AI に Maya や Houdini などの DCC ツールを操作させるとき、その結果はどう確認していますか。
2026年8月時点で、私は GitHub Copilot CLI を Houdini と Maya に接続し、GUI で確認しながら AI に開発してもらう形で運用しています。以前は hython 経由で編集していました。しかし、編集のたびにノードの状態を目視で確認できず、確認と修正のループが遅いことが悩みでした。そこで、GUI で目視確認しながら AI に編集してもらうことで、このループを速くすることにしました。
本記事では、Houdini と Maya での接続方法と到達点を紹介します。同じ手は他の DCC ツールにも使いまわせるはずです。
結論として、DCC ツールへの接続自体はとてもシンプルでしたが、ノードの組み方はまだ学習データが不足しており、スキルで教育する段階というのが現状です。Houdini への接続は hrpyc のサーバー起動の数行だけで済み、Maya も command port で同様に接続できました。起動と疎通確認の管理はスキルに任せています。
接続のおかげで、AI の編集結果を GUI でその場で目視確認しながら、指示と修正のループを速く回せるようになりました。ただしノードの組み方はまだチグハグで、明らかにエラーがあるのに「作業が終わりました」と報告してくることもあります。
前提:チュートリアルではなく事例紹介です
この記事は、具体的な環境構築の手順や、できあいのスクリプトを提供するものではありません。Houdini と Maya で試した私の事例紹介です。ただ、やっていること自体は、この2ソフトに限らない話です。
なお、接続の土台にしているスキルは業務で開発したものなので、中身は公開できません。この記事に載せるのは、接続の入口のコマンドだけです。ただ、内部の作り自体は非常にシンプルです。そのため、この記事の大筋を AI に渡して同じものを作らせれば、誰でも再現できると考えています。
Houdini への接続は数行です
Houdini への接続に必要なのは、次の数行だけです。
import hrpyc
hrpyc.start_server()
これを Houdini の Python シェルで実行すれば、RPC サーバーが立ち上がります。既定ではポート 18811 で待ち受けます。外部の Python プロセスからは hrpyc.import_remote_module() で接続できます。取得した hou は普段の hou モジュールと同じように扱えます。仕様の詳細は SideFX の公式ドキュメント に譲ります。接続に必要なのはこれだけです。なお Maya も command port を開くだけで同様に接続できました。
接続の管理はスキルに任せています
この接続まわりの管理は、スキル側に仕様として仕込んでいます。
- サーバーの起動は、ユーザーに実行を案内する形にしています。 RPC サーバーは Houdini の内側で立てる必要があるため、AI が自分で起動するのではなく、起動コマンドを私が Houdini の Python シェルで実行する運用です。
- スキルの起動時に疎通確認をします。 つながらなかった場合は、起動用のスクリプトをユーザーに案内します。
- hrpyc へコマンドを送るためのスクリプトを、スキル内にストックしています。 スクリプト自体は業務資産なので公開しません。
このように、決定論的に処理したい部分はスクリプトに寄せています。この方針は前回の記事(インストラクション・スキル・フックの使い分け)と同じです。
GUI で確認しながら開発を回します
接続さえできれば、あとは次のループで開発が回ります。
- 私が Copilot CLI にプロンプトで指示を出す
- Copilot CLI がスクリプト経由で Houdini 内のノードを編集する
- 結果が GUI に即座に反映されるので、私が目視で確認する
- 問題があればその場で次の指示を出す
hython 経由のときは、編集のたびにノードの状態を目視で確認できませんでした。今は AI の編集結果を GUI でその場で確認できるので、確認と修正のループがとても速くなりました。
ノードの組み方はまだチグハグです
一方で、まだうまくいかないこともあります。VEX はかなり便利に書いてくれます。しかし、問題はノードの組み方のほうです。
明らかにエラーがあるのに、完了と報告してくることがあります。 ノードがエラー状態(GUI では赤く表示される)になっているのに、それを確認せず「作業が終わりました」と返してくる、ということが普通に起きます。
更新モードの問題にたどり着けないこともあります。 hou.updateMode が Manual になっているせいで変更が反映されない場面で、原因を AutoUpdate に切り替えるところまで辿り着けませんでした。設定項目の存在を知っていれば一瞬で直る類の問題です。
原因は、学習データの不足だと見ています。VEX は情報が少ないのですが、よくあるプログラミングの構文なので、なんとなく書けてしまいます。ノードの繋ぎ方こそが、データ不足だと予想しています。だからこそ、接続の管理と同じ手で、スキルによる教育をしてやる必要があると考えています。
おわりに
接続と GUI での確認ループは、実用段階に入っています。ノードの組み方を教える教育スキルはこれからで、効果の測定もまだできていません。
今回試したのは Houdini と Maya です。外部からスクリプトを送り込む口さえあれば、他のソフトでも同じ手が使えるはずです。Unity、Unreal、Blender、Nuke などでも、GUI で確認しながら AI と開発ループを回せる可能性があると見ています。もちろん、接続できることと、AI がそのソフトで何でもできることは別です。どのソフトでも、ノードの組み方のような作法の教育は結局必要になります。
まとまった知見が溜まれば、また記事にするかもしれません。