はじめに
Microsoft 365 CopilotやCopilot Coworkについて、AI Tourなどでさまざまな概念(Work IQ / Foundry IQ / Fabric IQ など)が提示されていますが、個人的に整理が難しかったため、構造ベースでまとめてみました。
本記事は機能紹介ではなく、MicrosoftのAIアーキテクチャの全体像と、その中でのCopilot Coworkの位置づけを理解することを目的とした備忘録です。
※本記事は公開情報をもとにした整理です。正確な仕様や最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。
※2026年4月時点の情報です(プレビュー機能を含むため、仕様が変更される可能性があります)。
用語マップ(最初にざっくり)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Work IQ | 業務の文脈(人・会議・メールなど) |
| Foundry IQ | 知識基盤(複数ソースからのナレッジベース構築・検索) |
| Fabric IQ | データのビジネス意味付け(オントロジー / セマンティックモデル) |
| Copilot | アプリに統合されたAI |
| Cowork | タスクを実行する機能(本記事の主題) |
Microsoft AIの全体像
設計の基本:Intelligence と Trust
MicrosoftはAIを以下の2つの観点で設計しています。
- Intelligence(知性)
- Trust(信頼:セキュリティ / ガバナンス / 可観測性)
これは「レイヤ構造」というよりも、AIが価値を出すための設計原則として捉える方が自然です。
3つのIQ(重要)
MicrosoftのAIは、以下の3つのIQで構成されると整理されています。
- Work IQ:人と仕事の文脈
- Foundry IQ:知識・推論
- Fabric IQ:データ・意味付け
👉 重要なポイント:これらは製品名ではなく、アーキテクチャを説明するための概念ラベルです。
3つのIQの関係
3つのIQはそれぞれ独立したワークロードとして機能しますが、以下の役割分担で組み合わせることで、エージェントに対して包括的な組織コンテキストを提供します。
- Fabric IQ:データの意味付け
- Foundry IQ:知識の統合と推論
- Work IQ:日常業務の文脈
Work IQ(少し踏み込む)
Work IQは単なる「文脈理解」ではなく、もう少し厚い構造を持っています。
- データ層:Microsoft 365 / Dataverse / コネクタ
- コンテキスト層:セマンティック理解 / メモリ
- スキル層:ツール / API / エージェント機能
👉 「仕事の流れ」を理解するだけでなく、実行に必要な基盤も含んだレイヤと捉えると理解しやすいです。
Foundry IQ(補足)
- Azure AI Searchを基盤としたマネージドナレッジレイヤ (RAG + エージェント的検索の基盤として機能)
- Azure / SharePoint / OneLake / Webなど複数ソースを接続
- 権限を考慮したナレッジベースをエージェントに提供
- エージェンティック検索により、クエリ分解・並列処理・引用付き回答を実現
Fabric IQ(補足)
- Microsoft Fabricのセマンティックインテリジェンスレイヤ
- OneLake / Power BIのデータに対して、オントロジー・セマンティックモデル・Graphでビジネスの意味を付与
- エージェントが分析データ上で推論できる基盤を提供
CopilotとCoworkの関係
Coworkは Copilot と別物ではなく、Microsoft 365 Copilot の中で利用できる実行モードです。
- Copilot はアプリ内での生成・補助に加え、スキルやツールを通じたアクション実行にも広がりつつある
- Cowork はその Copilot の中で、アプリ横断のマルチステップ実行を担う機能として位置づけられている
👉 対立概念ではなく包含関係:Copilot の中に Cowork がある、と捉えるのが自然です。
Copilot Coworkの位置づけ(最重要)
Copilot Coworkは、Work IQを基盤として動作するエージェント的な実行機能です。
現時点では、Copilot CoworkはWork IQを主な基盤として動作しています。3つのIQすべてを直接統合する機能というよりも、Work IQの上に構築されたエージェント実行機能として理解するのが自然です。
技術的背景(簡潔に)
Copilot Coworkは、Anthropicのエージェンティックモデル(マルチステップタスク向け)など、
複数のモデル技術を活用しながら実現されています。
- 統合されたのはアーキテクチャや実行エンジンではなく、マルチステップタスクを実行できるAnthropicのモデル
- Copilot Cowork自体のアーキテクチャ(クラウド上でWork IQを基盤に動く仕組み)はMicrosoft独自のもの
- Microsoft 365 Copilotは複数のモデルを組み合わせたマルチモデル構成で動作する
- Coworkは13のビルトインスキル(Word, Excel, PowerPoint, Email, Scheduling, Calendar Management, Meetings, Daily Briefing, Enterprise Search, Communications, Deep Research など)を持つ
- ユーザーがカスタムスキルを追加できる拡張性を備えている
Coworkはどう動くのか
Copilot Coworkは、ユーザーの指示をそのまま実行するのではなく、一度「計画」に変換してから動作します。
実行の流れ(本記事での整理)
- Goal(目的) — ユーザーが目的を伝える
- Plan(計画) — Coworkが実行計画を生成
- Execute(実行) — 必要に応じて確認・修正・停止が可能
- Review(確認) — 成果物を確認・フィードバック
※公式の用語ではなく、本記事での整理です。
※各ステップで人間が確認・介入できる設計になっています。
具体イメージ
「営業資料を作って」と指示すると:
- メールやファイルを参照(Work IQ)
- 情報を整理
- PowerPointを生成
- 重要なアクションの前に承認を求められる
- 途中で指示を追加可能
👉 単発の回答ではなく、作業フロー全体を実行します。
まとめ
- Microsoft AIは「3つのIQ」で構成される
- Copilot Coworkはその中の一部であり、Work IQを基盤とした実行機能として動作する
- IQ(構造)とCowork(実行)を分けて理解することが重要
Copilot Coworkは「生成AIの延長」というよりも、業務を実行する仕組みとして設計されているように見えます。今後は「AIに質問する」ではなく「AIに仕事を任せる」という使い方が主流になっていくのかもしれません。
参考(公式情報)
- Copilot Cowork overview (Frontier) - Microsoft Learn
- A closer look at Work IQ - Microsoft Community Hub
- What is Foundry IQ? - Microsoft Learn
※本記事は自分用の整理です。正確な情報は公式をご確認ください。




