はじめに
こんにちは。KDDIアジャイル開発センター株式会社(KAG)の高橋です。
今回は普段スクラムマスターとして業務を行なっている立場から、ファシリテータ(会議の司会進行役)として意識していることを3つ共有します。
以下のような方々にとって、少しでも参考になればと思います。
- 会議や打ち合わせのファシリテーションを任されてからまだ日が浅い方
- 参加している会議や打ち合わせが効果的だと感じられない方
- ふりかえりで「打合せ時間が長い」「打合せが多い」などの意見が上がっているチーム
- 自分がファシリテートを任された会議がうまくいっているのか自信がない方
なお、たとえご自身がファシリテータをやることがなくとも、参加者の立場からも会議を有意義にするための立ち回りは可能です。
むしろ有意義な会議には、参加者の積極的な発言や建設的なマインドが必須です。
ぜひ参加者として、ファシリテータの方を支えてあげてください。
意識していること① 参加者に「会議のゴール」と「期待する役割」を示す
「参加している会議の目的がよくわからない」
「同僚に『とりあえず参加してほしい』と言われて会議に参加したが、結局自分に何を期待されているのかがよくわからない」
「毎週定例会議に参加しているが、いつも自分は一言も話すことなく会議が終わるので内職している」
「会議で発言するメンバーがいつも偏っている」
そんな経験はありませんか?
上記の例のような会議では、残念ながらあまり有意義な成果が得られません。
このような状況を回避するため、私は打ち合わせの参加依頼を出す際に会議のゴールと期待する役割を参加者に伝えています。
これにより、参加者は「この会議になぜ私が参加しているのか(WHY)」を認識した状態で会議に参加することができ、本題に集中することができます。
具体的には、会議の招集をかける際に以下のような内容でカレンダーに予定登録しています。
件名:【ご相談】例の企画のアクション決め
○○さん
お疲れ様です。高橋です。
先日ご相談いただいた例の企画の件について具体的なアクションを決めたく、予定登録します。
もしこちらの枠でご都合が悪いようでしたら日程調整しますので、遠慮なくお知らせください。打合せ目的
- 企画のアクションを決定する
- 今後の具体的なアクションを決めるにあたり、懸念や疑問点を解消する
参考資料
- スライドやPDF資料を添付する
- JiraやConfluenceページのリンクを貼る
上記の例では相手に「期待する役割」を記載していませんが、1:1の打ち合わせの想定かつ事前に口頭で認識合わせが済んでいることが多いため、省略しています。
ただし事前の会話ができていなかったり、会議の参加者が8名以上など多く、互いのことをあまりよく知らない場合にはしっかり記載すべきです。
なお、参加依頼を記入する際に特定の参加者に期待する役割を明確に認識できない場合、本当にその参加者へ参加依頼を出す必要があるか、よく検討しましょう。
意識していること② 事前準備を行う
参加者の日程調整を行い、会議の実施日時がFIXしたら、あとは会議を開くだけ。
…そんな風に思っていませんか?
それでうまくいくことももちろんあるかとは思いますが、経験上そうでないことのほうが多いように思います。
特に参加者が2名や3名など少人数であればよいのですが、10名以上になってくると事前準備は欠かせません。
ファシリテータは次のような事前準備を行うことで効果的な会議にできる可能性が上がります。
- 会議の目的に応じて適切な手法とツールを検討する
- ブレインストーミングやアイデア出しであれば、ワークシートを用意する
- 仕様検討や何らかの意思決定をしたいのであれば、論点やテーマを整理する
- 時間配分を考える
- 会議の目的を達成するために、どんなアジェンダが必要でどこに時間をかけるべきか
- アジェンダを組み立てる
- 参加者が会議の内容に集中できるよう、アイスブレイク>会議の目的や背景の説明>本題>質疑応答>ネクストアクションのような構成にする
- 参加者への事前依頼を早い段階で出しておく
- 参加者のカレンダー登録と同じタイミングでもよいが、参加者に事前に目を通してほしい資料や考えてほしいことがある場合は時間的な余裕をもって依頼する
「会議は事前準備が6割」という心構えで準備を進めるとよいと思います。
意識していること③ ファシリテータは喋りすぎない、黙りすぎない
個人的な見解になりますが、ファシリテータはあまり議論の中心にいるべきではないと思っています。
会議の参加者の意見を引き出し、定められた時間内で会議の目的を達成し、次のアクションにつなげることがファシリテータの役割だからです。
どちらかというと議論の輪からは外れ、生まれた意見やアイデア、論点を整理し、議論が円滑に進むように一歩引いた目線から会議を進めることが期待されているように思います。
自分自身が議論の中心にいると客観的な視点で情報を整理することや、時間配分を意識することが難しくなるためです。
かといって、議論が始まったらただ成り行きを見守っていればよいということでもありません。
具体的には、以下のような状況が生じたらファシリテータは会議をコントロールし、会議の目的達成に向けた議論ができるように軌道修正することが必要です。
- 議論のフェーズになっても参加者から発言が生まれないとき
- 適切な問いを参加者に投げかけ、意見や発言を引き出しましょう
- 特定の参加者だけが発言し、ほかの参加者が発言しづらそうにしているとき
- ほかの参加者にバイネームで質問をし、発言機会を設けましょう
- 議論が白熱し、本題から逸れているとき
- 参加者全体に議論が本題から逸れていることを伝え、本題に戻しましょう
- 必要に応じて、本題からそれた話題を議論する場を別途設けることを伝えましょう
- 議論が白熱し、既定の時間が経っても結論が出ていないとき
- 状況を見て、以下のいずれかを参加者に提案しましょう
- 参加者全員のこの後の都合を確認したうえで、会議の時間を延長できる場合は延長することを参加者に伝えましょう ※延長時間は最大でも15分程度が目安
- 誰か一人でも延長が難しい場合は、規定時間で会議を終了し改めて会議の場を設けましょう
- 状況を見て、以下のいずれかを参加者に提案しましょう
会議の主役はファシリテータではなく、参加者であるということを心に留めておきましょう。
さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
本日は私が普段ファシリテーションを行う上で意識していることを3点抜粋してご紹介しました。
冒頭で述べた方々にとって、どれか一つでも参考になったものがあると嬉しく思います。
あまり効果的でない会議を減らし、有意義な会議を増やしていきましょう。