はじめに
Salesforceといえばクラウド型のCRM/SaaSサービスというイメージがあるかもしれませんが、実はGitHub上でも数多くのリポジトリを公開しており、多彩なツールやサンプルコードが確認できます。
本記事では、Salesforce公式GitHubにある代表的なリポジトリや活用ポイントをまとめました。プロジェクトでSalesforceを利用している方や、開発フローの参考にしたい方の備忘録としてご活用ください。
注意事項
- この記事は2025年1月時点の情報です
- リポジトリの内容や構成は随時更新される可能性があります
- 各リポジトリの利用にあたってはライセンスを必ず確認してください
Salesforce公式GitHubの主なリポジトリ
1. Salesforce CLI関連
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SalesforceCLI/sfdx-cli など
- Salesforce DX(Developer Experience)の中核となるCLIを中心に、さまざまなプラグインも公開
- 内部実装を覗くことで、独自コマンド作成や自動化のヒントを得られる
2. Lightning Web Components (LWC)
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lwc
- Web ComponentsベースのUIフレームワーク。コアエンジン部分の実装が公開されている
- Salesforce以外のWebアプリ開発にも応用できる要素がある
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sfdx-lwc-jest
- LWC専用のJestテストフレームワーク
- UI開発のテスト体系を理解するのに有用
3. Lightning Design System (SLDS)
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Salesforce Lightning Design System
- Salesforce標準のUIガイドライン。CSSやコンポーネント設計などがまとまっている
- WebアプリのUIデザインの参考にもなる
4. モバイルSDK
- SalesforceMobileSDK-iOS
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SalesforceMobileSDK-Android
- iOS・AndroidのネイティブアプリやハイブリッドアプリからSalesforceデータにアクセスできるSDK
- 認証・データ同期の実装例が多数含まれており、学習コストを下げられる
5. その他ツール・サンプルアプリ
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Trailhead Apps
- Salesforce公式学習プラットフォーム「Trailhead」向けのサンプルアプリを集約
- SFDX構成のプロジェクト例が充実しており、実際の開発フローを試すのに便利
- Commerce Cloud関連
- ECサイト構築プラットフォームCommerce Cloud向けのサンプルやツールが公開
- Heroku連携関連
- Node.jsやJava向けのビルドパック、サンプルコードなどが揃っている
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CumulusCI
- Salesforceコミュニティが中心となって開発しているCI/CDフレームワーク
6. 機械学習・NLP・セキュリティ関連
Salesforceの公式GitHub組織(salesforce)では、CRM以外にも機械学習や自然言語処理、セキュリティなどの先進分野に関連するオープンソースプロジェクトが公開されています。以下は一例です。
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TransmogrifAI
- Apache Spark上で動作するAutoMLライブラリ。モジュール化された再利用可能で強く型付けされた機械学習ワークフローを、最小限の手作業で構築可能
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CodeGen
- プログラム合成のためのオープンソースモデルファミリー。TPU-v4上でトレーニングされており、OpenAIのCodexに匹敵する性能を持つ
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LAVIS
- 言語とビジョンのインテリジェンスのためのオールインワンライブラリ
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Merlion
- 時系列データのインテリジェンス向け機械学習フレームワーク
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decaNLP
- 自然言語処理のマルチタスクチャレンジ「The Natural Language Decathlon」を提供
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JA3
- SSLクライアントのフィンガープリントを簡単に作成・共有するための標準
どう活用できるか
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Salesforce独自ツールの仕組みを理解
- CLIやプラグインのソースを通じて、Salesforceとのやり取りを自動化する方法を深く学べる
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LWCやSLDSを使ったUI開発の参考
- Web Componentsベースの開発やデザインシステムを学習し、プロダクトのUI設計に反映しやすい
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モバイルアプリ開発のサンプル確認
- iOS/Android SDKのプロジェクト構造や認証周りの実装を知ることで、スムーズに開発を始められる
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CI/CDやマルチクラウド連携のヒント
- Salesforce内外のサービスを組み合わせたビルドパイプラインやアプリケーション設計を検討する際に役立つ
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機械学習・NLP・セキュリティ分野の学習・検証
- TransmogrifAIやCodeGenなどのソースを活用し、先進的なAI/ML技術を試してみる
活用時のポイント
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READMEやWikiをよく読む
- 環境セットアップや導入手順、既知の注意点が整理されている場合が多い
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IssueやPull Requestを確認
- 最新情報やバグ修正履歴、コミュニティのディスカッションが残っており、開発の背景を掴みやすい
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ライセンスをチェック
- Apache License 2.0など、リポジトリによって異なる場合があるので利用条件を事前に確認
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サンプルコードを動かして学ぶ
- ローカル環境で試してみると、実際の使い方やトラブルシュートが身につきやすい
まとめ
Salesforceの公式GitHubには、Salesforceプラットフォームの開発や運用を支える多彩なリポジトリが公開されています。CLIやLWC、デザインシステム、モバイルSDKなど幅広い分野のソースコードに加え、機械学習や自然言語処理、セキュリティに関する先進的なプロジェクトも確認できます。
- 自動化・拡張
- UIフレームワークの学習
- モバイルアプリへの展開
- CI/CD環境の構築
- AI/ML・NLP・セキュリティ領域の技術検証
など、多方面で活用できる可能性があります。興味のある方は、ぜひSalesforce公式GitHubを訪れて、リポジトリのREADMEやサンプルアプリを覗いてみてください。開発プロセスやアプリ設計に役立つ情報が数多く見つかるかもしれません。
以上、Salesforce公式GitHubの主要なリポジトリと活用のポイントをまとめました。何かの参考になれば幸いです。
参考情報