製造ラインで画像処理をやっていると
「精度が安定しないのでカメラの画素数を増やしたほうがいい」
「もっとOk/NGデータを増やした方がいいのでは?」
といった議論がよく出ます。
他にもディープラーニングなら云々、という話なんかも
しかし、経験上 本当に大事なのは上記以前の部分 です。
今回は私が実務で痛感した「精度向上において大事なことランキング」を紹介します。
ちなみに下記はキズや汚れといった位置や程度の再現性がないNGではなく、再現性のあるNGについて記載しています。
再現性がないNGについてはまた後日記載します
1. NGのカテゴリ分け
- NGが複数パターンあるなら、それぞれ個別に判定する。
- 「欠品」「異品」「位置ずれ」を一緒に学習させると安定しない。
👉 NGを小さく分けて、それぞれ「OK/NG」を判定し、すべてOKなら合格にする。
2. 画像範囲(撮影エリアの最適化)
- OK/NG の差分が出る部分だけをズームする。
- 不要な背景や変化のない領域が含まれるとノイズになる。
👉 まずは「どこを見るか」を絞ることが一番重要。
3. 照明の角度
- NGの特徴が強調されるようにライトを当てる。
- 真上からではなく、斜め・逆光・ライン照明などを試すと差が出やすい。
👉 光で見え方が決まるので、ここに時間をかけるべき。
4. OK/NG画像数
- 上の1〜3ができていれば、画像は少なくても十分。
- 極端に言えば、撮影数が1枚でも差分が強調できていれば判定可能。
👉 「とにかくデータ数を増やせばいい」は誤解。
5. アルゴリズムの選択
- 正直、1〜3ができていれば何を使っても良い。
- SVC(サポートベクタ分類器)などシンプルで高速なものでも十分。
👉 モデル精度より前処理と撮影条件が圧倒的に効く。
まとめ
- 画像処理の精度は「データ数」や「アルゴリズム」ではなく、
画像そのものの設計(カテゴリ分け・範囲・照明) が決定づける。 - ここを押さえれば、シンプルな方法でも高精度に安定する。
- 体感的には1、>2、>3、>>>4、>5、 という感じ。
💡 実際に現場で苦労した方なら、きっと共感していただけると思います。
次回は、それぞれの項目について 具体的な改善例 や 失敗例 も紹介予定です。