はじめに
さくらインターネットが公開している AI Playground を試す機会があった。本記事は、あくまで個人の体験メモと雑感である。
特に以下の3点を中心にまとめる。
- 試すまでの敷居
- レスポンスの体感
- 国内基盤が「選ばれる」可能性
なお、本記事の内容は2026年1月時点の情報と個人の体験に基づくものです。今後仕様や提供内容が変更される可能性があるため、最新情報については公式ページをご確認ください。
試した動機
LLM・生成AIのサービスは増えているが、実際に触るまでに環境構築や契約が必要で、体験するだけでも心理的ハードルが高いと感じることが多い。
今回は「GitHub IDでログイン可能」「ブラウザだけで完結」という点が気になり、軽い検証目的でPlaygroundを触ってみた。
触ってみた感想
敷居の低さ
- ブラウザ完結、特別なセットアップ不要
- クレジットカード登録なし
- 評価用・お試し用途として、かなり敷居が低い印象
UIのシンプルさ
操作は非常にシンプルで、プロンプトを入力して実行するだけ。UIに迷う要素が少なく、「とりあえず試す」には十分だった。
レスポンスの体感
あくまで体感ベースだが、実行後の最初の応答が返るまでが早く、待たされている感覚が少なかった。特に短〜中程度のプロンプトで試行錯誤しながら何度も投げる場面では、ストレスが少ないと感じた。
Playgroundという性質上、本番APIと同条件とは限らないが、触った第一印象としての「軽さ」ははっきり感じた。
後日、時間があれば動画を共有する予定です。
gpt-oss-120b に質問したところ、ストレスを感じることなくレスポンスが返ってきました。
個人開発者・学習用途としての良さ
GitHub IDでログインできるため、さくらのIDを持っていなくても試せる。「検証の初動」がとにかく早い。
この点は以下の用途に向いていると感じた。
- 個人開発者の技術検証
- 学習用途
- 技術調査の入り口
国内基盤が「選ばれる理由」になる場面
汎用基盤が広がる時代に
MicrosoftのAI Foundryでは、利用するクラウドやLLMを用途に応じて選択できるようになってきている。「AIを使う」こと自体は、今後ますます当たり前になる。
一方で、どの基盤を選ぶか、どこにデータを置くか、どの前提・ルールで運用するかが、より重要になるとも感じた。
Copilot+ PCが示す「AI基盤を選ぶ」時代
最近登場したCopilot+ PCは、NPU(Neural Processing Unit)を搭載し、ローカルでのAI処理とクラウドAIを組み合わせて動作する設計になっている。
この流れが示唆するのは、「どこでAI処理を行うか」を用途に応じて選択する時代が来ているということだ。
- 軽量な処理 → ローカル(NPU)
- 高度な推論 → クラウド
- 機密性の高いデータ → 信頼できる基盤
クラウド側の選択肢として、現状はMicrosoftやOpenAIが中心だが、今後「どのクラウド基盤を使うか」も選べるようになっていく可能性がある。
そうなったとき、国内基盤であるさくらのAI基盤が、選択肢の一つとして登場する余地があるのではないか。
特に、行政・教育・医療などデータの国内保管が求められる領域では、Copilot+ PCのようなデバイスから「国内クラウドに接続してAI処理を行う」という構成が現実味を帯びてくるかもしれない。
(あくまでも一例) AIによるドキュメント業務支援での可能性
Claude CodeやCursor、GitHub CopilotなどAIを活用した開発支援ツールが普及しているが、開発者にとってより「日本独自」の価値が出そうなのは、例えば、ドキュメント業務の支援ではないか。
日本の業務には、日本特有のドキュメントが多く存在する。
- 稟議書、議事録、報告書などの社内文書
- 官公庁向けの申請書類・届出書
- 契約書、利用規約などの法務文書
- 元号・年度表記、敬語表現など日本独自のフォーマット
そして、これらのドキュメントに対する業務は「作成」だけではない。
- 作成:たたき台の生成、定型文の挿入
- チェック:誤字脱字、表記ゆれ、法令・規定との整合性確認
- 編集:文体の統一、敬語レベルの調整、読みやすさの改善
- 更新:法改正や社内規定変更に伴う一括修正
こうしたドキュメントライフサイクル全体をAIで支援しようとすると、機密性の高い内容を海外クラウドに送信できないという制約がつきまとう。社内規定や官公庁のセキュリティポリシーで、外部送信が制限されているケースは少なくない。
もし、さくらの基盤をバックエンドにしたAIドキュメント支援ツールが登場すれば、これまでAI活用を諦めていた現場にも選択肢が生まれる。
- 行政文書の下書き作成・チェック
- 社内稟議のたたき台生成・表記統一
- 日本の法令に沿った契約書レビュー・更新支援
こうした「日本語 × 日本の制度 × 機密性」が絡むドキュメント業務は、まさに国内基盤ならではの領域と言えそうだ。
「選ばざるを得ない」状況が価値になる
汎用基盤が広がる中で、「どこでもいい」なら海外サービスで事足りる。
しかし逆に言えば、「ここでしか使えない」「ここを選ぶ理由がある」状況を作れた基盤が生き残るのではないか。
具体的には以下のようなケースが考えられる。
- データの国内保管が必須な業務:行政、医療、教育など
- 日本語・日本の制度を前提とした運用:日本特有の法令解釈や業務フロー
- 海外サービスでは採用稟議が通らないケース:セキュリティポリシーやコンプライアンス要件
こうした「選ばざるを得ない」ユースケースが明確になれば、国内基盤としてのポジションが確立するのではないか。
技術性能だけではない価値
技術性能そのものより、データの所在、運用ルール、組織・制度との相性が価値になる場面は、今後も増えそうだ。
個人的には、行政・教育・産学官連携のような領域で「海外サービスでは採用しづらいが、国内基盤なら検討できる」というケースが出てくるのでは、と感じた。
まとめ
AI Playgroundは以下の点で好印象だった。
- 試すまでの敷居が低い
- レスポンスの体感が軽い
- 個人でも触りやすい
技術検証や情報収集の入口として、扱いやすい印象を受けた。
今後どのような形で展開されるかは分からないが、「国内向けAI基盤を試す最初の一歩」としては、良い体験だった。そして、国内基盤ならではの「選ばれる理由」がどう打ち出されていくか、注目したい。
おわりに
本記事はあくまで個人の体験メモ・雑感。誤りや補足があればご指摘ください。
次にやるとしたら(自分メモ)
- API利用時の挙動確認
- レスポンス時間の簡易比較
- 日本語長文・業務文書系の試行
参考情報




