生産管理は、製造業における「モノの流れ」と「情報の流れ」を統合的かつ総合的に管理するシステムになります。具体的には、
・納期
・在庫(部品/原材料・中間品/仕掛品・完成品/製品)
・工程・工順
・原価
を均質的に可視化・運用することが可能となります。
D365 FO では、大きく「製造オーダー(組立系)」と「バッチオーダー(プロセス系)」の2種類の生産方式に対応することが可能です。今回は「製造オーダー(組立系)」のケースをご紹介します。
なおバッチオーダー(プロセス系)は、こちらの記事が参考になるかと思います。
#製造・生産プロセスの概観・概要(ユースケース)
※計画・見込ではなく、受注生産を想定したシンプルなフローです。また今回は原材料はすべて在庫にあるものとして、調達をせずに、在庫から払出をします。
#①マスター設定(品目・BOM・工程/工順)
この記事ではプロセスをつかんでいただくことがメインなので、一つ一つマスター設定していくことはせず、基本的には在りものを使って操作していきます。
USMFというデモ法人を使って、以下の流れで操作していってください。
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FOにアクセス(そもそもログインするユーザに生産管理や製品情報管理などのRoleが割り当たっていることを確認してください)
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製品マスタ ページへ遷移し、品目を確認(左のメニューから:Product information management > Products > Released products)
D0001 というスピーカーが今回の生産する品目(完成品)になります。
#②製造オーダー登録
受注を作成して、それに紐づけて製造オーダーを作成することも可能ですが、新規に製造オーダーから作成したいと思います。
新しく製造オーダーを作成(左のメニューから:Production control > Production orders > All Production orders から + New production order ボタン)
今回製造するD0001を入力すると、BOM や Route が自動入力されます。引当のタイミングは選べますが、今回はデフォルトのまま「見積」時で。
#③製造オーダー見積
見積はこのボタン
見積すると、こういうステータスになります。次はMaterial consumption(材料消費)ということですね。
また、ここでBOM の状態も見てましょう。1つのD0001を作るのに、部品それぞれに1つが必要ということがわかります。また、まだ材料消費していないので Remaining quantity もそれぞれ1つずつあります。
かの有名な最難関資格の一つである、日商簿記2級ホルダーの私から言わせてもらえば、物(原材料)・人(労務)・機械(経費)の3つの要素が、製造の原価を決めます。物(原材料)を表しているのが BOM であり、人(労務)・機械(経費)を表しているのが 工程/工順 や Job card であります。
#④製造オーダースケジュール&リリース
見積の後は、工程(またはジョブ)を「いつやるか」スケジュール調整していく必要がありますよね。
スケジュールされたら、次はリリースです。リリースっていうのは、「オーダー」から「実際の製造」へと指示することを意味します。販売注文のときにも Release to warehouse という言葉が出てきますが、あれも「受注オーダー」から「実際の出荷」へと指示することを意味してます。
#⑤製造オーダー開始
実際に製造を開始したときにボタンを押します。Picking list を転記したら材料消費されたということになりますし、Route を転記したら作業実績登録されたということになります。ここでは、二つとも転記として、製造を完了させてしまいたいと思います。
無事に材料消費(Material consumption)&実績登録(Route)されました。
#⑥製造オーダー作業完了&終了
こちらで製造オーダー完了です。在庫に入庫されているか、また原価がどれだけ掛かったか、確認しましょう。
・在庫トランザクション(Receipt が Purchased になっているので、無事入庫されています。また原価は$302.70だったようです。)
もうちょっと原価の内訳が気になると思うので、それはこちらから確認できます。
標準原価で設定してある製品は原価差異分析(Variance)も可能です。