用語集
参照系関連
点(point)
集合の要素(文脈としては集合に何らかの構造を持った空間のなかの要素として考えられ、点といわれた場合は集合とそれに対応した構造は何かをといったものが含まれる。)
空間(space)
合の要素間に何らかの性質をつけたもの。例えばある集合に距離という性質をつけたものは距離空間となる
系(system)
ある目的のために定義づけられる規則の集合
座標系(coordinate system)
空間の要素である点にどのような座標を割り当てるかを規定するための数学的規則の集合。(原点、座標軸など)
座標(coordinate)
空間に座標系が定められた場合において、点における数量の組のこと
座標変換(coordinate transformation)
ある空間における、2つの異なる座標系に対してある点の座標を変換するための写像。線形非線形を問わない。
直交座標系(Cartesian coordinate system)
互いに直交している座標軸を指定することによって定まる座標系
斜交座標系(oblique coordinate system)
斜めに交わった座標軸を指定することによって定まる座標系
三次元直交座標系(three-dimensional orthogonal coordinate system)
3次元の直交座標系
参照(reference)
集合の要素である点を一意に示すもの
参照系(reference system)
参照を規定するための規則の集合
時間参照(temporal reference)
時間を集合としてその要素を一意に示すもの
時間参照系(temporal reference system)
時間の記述を規定するための規則の集合
空間参照(spatial reference)
地球に関連している空間の要素を一意に示すための記述を指す。直接参照と間接参照に区分できる。
空間参照系(spatial reference system; SRS)
位置の記述を規定するための規則の集合
直接参照(direct reference)
座標を明示的に含む空間参照
間接参照(indirect reference)
座標を明示的に含まない空間参照。すなわち、地名や住所等、座標以外の方法により位置を表す方法。地理識別子等
地理識別子(geographic identifier)
ラベル又はコードの形式による間接的な空間参照。行政名、郵便番号、地番など
座標参照系(coordinate reference system; CRS)
空間参照系のうち座標の仕組みを持つ参照系
回転楕円体関連
回転楕円体(spheroid)
楕円を楕円の短軸又は長軸を回転軸として回転させて得られる回転体
赤道半径(equatorial radius)
回転楕円体の3径のうち等しい2径の半径のこと
極半径(polar radius)
回転楕円体の3径のうち赤道半径ではない半径のこと
長半径(major radius)(a)
赤道半径と極半径のうち長いほうを指す
短半径(minor radius)(b)
赤道半径と極半径のうち短いほうを指す
扁平率(ellipticity)(f)
楕円もしくは回転楕円体が、円もしくは球に比べてどれくらい扁平か(つぶれているか)を表す値
f = (a-b)/a
回転楕円面(ellipsoid of revolution)
回転楕円体の表面
極(pole)
回転楕円面と極半径の交点。2点あり、それぞれ北極、南極と呼ぶ。
赤道(equator)
回転楕円面と赤道半径の交線。この場合は円周となる。
赤道面(equatorial plane)
赤道を含む平面
子午線(meridian)
回転楕円面上で2つの極を結んだ線。経線と一致する。
子午面(meridian plane)
子午線を含む平面
極軸(polar axis)
回転楕円体の2つの極を結ぶ直線
平行圏(parallels)
極軸に直行する平面と回転楕円体が交わる線。緯線と一致する。幾何学の文脈で使われる。
卯酉線(prime vertical)
子午面に直行する平面と回転楕円体が交わる線
卯酉面
卯酉線を含む平面
子午線曲率半径(meridian radius of curvature)M
子午線上のある点における子午線の曲率半径
卯酉線曲率半径(prime vertical radius of curvature)N
卯酉線の曲率半径
地球楕円体(earth ellipsoid)
測地学において地球のジオイド(平均海面)の形に近似した回転楕円体でかつその中心は地球の重心に、短軸は自転軸に一致させるよう実際の地球に取り付けを行ったもの。ただし、文脈的に地球に近似した回転楕円体の形状のみを指しているだけの場合もある。
地球物理的な制約から回転楕円体のうち楕円を楕円の短軸を回転軸として回転させて得られる回転体となる。そのため長半径は赤道半径となり、短半径は極半径となる。
自転軸(rotational axis)
地球楕円体における2点の極を結んだ直線
準拠楕円体(reference ellipsoid)
測地基準系に組み込まれた地球楕円体(ある測地基準系が紐づいている地球楕円体の文脈では準拠楕円体という表現を使用する。)
本初子午線(prime meridian)
地球楕円体において経度が0度の基準となる子午線。IERS基準子午線(reference meridian)
経度(longitude)
地球楕円体において本初子午線を含む子午面と参照点を含む子午面のなす角
経線(meridian)
同じ経度の点を結んだ線。子午線と一致する。地図の文脈で使用される。
地心緯度
回転楕円体のある地点から中心を結んだ線と赤道面のなす角
地理緯度
その地点における回転楕円面の法線と赤道面のなす角
更成緯度
中心が地球楕円体の中心と一致させ半径が地球楕円体の長半径に等しい球を考えたとき、地球楕円体上の位置を該当球に地球の自転軸と平行に射影した位置から中心を結んだ線と赤道面のなす角
求長緯度
赤道から地理緯度までの子午線弧長で換算される緯度
等長緯度
緯度変分に対する距離変分と、その緯度変分と同じ数値の経度変分に対する距離変分が等しくなるよう換算された緯度。経度変分に関しては地理経度を用いる。地理緯度に対しての変換式が一般的。メルカトル図法に適用されており、その座標変換は等角関数として性質を持つ。
グデールマン関数
双曲線関数と三角関数を合わせたもの
正積緯度
正積投影後の相当緯度
経度(latitude)
地心緯度や地理緯度等
緯線(latitude lines)
同じ緯度の点を結んだ線。平行圏と一致する。
経緯度(longitude and latitude)
経度と緯度
地理座標系(geographic coordinates system)
地球楕円体の回転楕円面の点を規定する座標系。緯度経度の組で規定する。
地理座標(geographic coordinates)(φ,λ)
地球楕円体面上のある点の位置を表す座標。地理緯度と経度の組
経緯度座標(longitude and latitude coordinate)(φ,λ)
地球楕円体面上のある点の位置を表す座標の一種。地理緯度と経度の組み合わせがよく用いられる。
測地基準系関連
局地座標系
その地点の鉛直線をZ軸、北をX軸、東をY軸とした三次元座標系
天球座標系
恒星に対して固定された三次元座標系
地球座標系
地球に対して原点位置と座標軸が定められた三次元座標系
地心座標系
地球の重心を原点とした地球座標系
地心直交座標系
座標軸が互いに直交している地心座標系
測地座標系
測地基準系に組み込まれた地球座標系
元期における地球自転軸方向
天球座標系における地球自転軸の方向。天球座標系において地球自転軸は時間とともに変化する。(歳差・章動)
地球自転軸
地球座標系に対して、観測時刻での地球の回転軸。時間とともに変化する。(極運動)
平均地球自転軸
地球座標系に対して、極運動で変化する自転軸のうち平均的な地球の回転軸。準拠楕円体の自転軸に一致する。
天文経緯度
その地点の鉛直線の方向を星の観測により求め決定された経緯度
測地経緯度
測地基準系によって定められた経緯度
楕円体座標(ellipsoidal coordinates)(φ,λ,h)
準拠楕円体面上ではなく地球上の点を表す座標。その点から準拠楕円体面に垂線をおろし準拠楕円体面と交わった点の
地理座標と楕円体高を組み合わせて点を表す。数学における楕円体座標と異なるので注意が必要。文脈によっては地理座標のみをさす場合もある。
測地座標
楕円体座標のこと
測地基準系
準拠楕円体、測地座標系、ジオイド面で構成された基準。測地系。測地座標系同士は並進量、スケール、回転量の7つのパラメータで互いに変換される。
GRS80(Geodetic Reference System 1980)
地球の重力ポテンシャル・地球楕円体のモデルを定めたもの。この中にGRS80楕円体が含まれる。
ITRF94座標系(International Terrestrial Reference Frame(国際地球基準座標系)1994)
国際地球回転観測事業(International Earth Rotation Service; IERS)が構築した3次元直交座標系。地球の重心を原点にとり、自転軸をZ軸、経度0度の子午面と赤道面が交わって出来る直線をX軸、X軸から東に90度方向にY軸を取る地心直交座標系
JGD2000
日本測地系2000のこと。準拠楕円体はGRS80楕円体。測地座標系はITRF94座標系。基準ジオイド面「日本のジオイド2000」は東京湾平均海面に一致させたもの。元期は1997年1月1日。
JGD2011
JGD2000に対して、東日本大震災による地殻変動の影響が大きい地域で測地座標系はITRF2008座標系、元期を2011年5月24日にしたもの。
測地成果2000
JGD2000にしたがって位置が表示された測量成果
測地成果2011
JGD2011にしたがって位置が表示された測量成果
地図投影系関連
地図投影・地図投影法(map projection)
地理座標をある平面に写像するための方法。(lon,lat)->(X,Y)。でたらめな変換でも構わないが、できるだけ元の形に対して何らかの制約を設けた合理的な方法が使われる。
投影座標系(projected coordinates system)
地図投影により地理座標を座標変換によって写された座標系。
パラメータの一部に回転楕円体の長半径(a)と扁平率(f)が、使われることが多い。また球に近似して半径(R)が使われることもある。測地基準系に含まれる回転楕円体のパラメータが流用されることもあるが、本質的には測地基準系に関係なく構築される。
投影座標(projected coordinates)
投影座標系に規定された座標。座標は単位としてはなんでもよいが、長さに相当するもので表現されたほうがよい。(ex. m,km,mile)
平面直角座標系
投影座標系の一つ
識別子
空間参照系識別子(spatial reference system identification; SRID)
空間参照系に対して定められた固有の識別ID
EPSGコード(European Petroleum Survey Group code)
European Petroleum Survey Groupが定めた空間参照系識別子。現在はOGPGeomaticsCommiteeが管理
空間参照系(spatial reference system; SRS)について
各々の空間参照系において測地基準系と地図投影法を保持している。地図投影法により地理座標と地図上での座標を変換する。測地基準系における準拠楕円体のパラメータにより楕円体座標と三次元座標系を変換する。他の空間参照系とは測地基準系の7成分パラメータにより三次元座標系での変換をおこなうことにより相互に変換が可能になる。