と呼びます。
クローン? 複製? 何の複製物? という感じで、日本人にはピンと来ないネーミングかもしれません。
「ソースファイルがデータだったから、こちらはデータベースやスクリプト等の構造系のことだ」と覚えるとわかりやすいでしょう。
このようなコンビネーションとなりますので、FileMaker Data Migration Toolの操作を文字にすれば、「ソースファイル」に入っているデータを取り出して、「クローンファイル」に入れ込むよ。 ということになります。
「データ」について厳密には、各レコードの情報以外にも、アカウント情報や、シリアル値の「次の値」そしてインデックス情報なども含まれ、移行対象となっています。
ソースファイルが 「中身」
クローンファイルが 「箱」
と捉えればよりわかりやすくなるでしょう。
オススメ構成のポイント
以下の2つのポイントがあります
・コマンド文を記述する際に内容をシンプルにできる
・マイグレーションした後のファイル名を実際に使う時の名称と同じにできる
内容は地味なようですが、実務としてはラクになると思います。
シンプルイズベストです。
コマンド文
FileMaker Data Migration Toolは、ターミナル上でコマンドを入力して実行します。
今回のオススメ構成における、コマンド文は以下になります。
前提条件
新本番.fmp12、旧本番.fmp12 共にファイルにアクセスするための
- アカウント名は test
- パスワードは xxx
とします。
また、コマンドを実行する際には、FileMaker Data Migration Toolを入れたディレクトリまで移動しておきます。今回の例でいえば、「作業フォルダ」の中に移動しておくことになります。
./FMDataMigration -src_path 旧本番.fmp12 -src_accounts test -src_pwd xxx -clone_path 新本番.fmp12 -clone_accounts test -clone_pwd xxx -target_path ./done/本番.fmp12
このコマンド文を実行することで、doneフォルダに中に、「本番.fmp12」というファイルが作られます。
このファイルは、開発環境で作った最新のプログラムやテーブル構成になっており、かつ、これまで本番で動いていたデータが格納されています。