はじめに
光学設計といえば、長年にわたりAnsys Zemax OpticStudioやCODE Vといった商用ソフトが事実上の標準でした。
- GUIベース
- 強力な最適化・公差解析
- 製造まで含めたワークフロー
といった点で完成度が高く、業界では欠かせない存在です。
一方で最近、
- Pythonベース
- オープンソース
- 自動微分・GPU対応
といった「pythonプログラミングによる光学設計」が急速に広がり始めています。
その中でも今回紹介するのが、
👉 Optiland
について調査してみたいと思います。商用ソフトとは何が違うのでしょうか。
Optilandとは
Optilandは、Pythonで構築された光学設計・解析プラットフォームです。
GitHub:
特徴は一言で言うと:
✅ 光学設計における「モデリング+最適化+解析」機能をPythonで再構築しようとチャレンジするツールです
主な特徴
Optilandは以下のような機能を統合しています:
1. 光学系の構築
- レンズ・ミラーの定義
- 非球面・自由曲面対応
- 材料ライブラリ
👉 通常のレンズ設計がそのまま可能
2. レイトレーシング
- 順方向光線追跡
- 多面系対応
- 幾何光学ベース
👉 ここは光学解析の基本となる計算
3. 光学解析
- 波面収差(wavefront error)
- スポットダイアグラム
- PSF / MTF
👉 imaging評価の基本一式は揃っている
4. 最適化機能
- merit functionベース最適化
- 勾配ベース最適化
- PyTorchによる自動微分
👉 ここが最大の特徴
従来:
有限差分法による近似勾配+CPU
→ 万能だが計算時間がかかる最適化
Optiland:
機械学習の技術を応用した自動微分 + GPU
→ 微分可能であればスケールする最適化
5. 公差解析(tolerancing)
- Monte Carloベース
- 製造ばらつきの影響評価
👉 ここまで入ってるOSSはかなり珍しい
何が新しいのか
Optilandの本質はここだと思います:
✅ 「ツール」ではなく「コード」
Zemax:
GUIで設計
Optiland:
lens = OpticalSystem(...)
optimize(lens)
👉 完全に「プログラムとして光学設計を書く」世界
✅ 自動微分(ここ重要)
- レンズ形状に対する勾配を直接取得
- MTFやPSFに対して最適化可能
👉 最適化のプログラムソースが見える、カスタムできる
✅ ML / inverse designと親和性が高い
- PyTorchベース
- GPU計算
- differentiable optics
👉 そのまま機械学習と統合できる点も興味深いです。
Zemaxとの位置付け
現時点の私の整理としては:
| Zemax | Optiland | |
|---|---|---|
| 完成度 | ◎ | 発展途上 |
| 最適化 | ◎ | ○(新しい) |
| 公差 | ◎ | ○ |
| 波動光学 | △ | △ |
| 拡張性 | △ | ◎ |
ということで製造現場でOPTILANDを使用するには未だハードルが高いですが、
継続的にウォッチしていく必要はありそうです。
筆者も試しにGUIを使ってみましたが、まだまだ使いにくく実際の現場で使えるレベルには程遠い印象ではあります。
👉 まとめると
- Zemax → 完成された設計プラットフォーム
- Optiland → 未来志向の設計フレームワーク(但し、コミュティが小さいので、まだまだといったとこ)
向いている用途
現時点での使い分けはこんな感じです:
Optilandが強い
- 研究用途
- 新規設計アルゴリズム
- inverse design
- 機械学習統合
Zemaxが強い
- 製品設計
- 製造連携
- 実務フロー
- 信頼性
まとめ
Optilandは、
👉 「光学設計をコードに再定義する」試み
であり、
- 光学
- 数値最適化
- 機械学習
が融合が期待できる非常に面白い領域にあります。
但し、OSSには自己責任。自力解決が前提であることを忘れずに。
そこが嫌という場合には、Zemaxを利用してサポートを受けながら、設計を進めるのがベターでしょう。
次回予告
次の記事では、
- 実際にレンズ設計してみる
- 最適化を回す
あたりをやってみようと思います。
※本記事は筆者個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。
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