前回
前回は4G/LTEのEARFCN
について書きましたが、今回は5GのNR-ARFCN
について書きます。
ARFCNとは
Absolute radio-frequency channel number(絶対無線周波数チャネル番号)の略。
周波数をチャンネル番号で示した物です。
3G(UTMS)ではUARFCN
、LTEではEARFCN
、5G NRではNR-ARFCN
と呼びます。
今回はNR-ARFCN
に注目してみていきます。
NR-ARFCNから周波数を計算する
NR-ARFCNは、docomoのn78 100MHz幅の場合は、643296
n79 100MHz幅の場合は、703296
となります。
下の表を元に計算してみましょう。
周波数帯 | NR-ARFCNの範囲 | NR-ARFCNの差分 | NR-ARFCNの間隔 | 周波数の差分 |
---|---|---|---|---|
〜3GHz | 0-599999 | 0 | 0.005MHz(5kHz) | 0MHz |
3〜24.25GHz(Sub6) | 600000-2016666 | 600000 | 0.015MHz(15kHz) | 3000MHz |
24.25GHz〜101GHz(ミリ波) | 2016667-3279167 | 2016667 | 0.060MHz(60kHz) | 24250MHz |
n78の場合、643296
はNR-ARFCNの範囲
のうちの600000-2016666
に含まれますので、Sub6です。
Sub6では、NR-ARFCNの差分
は600000
なので、643296-600000=43296
また、NR-ARFCNの間隔
は0.015MHz(15kHz)
なので、43296*0.015=649.44
そして、周波数の差分
は3000MHz
なので、649.44+3000=3649.44[MHz]
n79も同様にして計算し、4549.44MHz
であると分かります。
- 取得したNR-ARFCNを、上の表と照らし合わせて、範囲内にある周波数帯を発見する。
- 下記の計算式で具体的な周波数を特定する
[周波数(MHz)]=([取得したNR-ARFCN]-[NR-ARFCNの差分])×[NR-ARFCNの間隔(MHz)]+[周波数の差分(MHz)]
NR-ARFCNとバンドの対応表を元に、バンド名を特定する事ができる。
ただし、n78の周波数はn77に一部が含まれるため、注意が必要。
(n77とn78の両方に一致したらn78と判断するなど)
※アップリンクのNR-ARFCNはAndroidで取得出来ない場合もあるので、その場合でもダウンリンクとアップリンクは通常対になっているため、ダウンリンクのNR-ARFCNをそのまま使用し、アップリンクの周波数との差分を計算するとよい。
NR-ARFCNとバンドの対応表
日本で5G NRで使われている、もしくは現在3G・4Gで使用中だが、今後5Gに転用される可能性がある、または新規で5G用周波数として割り当てられる可能性があるもののみを抽出(それ以外は参考を見てください)
Band | 周波数帯 | 4Gに対応するBand | キャリア | DLのNR-ARFCN範囲 | ULのNR-ARFCN範囲 |
---|---|---|---|---|---|
n1 | 2.0GHz | B1 | d a S | 422000-434000 | 384000-396000 |
n3 | 1.7GHz | B3 | d a S R | 361000-376000 | 342000-357000 |
n5 | 800MHz | B19・B26 | d | 173800-178800 | 164800-169800 |
n8 | 900MHz | B8 | S MCA | 185000-192000 | 176000-183000 |
n18 | 800MHz | B18・B26 | a | 172000-175000 | 163000-166000 |
n26 | 800MHz | B18・B19・B26 | d a | 171800-178800 | 162800-169800 |
n28 | 700MHz | B28 | d a S R | 151600-160600 | 140600-149600 |
n39 | 1.9GHz | B39 | sXGP | 376000-384000 | 376000-384000 |
n40 | 2.3GHz | B40 | a | 460000-480000 | 460000-480000 |
n41 | 2.5GHz | B41 | a(U) S(W) BWA | 499200-537999 | 499200-537999 |
n46 | 5.8GHz | B46 | ? | 743333-795000 | 743333-795000 |
n74 | 1.5GHz | B11・B21 | d a S | 295000-303600 | 285400-294000 |
n77 | 3.4/3.5/3.7GHz | B42 | (d) a S R | 620000-680000 | 620000-680000 |
n78 | 3.4/3.5/3.7GHz | B42 | d a (S) | 620000-653333 | 620000-653333 |
n79 | 4.5/4.9GHz | d L ? | 693334-733333 | 693334-733333 | |
n257 | 28GHz | d a S R L | 2054167-2104166 | 2054167-2104166 | |
n258 | 26GHz | ? | 2016667-2070832 | 2016667-2070832 | |
n259 | 41GHz | ? | 2270832-2337499 | 2270832-2337499 | |
n260 | 39GHz | ? | 2229166-2279165 | 2229166-2279165 |
※n40・n41・n42・n77・n78・n79・n257はTDDのため、上下共に同一周波数を使用。
d:docomo a:au(KDDI/沖縄セルラー電話) S:SoftBank R:楽天モバイル R(p):楽天モバイルパートナー回線 a(U):UQ Communications(auで使用可能) S(W):Wireless City Planning(SoftBankで使用可能) ?:5G周波数としての新規割当を検討中 L:ローカル5G MCA:高度MCAシステム(5Gでの利用は不明) BWA:地域広帯域移動無線アクセス(5Gでの利用は不明) sXGP:自営TD-LTE方式(5Gでの利用は不明)
n77・n78のうち、B42に一致するのは一部の周波数(※3.4-3.6GHz)のみであり、それより後ろの周波数は5G新周波数となる。
SoftBankのn78は、B42に対応する物、つまり4G周波数転用5Gのみである。
docomoは3.7GHz帯をn78で運用中だが、n77にも周波数は一致するため、(d)と表記している。
Sub6とは本来6GHz以下の周波数を、ミリ波とは本来30GHz~300GHzの周波数のことを指すが、本記事では便宜上、3〜24.25GHzをSub6、24.25GHz〜101GHzをミリ波として記載している。
参考
5G Absolute Radio Frequency Channel Number (NR-ARFCN) - Techplayon