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Ansys Lumericalを用いた外部共振器レーザーのシミュレーション (MODE/CHARGE/MQW/INTERCONNECT/ Python連携)

Last updated at Posted at 2025-11-26

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■はじめに

この記事では、Ansys Lumerical MODE / CHARGE / MQW / Interconnect を組み合わせて
外部共振器の半導体レーザーのI-Lカーブを取得するまでのシミュレーションフローを説明します。今回の内容はLumericalのapplication galleryにあるMulti-Quantum Well (MQW) Edge Emitting Laser(https://optics.ansys.com/hc/en-us/articles/360041725214-Multi-Quantum-Well-MQW-Edge-Emitting-Laser)
の事例を参考に半導体光増幅器(SOA)+グレーティングの系のレーザー発振シミュレーションを実施し、I-Lカーブの取得まで実施した内容になります。

🧩 1. シミュレーション全体フロー

以下の図にシミュレーションの全体フローを示します。
画像1.png

上の図に示すように今回はLumericalのMODE,CHARGE,MQW,INTERCONNECTを連携させて発振シミュレーションまで実施してみました。
より具体的には以下の手順でシミュレーションを実施していきます。
①MODEにより光導波路の閉じ込め係数/群屈折率/光損失を求める 
②GUIベースでChargeのシミュレーション条件の設定
③CHRAGEを自動計算するpythonスクリプトの実行
I-Vカーブと量井戸内のキャリア密度の電圧依存性を取得
*場合によっては電界も(今回は無し)
*キャリア密度については、量子井戸内の空間平均を求めることにした
④取得した各電圧における量子井戸層のキャリア密度をMQWに設定し、各電圧における光利得を取得(誘導放出光と自然放出光スペクトルの計算を実施)
⑤CHARGEで計算した電流値と、量子井戸内のキャリア密度のデータを取得
⑥取得した電流値―キャリア密度のデータを実デバイス構造のサイズにスケーリング、その後に数点おきにデータ取得する操作をpythonスクリプトを用いて実施(Chargeで取得したデータ点数をそのままINTERCONNECTに実装してシミュレーションするのは時間がかかりすぎるため)
⑥INTERCONNCTでレーザー発振シミュレーションのためのモデル設定(twlmモデルにゲインや光学パラメータ、電流値、キャリア密度などを設定)
*今回はapplication galleryのedge emitting laserの事例を変更して実施(https://optics.ansys.com/hc/en-us/articles/360041725214-Multi-Quantum-Well-MQW-Edge-Emitting-Laser)
⑦INTERCONNECT シミュレーションを実施し、各電流値に対するsweep解析を行いI-Lカーブを取得

*計算のために必要なlsfスクリプトはedge emitting laserの事例からダウンロードできます。
*CHARGEで計算した電流値とキャリア密度の関係をINTERCONNECTに反映させるため追加のスクリプトを作成しています。

🧱 2. デバイス構造

今回のシミュレーションではapplication galleryのedge emitting laserのデバイス構造に電圧印加用の電極を付けた構成になります。本来であれば下側の電極は横にはみ出たスラブ上に形成するものですが、今回は便宜上、上下で挟む構成にしました。
画像3.png
次にINTERCONNECTの設定画面になります。Edge emitting laserの事例に光導波路とグレーティングを追加設定しました。
画像4.png

📊 3. CHARGEシミュレーションの設定と結果

CHARGEのシミュレーションの設定は以下になります。今回は計算時間の都合上、以下のようにシミュレーションも2次元、幅も20 nmと非常に狭い条件で実施しました。量子井戸の構成はedge emitting laserの事例そのままに量子井戸の周期数を1つにしました。もちろん多重量子井戸でも計算できます。
画像5.png
以下がI-Vカーブとキャリア密度の印加電圧依存性の計算結果になります。キャリア密度は量子井戸の面内平均値を求めて出力しています。2次元の計算ですが、奥行き方向の値を指定した形でデータを出力することができます。今回は奥行き方向1 umの設定でデータを出力することにしました。
画像6.png

🌈 5. MQW光利得シミュレーション

下がMQWでの層構成の設定画面とシミュレーション結果になります。
画像7.png
画像8.png
Application galleryのedge emitting laserに掲載されているスクリプトを実施するとINTERCONNECTのtwlmモデルに実装するためのデータが出力されます。

🔁 6. INTERCONNECTでレーザー発振シミュレーション 

INTERCONECTの設定画面とI=Lカーブのシミュレーション結果
こちらがINTERCONNECTの設定画面ですSOAの左側の端面反射率を0.85とし右側に導波路とグレーティングを実装しました。グレーティングの反射の中心波長は1. 55 umに設定しています。
画像9.png
画像10.png

✅まとめ

本記事では、Ansys Lumerical の各シミュレーションツールを連携させることで、外部共振器レーザーの発振特性の一連のフローを実施しました。MODE・CHARGE・MQW・INTERCONNECT は、それぞれが異なる物理領域を扱いますが、適切に組み合わせることで「光モード解析」→「電気特性」→「光利得」→「発振解析」までを一連の流れでスムースに解析できます。
特に、CHARGEで得られるキャリア密度と電流値をMQWへと受け渡し、さらにINTERCONNECT の TWLM モデルに実装することで、実デバイスに近いキャリア–光相互作用を含むレーザー発振を予測可能になります。外部共振器構造のような、単一ツールでは扱いにくい多物理連成の問題に対しても、Lumerical製品群を統合するワークフローは強力に機能します。
また、アプリケーションギャラリーの edge emitting laser モデルを起点にしつつ、導波路・グレーティングを追加したり、電極配置をカスタマイズすることで、研究・開発用途に柔軟に適応できる設計環境を構築できる点も有用です。TWLMモデルによる時間領域解析を用いることで、定常的なI–L特性だけでなく、変調応答や外部共振器の動的挙動の解析にも展開が期待できます。

*TWLMモデルについて

画像11.png

TWLMは、レーザー内部で起きている電気と光の相互作用を、時間領域で再現するための動的なモデルです。レーザー内部では、順方向に進む光波と逆方向に進む光波が干渉しながら増幅・減衰し、さらにキャリア密度とも相互作用します。
左側の図にあるように、レーザー内部のゲイン媒体と導波路に沿って、順方向と逆方向に進む波 が相互に影響を与えながら伝搬します。波動伝搬方程式は、その光の伝搬の損失、散乱、位相変化、そしてノイズなどを含んだ形で表しています。また、その下に示しているキャリアレート方程式は、キャリア密度の時間変化を記述するもので、注入電流、利得、再結合過程のバランスから決まります。
TWLMでは、これらの方程式を同時に解くことで、時間 と空間 に対する光波とキャリアのダイナミクスを再現します。そのため、DFBといった分布帰還型のレーザーや、SOAを含む外部共振器構造などの設計に適したモデルです。
また、レーザーの直接変調時の帯域特性や過渡応答をシミュレーションすることもできます(https://optics.ansys.com/hc/en-us/articles/1500008006181-Laser-modulation-bandwidth-simulation)。

※本記事は筆者個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。

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