ChatGPTを使って実際に文章を作りながら、人間とAIでどうすればより良いコンテンツを作れるのかを試しています。
現在は、ChatGPTと一緒に長文記事を一本制作・公開し、その制作過程で起きた現象や失敗、気づきを個別のケースとして記録しています。
この記事も、その実験中に実際に起きた一例です。
長文を書いている途中で、新しい話を思い出す
ChatGPTと長い記事を作っていると、作業中に別のことを思い出すことがあります。
例えば、あるエピソードについて文章を確認している途中で、
あ、そういえばこんなこともあった
と思い出す。
問題は、その話が記事に必要なのか、その時点では分からないことです。
面白い。
関係もありそう。
でも、入れたら話が脱線するかもしれない。
そこで毎回、「この記事に入れるべきか?」
を考え始めると、今やっていた作業が止まります。
逆に、「今はいらない」
と捨ててしまうと、後になって必要だったと気づくこともあります。
そこで、完成原稿とは別に、
判断を保留したまま置いておく場所
が必要になりました。
私たちはそれを「ボカン」と呼ぶようになった
この作業をChatGPTとしている途中で、
これ、ボカン(母艦)に入れておいて
という謎の言葉を使うようになりました。
最初にこの言葉を使ったのは私ではなく、ChatGPTです。
正式な用語ではありません。当然です。
私たちの会話の中だけで通じているローカルな呼び方です。
意味としては、
今すぐ完成原稿に統合する必要はないけれど、消したくもない情報を、とりあえず置いておく場所
くらいです。
名前はどうでもいいのですが、この置き場を作ったこと自体はかなり便利でした。
「採用」と「保存」を分ける
それまで私は、新しい情報が出てくると、
記事に入れるまたは、記事に入れないの二択で考えていました。
しかし「ボカン」を作ってからは、三択になりました。
- 今すぐ記事に入れる
- 今は入れない
- 判断せず保存する
この3番目が増えただけです。
でも、これでかなり楽になりました。
思いついた瞬間に、
「これは本当に必要か?」
「どの章に入れる?」
「記事全体のテーマから外れていない?」
まで決めなくてよくなります。
とりあえず残す。
判断は後です。
なぜ完成原稿へ直接追加しないのか
もちろん、新しく思いついたことをそのまま原稿へ追加することもできます。
ただ、それを繰り返していると長文では問題が起きました。
1. 原稿がどんどん膨らむ
「これも関係ある」「あれも関係ある」
と追加していくと、記事が永遠に完成しません。
2. 本筋と素材が混ざる
完成に近い文章と、「使うかもしれないメモ」が同じ場所に存在すると、どこまでが確定しているのか分かりにくくなります。
3. 思いつくたびに編集作業が始まる
本当は一つ思い出しただけなのに、
「じゃあどこに入れる?」
「前後も修正する?」
「見出しも変える?」
と編集作業が始まります。
これが結構面倒でした。
そこで、思いつく作業と、採用を決める作業を分離することにしました。
プログラムを書くときの一時変数みたいなものかもしれない
私は昔プログラミングを勉強していたので、この状態を考えていて、
一時変数みたいだなと思いました。
例えば、処理途中の値をいったん変数に入れておいて、その後の処理で使う。
文章でも似たことをしていました。
思いついた情報
↓
[ ボカン(母艦) ]
↓
あとで再確認
↙ ↘
採用 不採用
↓
完成原稿
思いついた瞬間に完成原稿へ直接書き込むのではなく、一度バッファのような場所を経由させる。
もちろん厳密な技術用語として「バッファ」と呼んでいるわけではありません。
あくまで、自分の文章制作を説明するときの比喩です。
でも、この考え方にするとかなり分かりやすくなりました。
ChatGPTは「思いついたものを保存する係」としても使える
生成AIというと、文章を生成するものという印象が強いと思います。
実際、私も文章はかなり書いてもらっています。
ただ、長文制作ではそれ以外にも、まだ完成していない考えを一時的に外へ出しておくという使い方が便利でした。
例えば、
この話を記事に入れるかはまだ決めない。
とりあえず独立したブロックとして残しておいて。
と頼む。
ChatGPTに文章として整理してもらう。
その状態で保存しておく。
すると後から、「やっぱり必要だった」となったときに使えます。
逆に、「面白いけどこの記事にはいらないな」となれば削除できます。
「後で消せる」と思うと、収集段階で厳しく判断しなくて済む
この方法で一番変わったのは、思いついた瞬間の採用基準を緩くできたことでした。
文章を書いている途中で、
これ関係ないかもしれないな
と思っても、とりあえず残せます。
なぜなら、後で消せるからです。
逆に最初から、
完成原稿に必要な情報だけを残そう
とすると、まだ全体像が見えていない段階で重要性を判断することになります。
でも長文を書いていると、
最初はどうでもいいと思った話が、後から別の話とつながることがあります。
その時点になって初めて、**「あれ残しておいてよかった」**となります。
ただし、最後まで全部残すわけではない
ここは重要です。「とりあえず残す」という方法は、
思いついたことを全部完成原稿に入れるという意味ではありません。
むしろ逆です。
収集段階では捨てる判断を遅らせる。
編集段階では普通に捨てる。
この二つを分けています。
収集フェーズ
「分からないから残す」
↓
編集フェーズ
「全体が見えたので判断する」
最終的に使わなかった話もたくさんあります。
面白いけれど本筋から離れすぎる。
同じ内容がすでにある。
別の記事にした方がいい。
単純に長すぎる。
そういうものは後から外します。
保存したからといって、採用する義務はありません。
「今決めなくていい」という選択肢を作る
この方法を使っていて、文章制作以外でもよくある問題だと思いました。
何か新しい情報が出てきた瞬間に、採用するか、捨てるかを決めようとする。
でも、本当はその時点では判断材料が足りないことがあります。
だったら、今は決めないという状態を明示的に作っておけばいい。
今回の長文制作では、それが「ボカン(母艦)」でした。
名前はふざけていますが、やっていることは単純です。
完成原稿と、思考途中の素材を同じ場所で管理しない。
これだけです。
ChatGPTとの会話では、ローカルな言葉が増えていく
ちなみに「ボカン」のように、長くChatGPTと作業していると、その会話の中だけで通じる言葉が増えてきました。
正式なプロンプトを書く代わりに、
これボカン
で通じる。
以前の記事でも書きましたが、現在は、
Qiitaの記事作って
くらいの指示でもかなり作業が進むようになっています。
最初からそうだったわけではありません。
何度も同じ作業をして、
「これはこういう意味」
「この場合はこうする」
という文脈が積み重なった結果です。
人間同士で仕事をしていると、
いつものところに置いといて
で通じるようになることがあります。それに少し似ています。
まとめ
ChatGPTと長文を作っていて困ったのは、新しく思いついた情報を、その場で採用するか捨てるか決めなければならないと思っていたことでした。
そこで、採用判断を保留したまま置いておく場所を作りました。
私たちはそれを「ボカン(母艦)」と呼んでいます。
流れとしては、
思いつく
↓
とりあえず保存する
↓
材料が増える
↓
全体を見る
↓
採用・移動・削除を決める
です。
ChatGPTに最初から完成原稿だけを作らせるのではなく、完成する前の思考を置いておく場所としても使う。
長文を作るときには、この中間状態があるだけでかなり扱いやすくなりました。
そして現在、「ボカン」という意味不明な単語が、私とChatGPTの間では普通に業務用語として通じています。
こうしてローカル仕様は増えていきます。
文系Qiita部
この記事で扱った現象は、ChatGPTと長文を作っている途中で起きたことの一つです。
実際には、一つの記事を長期間一緒に作っていると、
文章が綺麗に整理されすぎたり、
途中の細かい情報が消えたり、
誰が最初に言った言葉なのか分からなくなったりと、
他にもいろいろな「なんか変だ」が起きました。
それらを一つずつ切り出して観察した記録を、
「文系Qiita部」にまとめています。
この実験の元になった長文記事
今回のケースは、私がChatGPTと一緒に長文記事を制作している途中で実際に起きたことを、個別に抜き出して整理したものです。
制作過程全体は、noteの
「何も役に立たないAIに書かせた記事が5000円で売れた」
という記事に残しています。
かなり「AIで稼ぐ」系に見えるタイトルですが、これは意図的です。刺激的なタイトルから入った読者が、そのまま読み進めるとどのような内容にたどり着くのか、という実験も兼ねています。
実際の本文は「AIを使えば簡単に稼げる方法」の紹介ではありません。
ChatGPTと記事を作りながら、文章が綺麗に整理されすぎる問題、AIとの長いやり取りで発言者や時系列が曖昧になる問題、途中の思考をどう残すか、人間とAIでどこまで役割分担するか、といったことを試行錯誤した制作記録です。
つまり、タイトルの時点では中身をかなり偽装していますが、Qiitaから来る方には先にネタバレしておきます。
今回の記事を書く際には、この長文記事を制作ログ・メモとして参照しています。