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生成 AI 利用率〇パーセント達成した、次は AI エージェント〇個作成が目標?

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Last updated at Posted at 2026-07-05

はじめに

生成 AI の活用推進に取り組む組織が増えています。例えば、Microsoft 365 Copilot を導入し、利用率を指標の一つとして追いかけている組織も多いと思います。もちろん、利用率は目的ではなく手段でしかないという点は、これまでの記事でも繰り返しお伝えしてきた通りです。

その次のステップとして、最近よく見かけるのが「次は AI エージェントの活用」という流れです。例えば、Agent Builder をどんどん使っていこうと推進し、エージェントの作成数や利用数を指標として追いかける、というものです。また、「社内で AI エージェントを〇〇個作った」という対外的な発信も増えてきたと感じています。

取り組みの熱量が伝わってくる一方で、個人的には、この「Agent Builder で何個作ったか」という見方には、少し立ち止まる余地があると考えています。今回は、その理由と、では何を見るべきかについて、自分の考えを整理してみたいと思います。

言うまでもなく、ただの個人的な見解です

そもそも Agent Builder で作れるものとは

まず前提の確認です。Agent Builder(宣言型エージェント)で作れるものは、構造としてはとてもシンプルです。

  • 指示文(よく使うプロンプトの固定化)
  • ナレッジ指定(参照先ファイルや Web サイトの固定化)

主にこの 2 つを埋め込んだ、カスタムされたチャット窓口です。個人的に、毎回同じ指示を入力する手間が省ける、クリップボードにプロンプトを貼っておく運用より少し楽になるという印象です。また、個人的に、ChatGPT でいうところの GPTs に近い印象を持っています。

もちろん、Agent Builder を活用することで効果は出ると思います。ただ、「人がチャットで問いかけて、答えを得る」という働き方は Copilot 本体と同じであり、個人的に、役割としては、チャットボットの系譜にあるものだと考えています。

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チャットボット (Agent Builder のエージェント) が増えると、生産性は上がるのか

では、指示文とナレッジを固定化したチャットボット的な AI エージェントが社内にたくさん生まれたとして、それだけで組織のアウトプットが大きく変わるかというと、個人的には慎重に見ています。理由は主に 4 つです。

※もちろん、上述の通り、効果はありますが、大きく変わるかという観点で考え (主観) を述べています

多くは Copilot 本体でも再現できる

前述の通り、Agent Builder で作成できるエージェントは、毎回同じ指示を入力する手間が省ける、クリップボードにプロンプトを貼っておく運用より少し楽になる、という良さはあります。ただ、やっていることの多くは、Copilot 本体にプロンプトを入力し、ナレッジを参照させることでも再現できる認識です。

また、通常の Copilot Chat の方がモデルの選択の幅がある分、やりたこと次第では、Agent Builder 化しない方が回答の精度がよいケースもあるかもしれません。

いずれにせよ、Copilot Chat を活用している際と比較して、得られるアウトプット自体が大きく変わるものはそう多くない認識です。そのため、生産性が劇的に向上するわけではない、という認識です。

人が聞かないと働かない

チャットボットは、問いかけた人に答えるだけです。答えを受け取った後の作業は引き続き人間が行うため、組織や部門の業務プロセスを大きく変えるほどのケースは少ない認識です。

ナレッジ管理の代替になりがち

ナレッジを指定したエージェントは、言ってしまえば「そのナレッジに答えてくれるチャットボット」です。簡単ではないものの、組織のナレッジの管理、共有の仕組みが十分に機能していれば、少なからず、必要性は下がるものだと考えています。

※もちろん、ナレッジ管理がうまく機能していない現場を補う道具としての実需はあると思います。ただ、それは「不全を補うパッチ」であり、AI エージェントの価値とは分けて考えたいところです

プロンプト共有の手段は既にある

「良いプロンプトをエージェント化しておけば他の人と共有しやすい」という見方もあると思います。ただ、プロンプトのテンプレート共有は、これまでもさまざまな方法で十分に実現できていたと思います。また、個人的に、指示文を埋め込んだだけのものをそこまで広範囲に共有するケースは多くない印象です。業務は部門、プロジェクト、人それぞれ違うため、皆が普遍的に使えるプロンプトは、それほど多くはない印象です。

AI エージェントの本質はどこにあるか

ここまでを踏まえて、私が考える AI エージェントの本質は、業務プロセスへの組み込み にあります。「質問できる」と「任せられる」は別物、という整理です。

チャットボット的な働き方 AI エージェントの本質
起点 人がチャットで問いかける 人がチャットで依頼する、トリガーで自律的に動き出す
動作 答えを返す ナレッジから調査して、判断、推論、自己レビューして、必要に応じてツールを実行し、業務を進める
人の役割 答えを受け取り、その後の作業を行う 任せて、確認する側に回る
担い手 Microsoft 365 Copilot (Agent 機能除く)、Agent Builder Microsoft 365 Copilot のエージェント機能、Copilot Studio、プロ開発

指示文を埋め込んだりナレッジを固定化しただけのチャットボットには質問はできますが、人間の代替として仕事を任せるというほどのインパクトは出にくいと思います。個人的に、どれだけ AI エージェントに仕事を任せられるかが、生産性の変化にもつながると考えています。

そして、この観点で見ると、Agent Builder から Copilot Studio への移行は「同じことの高機能版」ではなく、向き合うテーマ自体が変わる転換だと感じています。

Agent Builder の場合においても、少なからず考えるケースもあると思いますが、Copilot Studio を利用する際は、仕事を言語化して、分解して、トリガー設計、ツール実行、失敗時の振る舞い、つまり「仕事の任せ方」を設計する必要性がより高まるという認識です。

個人的に、仕事の任せ方の設計は、マネジメントの延長にある営みだと考えています。この点については、以前以下の記事でも書いていますので、参考にしていただければと思います。

Agent Builder の位置づけをどう考えるか

誤解のないようにお伝えすると、Agent Builder に意味がないとは考えていません。Agent Builder を推進することも、十分効果的な施策だと考えます。ただ、個人的に、位置づけを整理すると、以下のようなイメージを持っています。

  • Copilot 本体の活用 が本線です。生成 AI に慣れ、後述のエージェント機能も含めて、日々の仕事でより多くを任せられるようになっていく
  • Agent Builder は、本線と並行して取り組める「オプション」です。「エージェント」という考え方に触れる入り口、教育のきっかけとしての価値があります
  • Copilot Studio、プロ開発 で業務プロセスに組み込み、仕事を任せる領域に進んでいく

ここで意識したいのは、Agent Builder を「利用率が上がった後の次のステップ」と位置づけてしまうと、Copilot 本体側は「もう十分やり切った」という空気になりがちだという点です。後述の通り、本体側はエージェント機能を含めて、まだまだ任せられる余地が大きいと考えています。そのため、Agent Builder は本体活用の次のステップというより、本線と並行するオプションくらいの位置づけが適切ではないか、というのが現在の私の考えです。

AgentBuilderの位置づけ_一枚図.png

一方で、Agent Builder の作成数や利用数を、組織の AI 活用の進み具合を示す重要な指標としてそこまで追いかける必要まではない、というのが現在の私の考えです。個人的には、Copilot 本体が十分に活用されていれば、Agent Builder はオプションくらいの位置づけでもいいのではと思っています。

また、対外的に「AI エージェント〇〇個」と発信する場合も、性質の異なるものを同じ「数」で束ねてしまうと、うまくいっているかどうかの判断を誤りやすくなると考えています。

Copilot Studio 等で業務プロセスに組み込まれ、組織単位で価値を生んでいるエージェントが多いのであれば、それは組織にとって非常に重要なことだと思います。ただ、その場合も見たいのは「数が多いこと」ではなく「価値を生んだものが多いこと」かなと思います。

では、何を見るべきか

ここまで、Agent Builder で作れるものの実態と、その位置づけについての考えをお伝えしてきました。改めてになりますが、Agent Builder でエージェントがたくさん作成されているからといって、それだけで「AI の活用が十分に進んでいる」と捉えるのは少し早いのではないか、というのが私の考えです。エージェントがたくさん作られること自体は、悪いことではないと思っています。

では、代わりにどの指標を見ればいいのか、という話になりそうですが、「この指標を見ればよい」というものを一概に示せるわけではありませんし、そのように単純化したいわけでもありません。そのため、ここからお伝えしたいのは、代わりの指標というより、視線の向け先です。

表面的な数字より、ミクロに価値を見る

月に何回使ったか、日に何回使ったか、エージェントを何個作ったか。これらの数字は活用の「状態」を映しますが、価値が生まれたかどうかまでは分かりません。それよりも、どの仕事を任せられるようになったか、アウトプットはどう変わったか、時間削減ではなく価値は向上したか、という点を、一人ひとりの業務レベルでもう少しミクロに確かめていく方がいいのではないかと考えています。

Agent Builder より先に、または並行して、Copilot 本体のエージェントを使い倒す

組織によっては、Copilot の活用推進を進め、利用率がある程度高くなったところで「ここまで来たら一定やり切った」と捉え、次は AI エージェントだ、ということで Agent Builder の推進に軸足を移すケースもあるかなと思います。

ただ、個人的には、一定の利用率に達したことで満足してしまうのは、少しもったいないと考えています。マネジメントの延長で捉えると、利用率が上がった状態というのは「新しいメンバーがいて、ちょっと頼んでみる、ということが認知された」くらいの段階だと思っています。ここから、どれだけ大きな仕事を任せられるようになっていくかが本番です。というのも、最近の Microsoft 365 Copilot は、本体側の機能がどんどん進化しており、仕事を任せられる存在、つまりエージェント機能が登場してきているためです。

  • Researcher / Analyst に、複数ソースを横断した調査や、データの分析、示唆出しを任せる
  • Edit with Copilot / Office Agent に、成果物の作成や修正を任せる
  • Copilot Cowork に、複数のサービスをまたがった仕事を任せる

ここで押さえておきたいのは、これらが単なる新機能ではなく、それ自体が AI エージェントだという点です。人が話しかけて始まる点はチャットと同じですが、答えを返して終わりではなく、調査、分析、資料作成といった仕事のまとまりを、計画からアウトプットまで丸ごと任せられます。つまり、AI エージェントは、Agent Builder で新たに作らなくても、既に Copilot 本体の中にいる、という捉え方もできると思っています。

利用率という数字に満足して本体の活用を深めることを止めてしまうと、こうした進化し続ける機能を十分に使いこなせない状態になってしまう可能性もあるかなと思います。

そして、個人的に、Agent Builder で「エージェントを何個作るか」を目標にするより、既に提供されているこれらのエージェントを使い倒して、仕事を任せられるようになることの方が、生み出せる価値という意味で遥かに大きいと考えています。

もし「利用率が一定上がったのでひと段落した、これ以上深める必要はない。次は Agent Builder だ」という進め方をしているのであれば、あくまで私はこういう考えです、というくらいの温度感ではありますが、どちらかというと、Copilot 本体のエージェント機能をフル活用して、どこまで仕事を任せられているかを見る方に重きをおくことをおすすめしたいところです。Agent Builder はそれと並行するオプションとして取り組む、くらいのバランスがちょうどいいのではないかと考えています。

利用率では測れないものを、自社なりの目標に落とす

このため、一旦利用率が上がったからといって満足せず、「新しい機能も踏まえて、より仕事を任せられるようになっているか」を見ていくことが大事だと考えています。そして、ここはもう単純な利用率では測れない領域だと思っています。

ミクロな目標を作るのは面倒だ、と感じる方もいると思います。ただ、これまでもお伝えしてきた通り、そもそも汎用の生成 AI の活用はマネジメントの延長です。であれば、IT 部門がマクロなレポートだけで把握することが難しいのは、ある意味当然のことだと考えています。

人のマネジメントがうまくいっているかを、全社共通のダッシュボードだけで測れないのと同じです。

そのため、ある程度ミクロなヒアリングは必要だと思っています。現場で「業務効率化ができているか」ではなく、「マネジメントがうまくいっているか」「アウトプット、生み出している価値が増えているか」という観点で計測していく必要があるものと考えています。

新しい機能を使ってより上手くマネジメントできているか、仕事をより任せられるようになっているか、それを踏まえて生み出している価値が増えているか。こうした観点は、管理者向けの利用状況レポートには表れません。だからこそ、少しミクロになりながらも、自社なりの指標や目標をしっかり立てていくことが重要になってくるのではないかと考えています。

その中で、生成 AI を使ったマネジメントのロールモデルとなるような人材を見つけ、「この組織における生成 AI 活用の手本」として位置づけていく。そして、それを踏まえて新たな施策を打っていく。多くの組織は、そういう段階に来ているのかなと思っています。

まとめ

今回は、生成 AI の活用に関する私の考えを整理してみました。

AI エージェントは、Agent Builder で新たに作らなくても、既に Copilot 本体の中にいます。まずは、そうしたエージェントにどれだけ仕事を任せられるかに向き合うことが、自然な次のステップではないかと考えています。

生成 AI の活用が「利用率が上がったからよし、次は Agent Builder でエージェント作成だ。目標何個だ」と進んでいくのではなく、本当に価値を生み出せているかに向き合うきっかけとして、本記事がお役に立てば幸いです。

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