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【書評】Azure の知識地図

Last updated at Posted at 2025-05-11

はじめに

今回、著者の一人である土田純平さんに献本いただいたこちらの書籍の書評を書かせていただきます。

1 章 クラウドサービスと Azure の基礎

1 章では、クラウドサービス、Azure の基礎について学べます。改めて、クラウドサービスとは何か、その上で、Azure の契約形態、課金体系、管理単位等について基本を学べます。感覚的に理解しているところもあったため、改めて書籍を読むことで頭が整理されました。

2 章 Azure の IaaS を知ろう

Power Platform と Azure OpenAI の連携等で VNet を利用したことはありましたが、少し感覚的に理解している部分もあったため、本書を通じて改めて正しく理解することができました。

私自身、ネットワーク周りは前前職時代にオンプレミスの Windows Server や Exchange Server、ネットワーク機器等を担当していた際に学習しており、基礎的な知識はある認識でした。しかし、Azure のネットワークについて体系的に学んだ経験はなく、感覚的に検証用 VM を構築・運用していた部分もありました。そのため、本書で 仮想ネットワーク、ネットワークセキュリティグループ、Azure Firewall、ルーティング、DNS の名前解決 などを体系的に学べたことは非常に有意義でした。これらの基礎をしっかり学びたい方にとって、自信を持っておすすめできる内容です。

もちろん、仮想マシンや仮想マシンへの接続方法についても学べます。以前、私自身も仮想マシンを長期間停止していたにもかかわらず課金が発生していたり、Azure Bastion の利用で思わぬ課金が発生してしまった経験がありましたが、この本を事前に読んでいれば防げたのに…と、思いました笑。

3 章 Azure の PaaS を知ろう

3 章では Azure の PaaS について学べます。個人的には、Azure Functions、APIM、Azure OpenAI、Azure AI Search、Azure Blob Storage 等は Power Platform との連携や検証で触れた経験はありましたが、体系的に学んだことがなかったため非常に助かりました。

特にストレージ周りに関しては、どのサービスがどういった構造のデータに適しているのか、他サービスとの違いは何かが非常にわかりやすく整理されており、大変参考になりました。

また、コンテナー、分析、IoT 等、私自身がこれまであまり触れてこなかった分野や、名前は聞いたことがあるものの具体的なイメージが湧いていなかったサービスについても しっかりと概要を学ぶことができ、大変満足しています。

さらに最後には、セキュアな PaaS 環境の構築として Key Vault、認証、プライベートネットワーク化 等の重要なポイントまで学べる点も非常にありがたかったです。

加えて、ハンズオン形式でオリジナル ChatGPT アプリのデプロイに挑戦できるのも大きな魅力です。Azure OpenAI に対して マネージド ID を活用した認証認可の方法や、アプリ自体に組み込みの認証を追加して Entra ID 認証を実現する方法まで学べるため、実務に直結する知識とスキルが身につく内容となっています。

4 章 Azure でシステムを構築・運用しよう

4 章では、Azure 環境におけるセキュリティガバナンスの強化やコストマネジメントについて体系的に学ぶことができます。まず、認証・認可の基盤となる Microsoft Entra ID について、サービスプリンシパル、マネージドID、RBAC(ロールベースのアクセス制御)、条件付きアクセス、PIM(Privileged Identity Management)などの重要な要素が丁寧に紹介されています。

パスワード、キー、証明書等をセキュアに管理するための Azure Key Vault の基礎についても学ぶことができます

Azure上でセキュアなシステムを設計・運用するためには Entra ID、Azure Key Vault 等の理解が不可欠ですが、本章では初心者でもわかりやすく、基礎をしっかり押さえることができます。

コストマネージメントについても学ぶことができます。当たり前ですが、こちらも非常に重要です (個人で検証する場合も)。Azure に触れる方は、こちらを参考にしつつ、必ず、予算やコストアラートを設定しておくことをお勧めします。

管理ツールについても学ぶことができます。Azure CLI、Azure PowerShell、Cloud Shell それぞれの利用開始方法や特徴について知ることができます。

そして、Azure を実務で使うためのよくあるアーキテクチャについて学ぶことができます。フレームワークの紹介から始まり、オンプレミスからの仮想マシンの移行とハイブリッド接続、Web アプリケーションの展開など、複数のシナリオのアーキテクチャ例が丁寧に解説されています。こちらも非常に参考になると思います。

5 章 Azure の知識の深め方を知ろう

最後の章では、Azure に関する知識をさらに深め、実践力を高めていくための具体的な方法を学ぶことができます。公式ドキュメントやトレーニングプログラムの活用、資格取得へのアプローチ、サポートの効果的な利用方法、更新情報、コミュニティブログ、Azure 技術コミュニティなど、継続的に情報収集する方法まで、幅広く網羅されており、充実した内容となっています。

特に、サポートの対応範囲の理解や「一問一答」の原則を活用するポイントについて触れられている点は非常に実践的で、個人的にも非常にありがたいと感じました。Azure学習を長期的に続けていくための道筋を示してくれる、非常に価値の高い章だと感じました。

まとめ

本書はタイトルの通り、「Azure の知識地図」として Azure の全体像を体系的に学べる非常に優れた書籍だと感じました。Azure の初学者はもちろん、ある程度部分的に知識はあるものの、全体像を俯瞰して体系的に整理したことがない方にも自信を持っておすすめできる一冊です。

私自身、以前日本マイクロソフトに在籍していたものの Azure 専任ではなく、Power Platform やM icrosoft 365の 担当として Azure に部分的にしか関わってこなかった経緯があります。そのため、これまで Azure の知識が断片的だったのですが、本書を読むことで頭の中の知識が見事に整理され、Azure の世界観がしっかりとつながりました。

今後、Azure 関連の案件や課題に直面した際には、必ず本書の該当ページを参照するだろうと確信できるほど実務的で頼もしい内容です。Azure を学ぶすべての人にとって、長く手元に置きたい一冊だと思います。

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