はじめに
Metamoji Shareは,一言で言えば,発表者のスライドの操作(ページ送り,ポインタ,書き込み,拡大縮小)を遠隔の受講者の手元で同期閲覧するソフトです.よくあるビデオ会議の画面共有と違って,資料を事前共有しておいて操作情報だけリアルタイムに同期するらしく,200Kbpsに速度低下したスマホでもまともに同期閲覧できます.
(もっと言えば受講者側からも書き込みをさせたり双方向にも使えますが,それには受講者がある程度習熟しないといけないのでとりあえずおいておきます)
ちょっと前に,以下のようなコンテンツを書きました.
200kbpsのスマホでスライドの同期閲覧をしたときにどんな感じになるかを知りたい人は,まず上のページにリンクの動画を見てみてください.
今度は,実際にMetamoji Shareで授業を組み立てる方法について説明します.
なお,以降この文書では単にShareと書いた場合はMetamoji Shareのことを意味します.
準備
講師側で必要なソフトウェア
Metamoji Shareのインストール
iOS(iPhone, iPad),Windows,Androidに対応しているので,それらのいずれかにMetamoji Shareをインストールしておきます. Windows版の場合,マウスでも操作できますがタッチパネルのほうが使いやすいでしょう.
こちらにストアへのリンクがありますが,それぞれ App Store, Windows Store, Play Storeでインストールできます.有料で大体900円程度です(OSによって若干違います).
インストールが終わると一度アプリを起動して,MetaMoji IDというクラウドのアカウントを作成しておきます. 初回起動時にサインインを要求する画面が表示されるので, MetaMoji IDを持っていない場合はここで作成しておきます. 無料で作成でき, 1ヶ月間あるいは1GB分のデータをクラウドにアップロードするまではこのまま利用できます. 継続して利用するにはあとでアプリ内課金でクラウドサービスのゴールドプランを契約する必要があります(610円/月).
サポートのページにOS別の使い方があるので,ページの編集などはここを見ながらやっていきましょう.
ボイスチャット,テキストチャットの準備
Shareでは音声配信ができないので,別途ボイスチャットのために ZoomやTeamsなどを用意しておきます。受講者からのフィードバックをうけるためにテキストチャット機能もあるといいでしょう(Shareにもテキストチャット機能はありますが).
またクラスとしてのメンバシップも,チャットのグループなどで管理します.(Share側はメンバシップを管理しない). Shareとの連携は,Shareでクラウドにアップロードした資料のURL情報を伝えるだけなので,テキストチャットやLMSなどでも配布できます.
これらの環境の用意は,いろいろ解説があると思うのでここでは省きます.
受講生側の準備
Metamoji Share Liteのインストール
受講者には,事前に無料版のMetamoji Share Liteをインストールしておいてもらいます. iOS(iPhone, iPad), Windows, Android版があり,それぞれストアからインストールできます.こちらは無料です.
受講者が講師のスライドを閲覧するだけなら,使い方の習熟はいりません. 余計なボタンをおして同期が止まっても,アプリを起動しなおせばオーケーです.
その他のソフト
講師側にも書いたボイスチャット,テキストチャットなどを用意してもらいます.この辺りはいろいろ解説があると思うのでここでは省きます.
スライド資料の準備
パワーポイントなど対面授業で使うスライド資料をそのまま利用する場合は,PDFに変換しておきます.このときアニメーション情報は失われるので,複数のページに分解するなど工夫しておきます.また,講義中にリアルタイムに書き込みができるので空欄にしておいて書き込むという手もあります.
黒板に書いて授業をしていた人は,白紙ページにリアルタイムに書き込めば同じことができますし, 複雑な式やグラフ,写真資料などだけPDFとして用意しておく手もあります.
パワーポイントのスライドから作った場合はA4横サイズだとおもいますが,授業中に画面をスクロールしたり拡大縮小することも可能(それも受講者側に同期する)なので縦型サイズや一枚の大きい紙をイメージしたポスター形式でもオーケーです.
一点だけ注意するのは,事前共有のデータ量を削減するため,この段階でAcrobatなどの圧縮機能や写真の解像度の最適化などでPDFのサイズを削減しておくことです.
Shareへのスライド資料の読み込みと編集
ここからの操作の様子はこちらの動画の3:00あたりからの作業になるので,そちらも合わせてみながら雰囲気をつかんでください.
PDFのスライド資料をShareへインポートします.各OSの操作は上にあげたサポートページにあります.例えばiOS版の場合はこちらを読めばインポート方法がわかります.
ShareにPDFを読み込んだとき,「会議を始めますか」と聞かれますが,読み込んだPDFをそのまま使用する場合は「はい」,少し編集して使いたい場合は「いいえ」を選びます.
Shareでは,事前にPDFに手書きの絵や図形,テキストなどを加えることができます. おすすめはスライド資料の一部を伏せておいて受講生に考えさせてから見せる,ワイドショーのフリップのめくり芸のような準備をしておくことです.これは伏せておきたいところに矩形の図形を重ねて書いておいて,見えないようにしておきます.授業中にこの矩形図形を選択して削除すればめくり芸ができます. そのために書き込んだ図形を削除する操作にもなれておきましょう.
会議の開始(スライド資料のクラウドへのアップロードと受講者への配布)
「会議を始める」というボタンを押すとタイトル,配布方法,詳細設定を決めるページが現れるので,これらを設定して開始ボタンを推します.詳しくはこちらに説明があります.
- 「タイトル」の項目にスライドのタイトルを入力します.
- 「配布方法」のところで,受講者への資料の配布方法を選択します.OSによって若干異なりますが,メールで配る,公開URLで配るなどの方法があります.おすすめは公開URLです.とりあえずここでは公開URLを選んだとして説明します.
- 「権限の設定」を選んで,一番下の「未登録ユーザーの権限」を選び,書き込みを禁止にチェックを入れておきます.
- 「パスワード」公開URLのランダム性だけでは他の人に読まれないか心配という人は,パスワードも設定しておきます.ただ受講者側の手間になるので,パスワードは設定せずに講義が終わったらクラウドから消去して,別途LMSなどにPDFや講義動画の形でアップロードしたほうが手軽でいいかと思います.
開始ボタンを押すと「シェアノートを作成しています」,「接続しています」,「アップロードしています」などとメッセージが出て,最後に公開URLが表示されます.このURLを授業のグループチャットや授業ウェブページ,メールなどで受講者に配布します.
受講者による資料の読み込み
受講者に配布したURLのリンクをブラウザでアクセスすると,スライドの表紙の画像と「Open」というボタンがあるページが表示されます.受講者がこのOpenボタンをクリックすると,資料がダウンロードされます.ダウンロードしたファイルを受講者がShare Liteで開くと,スライド資料を読み込めます.
Share Liteでの開き方はOSによって異なりますが,Windowsの場合はShare Liteをインストールしたときに関連付けされているので,そのまま開きます.iPhoneやiPadの場合はダウンロードしたあとで,共有ボタンを押して,「Share Liteにコピー」を選びます.
受講者が初回起動の場合はサインインの画面が表示されますが,IDはなくてもいいので,「今はしない」をクリックしてもらえばいいです.
「接続しています」「ダウンロードしています」などのメッセージが表示されたのち,スライドが表示されます.
この資料の読み込みは,200kbpsだと多少時間がかかるので,事前にやっておいてもらったほうがいいです.一度読み込んでおけば,あやまってShare Liteアプリを閉じてしまってももう一度アプリを起動すれば勝手に接続されます.またShare Lite上で操作を間違ってよくわからない画面になっていても,公開URLをダウンロードしてShare Liteに読み込ませれば同じ画面に接続されます.
授業を開始
授業を開始するときには,Shareの画面で,Shareアイコンから司会者になるを選びます.
この状態で,受講者のShare Liteの画面は,講師の操作に同期しています. 講師がペンで絵や文字を書き込めば,受講者側でそれが見えて,ページ送りをすれば,受講者側のページも送られ,拡大縮小スクロールをすれば,受講者側でもそれが同期されます.
継続して使用するために
スライド資料の共有のためにMetaMoji IDに紐つけられたシェアサービスというのを利用しているのですが,ID作成時に一ヶ月いない,1GBまでの無料サービスが付加されています.継続的に利用するには,ゴールドサービス(610円/一ヶ月)を購入する必要があります.購入方法はアプリない課金でこちらに説明があります
おわりに
試したところ,受講者側が200kbpsでも安定していて,有望だと思います.
ただ,受講者側の操作は簡単だと思いますが,それでもアプリのインストールや若干の操作がありますので,できない子がいる可能性も想定しなければいけません.また,サーバーやネットワーク環境が不安定になる可能性もあります.
他のやり方でも同じだと思いますが,ダメだったときのバックアップ体勢は常に考えておく必要があります.とは言ってもリアルタイム授業は時間も決まっているのであまり切り替えに時間もかけられません.そこでリアルタイム授業のバックアップはオンデマンドに講義動画を配布する方法だとおもいます.
理想的なのは事前に講義動画も作成しておいて,ダメな人はこのリンクで講義動画をみてくださいとアナウンスしておくことだと思います.ただそれだと二回講義をしないといけないので,次善の策として,リアルタイム講義を録画しておいて,それを講義終了後に公開するという方法だと思います.これなら1回の講義だけでできますし,ちゃんと受講できた人も見返しができるのでいいんじゃないかと思います.
ただ,動画にするとオンデマンドでも200kbpsだと辛いというのが悩ましいところですが...