SRE製品を担当している上司にオブザーバビリティ(Observability)について語ってもらったので、ITIL4 と SRE - Site Reliability Engineering(サイト信頼性エンジニアリング)の関係性、そしてそれを実現するための手段の一つとしての Zabbix + OpenTelemetryについて、自分なりに整理してみました。また、ITIL4のプラクティスである測定と報告(Measurement and Reporting)とも絡めて考えてみました。
「ITIL は古い?」「SRE と相反するのでは?」「Zabbix ってもう時代遅れ?」
そんな疑問を持っている方の頭の整理に、少しでも役立てば幸いです。
ITIL4 と SRE は対立するものではない
まず大前提として。ITIL4 と SRE は対立概念ではありません。
むしろ ITIL4 は、SRE を含むモダンな運用スタイルを前提に進化したフレームワークです。
ITIL v3 までのイメージ
- プロセス重視
- 承認・分業・文書中心
- 変更すること自体がリスク
ITIL4 のスタンス
- Agile / DevOps / Lean / SRE を前提
- プラクティスベース(やり方を縛らない)
- 価値共創・継続的改善を重視
ITIL4 は「守るための枠組み」
SRE は「守るためのやり方」
この関係性を理解すると、両者はむしろ補完関係であることが見えてきます。
ITIL4 と SRE の役割分担を整理する
| 観点 | ITIL4 | SRE |
|---|---|---|
| 主目的 | 価値の共創 | 信頼性の確保 |
| 視点 | 組織・経営 | エンジニアリング |
| 役割 | What / Why | How |
| 得意領域 | 方針・ガバナンス | 運用実践・自動化 |
ITIL4 が「何を・なぜやるか」を定義し、SRE が「どうやって実現するか」を担う。
この構図は、現場と経営をつなぐ意味でも非常に納得感があるのではないでしょうか。
両者をつなぐキーワードが Observability
ITIL4 も SRE も、共通して強く依存しているのが Observability(オブザーバビリティ) です。
Observability とは?
→「障害が起きたときに勘や経験ではなく、データで説明できる状態」
ポイントは **「説明できる」**こと。
異常が起きた
- でも…
- なぜ起きた?
- どこがボトルネック?
- 再発防止は?
これを勘や経験ではなくデータで説明できる状態が Observability です。
Zabbix と OpenTelemetry の役割
Zabbix の立ち位置
- インフラ・ミドルウェア監視の定番 OSS
- 可用性・リソース監視に強い
- ITIL4 の「監視・イベント管理」を堅実に支える
→「何が起きたか」を見逃さない
OpenTelemetry の立ち位置
- Observability のための計測標準
- メトリクス / ログ / トレースを統一的に取得
- ベンダーロックインを避けられる
→「なぜ起きたか」を説明するデータを出す
Zabbix + OpenTelemetry だけで Observability になるのか?
答えはNoです。ただ、Zabbix + OpenTelemetryを入れただけでは、Observabilityは成り立ちません。
- Zabbix:異常検知の起点
- OTel:因果関係の可視化
- ITIL4 / SRE:データを意思決定・改善に使う
この三点が揃って初めて、「Observability がある」と言える状態になると言えるのではないでしょうか。
現実的で強い構成だと感じた理由
Zabbix + OpenTelemetry が良いと思った理由はとてもシンプルです。
- 既存の Zabbix 資産を捨てない
- 段階的に導入できる
- OSS 中心で始められる
- ITIL4 / SRE と思想的に矛盾しない
特に企業運用では、「いきなり全部変えない」ことが何より重要なので、Zabbix を土台に Observability を積み上げるという戦略は、とても現実的な選択肢と言えるでしょう。
ITIL4「測定と報告(Measurement and Reporting)」とObservability
ITIL4における測定と報告の目的は「数字を集めること」ではありません。
- 意思決定を改善する
- 振る舞いを変える
- 行動につなげる
例えば、「CPU使用率が高い」という報告では意思決定は変わりませんが、「このAPIが全体遅延の70%を占め、SLO違反の原因になっている」と説明できるようになります。
Observabilityはこの「測定と報告」を成立させるための技術的土台と言えます。
まとめ
- ITIL4 と SRE は対立しない
- SRE は ITIL4 を「実践可能」にする
- Observability は両者の共通基盤
- Zabbix + OpenTelemetry は Observability を実現する有力な手段
- 大事なのは「入れること」ではなく「使って判断を変えること」
今回、SRE 製品を担当している上司から Observability を軸に話を聞いたことで、「運用を説明できること」そのものが、サービスの信頼性であり、組織の強さや価値になる時代なんだと強く実感しました。
一般的マネジメントプラクティス一覧
- アーキテクチャ管理
- 情報セキュリティ管理
- ナレッジ管理
- 測定と報告
- 組織変更の管理
- ポートフォリオ管理
- プロジェクト管理
- 事業関係管理
- リスク管理
10.サービス財務管理
11.戦略管理
12.サプライヤ管理
13.要因及びタレント管理 ← 今回はコレ
14.継続的改善
株式会社ジールができること(宣伝)
AIを活用するためには確かなデータ基盤とPDCAのそもそもPを始めるためのデータの可視化が必要です。ジールではZ-BISS BI製品選定サービスというものを提供しております。はじめてのデータ活用、もっとデータ活用したい方へ。また、数十以上のBI製品を取扱う安心安全のBI選定サービスをご利用になりたい方は、 BI・データ活用の窓口「Z-BISS」 へアクセスしてみてください。