はじめに
「○○ビリティ」と言う用語をよく耳にしませんか？
…ビビディ？
…バビディ？
ではなく、ビリティです。
ユーザービリティやスケーラビリティや、最近よく耳にするSDGs（Sustainable Development Goals）の「S」もサスティナビリティで「○○ビリティ」です。
IT業界にいるとよく耳にする「○○ビリティ」形式の用語は、「単語（○○）＋アビリティ（ability）」を組み合わせた用語で、アビリティを直訳すると「能力」「性能」「できること」のような意味になりますが、必ずしも「○○能力」などアビリティの意味に則しているとは限らないようです。
今回は、そのような「○○ビリティ」となる用語をまとめてみました。
なぜ、用語集をつくるのか？
既に「○○ビリティ」となる用語を多く知っていて、多用している人もいると思いますが、新人さんや駆け出しエンジニアの中には、会話に急に知らない「○○ビリティ」が出てきて「？」となってしまっている人も多くいると思います。
僕はSier時代にSESで多くの現場に出向していたのですが、あるプロジェクトで某事業会社にピンで出向した時があり、MTGに出てくる用語が分からず苦労した時がありました。
あまり人に聞ける環境ではなかったので、メモっては調べるを繰り返して、少しずつ会話が理解できるようになtたのですが、会話の理解に比例して仕事も回るようになっていきました。
会話に登場する用語を知っているのと知らないのでは、会話の理解度は圧倒的に違いますし、会話の理解度の違いは、次の行動や思考の質やスピードにも大きく影響しますね。
そんな経験から、よく耳にする「○○ビリティ」の用語集をつくろうと思いました。
誰かの役に立てば嬉しいです。
ビリティ用語集
「○○＋（ア）ビリティ」となる用語を集めてみました。
ア行
アカウンタビリティ（Accountability）
説明責任・説明義務
自分が権限を持っている職務についての現状を、関係者に説明する義務のこと。
企業が関係者に対して事前に事態の内容や状況を説明し、理解して納得してもらう意味も含まれている。
関連用語
レスポンシビリティ（Responsibility）：責任・責務
アクセシビリティ（Accessibility）
近づきやすさ・利用しやすさ
広い種類の利用者が製品や建物、サービスなどを支障なく利用できる度合いを指していることが多い。
アベイラビリティ（Availability）
可用性・稼働率
システムを正常な状態で継続的に使い続けることができる耐久性のこと。
公式）運用アベイラビリティ
MUT/(MUT＋MDT)
MUT（Mean Up Time）：平均動作可能時間
MDT（Mean Down Time）：平均動作不能時間
公式）固定アベイラビリティ
MTBF/(MTBF＋MTTR)
MTBF（Mean Time Between Failures）：平均故障間隔
MTTR（Mean Time To Failure）：平均故障時間
インターオペラビリティ（Interoperability）
相互運用性
複数の異なるものを接続したり組み合わせて使用したときに、きちんと全体として正しく動作すること。
また、その度合い。
例）仮想通貨（暗号資産）のインターオペラビリティ
異なるブロックチェーンにより管理されている仮想通貨やトークンが、それぞれのブロックチェーンネットワークを超えて相互に交換や送金できる状態を指す。
関連用語
インタラクション（Interaction）：相互作用
インタラクティブ（Interactive）：会話型，対話型
オブザーバビリティ（Observability）
可観測性
システムが運用する上で必要な内部状態の情報を取得できる状態にあること。
カ行
ググラビリティ（Googlability）
ググられやすいさ
Googleで検索しやすい言葉かどうか？という意味。
Googleで上位表示される為に、会社名やサービス名を命名すること。
参考）
ヒットや大コケの決め手だと噂の「ググラビリティ」ってどういうこと？
ケイパビリティ（Capability）
組織能力
プロセス、マネージメント、ナレッジ、スピード、効率性、品質などが含まれる。
関連用語
リソース（Resource）：資源・資産。ヒト・モノ・カネ・情報。
コントローラビリティ（Controllability）
可制御性
自分自身で物事をコントロールできる能力
自分自身でコントロールできるものが多いほど、コントローラビリティが高い状態となる。
自分で選択できる選択肢を持つことも、コントローラビリティを高めることができる。
コンパチビリティ（Compatibility）
互換性
ある機器や部品、ソフトウェア、システムなどについて、それと置き換えてもこれまで通りの動作をする性質のこと。
関連用語
インターオペラビリティ（Interoperability）：相互運用性
コネクティビティ（Connectivity）：接続性
サ行
サービサビリティ（Serviceability）
保守性
機器やソフトウェア、システムの機能や状態を維持管理のしやすさ
関連用語
メンテナビリティ（Maintainability）：保守性
サスティナビリティ（Sustainability）
持続可能性
自然環境や人間社会などが、機能やシステムを失わずに、将来に渡って良好な状態を維持させようとする考え方のこと。
環境、社会、経済の3つの観点で取り上げられることが多い。
ショッパビリティ（Shoppability）
買物のしやすさ
ショッパー（買い物客）にとっての「買物のしやすさ」「買物経験の質の高さ」を表す概念。
スケーラビリティ（Scalability）
拡張可能性
機器・ソフトウェア・システムなどにおいて、利用者や用途の増大に適応して、性能や機能を向上・拡張できる能力のこと。
スケーリングには、一般的に２つの選択肢がある。
・垂直スケーラビリティ（スケールアップ）
同一論理ユニット内で資源を追加して処理能力を向上させること。
・水平スケーラビリティ（スケールアウト）
資源の論理ユニットを複数追加して、単一ユニットとして動作させること。
例）ブロックチェーンのスケーラビリティ問題
ブロックチェーンのネットワークが拡大し、送金の遅れや手数料の増加、処理速度の低下などのマイナスの現象が引き起こされる問題のこと。
ブロックチェーンの場合、P2Pネットワークで各ノードのスペックに依存することや、ノードを増やしてもタスク分散されないことなどから、スケールアップもスケールアウトも容易ではないとされている。
スタビリティ（Stability）
安定性
タ行
ツッコマビリティ（Tsukkomability）
突っ込まれる余地を残しておく能力
ツッコミビリティ（Tsukkomibility）
突っ込む能力
トレーサビリティ（Traceability）
追跡可能性
製品やその部品、原材料の流通経路を追跡可能であること。
不備が見つかった場合に、流通経路をさかのぼって調査ができ、原因の特定や改善につなげられる。
トレーサビリティーには、2つの考え方がある。
・トレースフォワード
生産者を「上流」、消費者を「下流」とした場合、上流から下流に向かって追跡する。
・トレースバック
トレースフォワードとは逆に、下流から上流に向かって追跡する。
ナ行
ハ行
バルネラビリティ（Vulnerability）
脆弱性
攻撃を受けやすさ、傷つきやすさのこと。
ビューアビリティ（Viewability）
広告がユーザーに本当に見られているのか？
配信された広告（総インプレッション）のうち、実際に閲覧された広告（ビューアブルインプレッション）の比率のこと。
公式）ビューアビリティ（％）
ビューアブルインプレッション/総インプレッション
ファインダビリティ（Findability）
情報のみつけやすさ
ウェブサイトやコンテンツが、検索利用者から見つけやすい状態にあるかの指標。
SEO界隈では「ファインダビリティSEO」という言葉でも使わる。
フレキシビリティ（Flexibility）
柔軟性・融通性
ポータビリティ（Portability）
可搬性・移植性・携帯性
他の場所への移動、移転、持ち運びのしやすさを表す。
マ行
メンテナビリティ（Maintainability）
保守性
関連用語
サービサビリティ（Serviceability）：保守性
モビリティ（Mobility）
流動性・移動性
人の動きやすさを意味することもある。
またIT分野では、移動中のサービス利用のことを指す。
関連用語
Maas（Mobility as a Service）：マース
ヤ行
ユーザービリティ（Usability）
使用性
使いやすさ・使い勝手
ISO 9241-11では、「特定の目的を達成するために、特定の利用者が、特定の利用状況で、有効性、効率性、そして満足とともにある製品を利用することができる度合い。」と定義されている。
ラ行
ライカビリティ（Likeability）
好感度
好きになられる能力、人の気持ちを前向きにする能力のこと。
リーダビリティ（Readability）
可読性・読みやすさ
テキストが読みやすいかどうかを意味する。
関連用語
レジビリティ（Legibility）：可読性・読みやすさ
リーチャビリティ（Reachability）
到達性
到達可能であること。
関連用語
IPリーチャビリティ：IPのパケットが到達可能であること
グローバルリーチャビリティ：インターネットへ到達可能であること
リアイアビリティ（Reliability）
信頼性
一定の条件下で安定して期待された役割を果たすことができる能力。
関連用語
SRE（Site Reliability Engineering）
レジビリティ（Legibility）
可読性・読みやすさ
文字が正しく判別できるかどうかを意味する。
関連用語
リーダビリティ（Readability）：可読性・読みやすさ
レスポンシビリティ（Responsibility）
責任・責務
関連用語
アカウンタビリティ（Accountability）：説明責任・説明義務
おわりに
よく耳にする「○○ビリティ」から、あまり耳にしない「○○ビリティ」まで調べながらまとめてみました。
適時更新していきますので、追加用語や意味に誤りなどありましたら遠慮なくご指摘いただけると助かります。