はじめに
Salesforce組織の「会社情報」は、組織の基本的な識別情報やビジネス設定を管理する重要なエリアです。会社名、住所、連絡先などの基本情報に加え、ビジネス時間、サポート設定、ライセンス情報など、組織運用に必要な様々な設定が含まれます。本記事では、会社情報の各設定項目について詳しく解説します。
学習目標
この記事を読むことで、以下の内容が理解できます:
- 会社情報の各設定項目の理解
- ビジネス時間の設定と活用方法
- サポート設定の重要性
- 組織ID とライセンス情報の確認方法
- 会社情報の管理ベストプラクティス
会社情報とは
会社情報(Company Information)は、Salesforce組織の基本的な属性と設定を定義する中心的な設定エリアです。この情報は、組織の識別、レポート、通知、サポートリクエストなど、様々な場面で使用されます。
アクセス方法
設定(歯車アイコン) > 設定 > 会社の設定 > 会社情報
必要な権限
- システム管理者プロファイル
- または「アプリケーションのカスタマイズ」権限
会社情報の主要セクション
1. 基本情報セクション
組織名(Organization Name)
説明: 組織の正式名称
重要性:
- レポートのヘッダーに表示
- メール通知の送信者名
- Salesforceサポートへの問い合わせ時の識別
設定例:
正式名称: 株式会社サンプル
英語名: Sample Corporation
ベストプラクティス:
- 正式な会社名を使用
- 略称ではなく正式名称を推奨
- 変更時は全社に周知
組織ID(Organization ID)
説明: Salesforce組織を一意に識別する15文字または18文字のID
表示例:
00D000000000001EAA(15文字)
00D000000000001EAA000(18文字)
用途:
- Salesforceサポートへの問い合わせ
- API統合の設定
- サンドボックスと本番環境の識別
- 接続アプリケーションの設定
重要:
- 組織IDは変更できません
- 各組織に一意のIDが自動割り当て
- サンドボックスは本番とは異なるIDを持つ
インスタンス(Instance)
説明: 組織がホストされているSalesforceサーバーのインスタンス名
表示例:
NA1(北米)
AP1(アジア太平洋)
EU1(ヨーロッパ)
CS1(カスタマーサクセスインスタンス)
重要性:
- パフォーマンス問題の報告
- メンテナンス情報の確認
- API エンドポイントの特定
確認方法:
- My Domain URL:
https://[mydomain].my.salesforce.com - または会社情報ページで確認
2. 連絡先情報セクション
住所(Address)
項目:
- 住所(Street)
- 市区町村(City)
- 都道府県(State/Province)
- 郵便番号(Zip/Postal Code)
- 国(Country)
用途:
- 公式文書のヘッダー
- 見積書・請求書の発行元
- Salesforceからの郵送物
設定例:
住所: 東京都千代田区丸の内1-1-1
市区町村: 千代田区
都道府県: 東京都
郵便番号: 100-0005
国: 日本
電話番号とFAX
項目:
- 代表電話番号(Phone)
- FAX番号(Fax)
形式:
推奨形式: 03-1234-5678
国際形式: +81-3-1234-5678
用途:
- 問い合わせ対応
- 公式文書への記載
- 緊急連絡先
3. 主要な連絡先セクション
主要な連絡先(Primary Contact)
説明: Salesforceからの重要な通知を受け取る担当者
設定項目:
- 氏名
- メールアドレス
- 電話番号
受信する通知:
- ライセンスの更新通知
- セキュリティアラート
- 重要なシステム変更の通知
- サポートケースの更新
ベストプラクティス:
推奨設定:
□ システム管理者を指定
□ 定期的にチェックされるメールアドレス
□ 複数の管理者で情報を共有
□ 担当者変更時は速やかに更新
セキュリティ連絡先(Security Contact)
説明: セキュリティ関連の通知を受け取る担当者
受信する通知:
- セキュリティパッチの情報
- 脆弱性の警告
- セキュリティインシデントの通知
- MFA要件の変更
重要性:
- セキュリティ対応の迅速化
- コンプライアンス要件の遵守
- インシデント対応
4. ライセンス情報セクション
ユーザーライセンス
表示情報:
- ライセンスタイプ
- 使用中のライセンス数
- 利用可能なライセンス数
- 有効期限
表示例:
Salesforce (10 使用中 / 25 ライセンス)
Salesforce Platform (5 使用中 / 10 ライセンス)
管理のポイント:
- 定期的な利用状況の確認
- ライセンスの最適化
- 追加購入のタイミング判断
Feature License(機能ライセンス)
説明: 追加機能を有効化するライセンス
主な Feature License:
- Marketing User
- Knowledge User
- Service Cloud User
- Identity
確認方法:
設定 > 会社の設定 > 会社情報
または
設定 > ユーザー > ユーザー > [ユーザー詳細]
5. エディションとバージョン
注: 各エディションの具体的な制限は変更される場合があります。
最新情報は設定画面または公式ドキュメントでご確認ください。
Salesforce エディション
主なエディション:
- Essentials: 小規模企業向け
- Professional: 中小企業向け
- Enterprise: 大企業向け(カスタマイズ可能)
- Unlimited: 全機能利用可能
- Developer: 開発・テスト用(無料)
エディションによる違い:
Professional → カスタムオブジェクト制限あり
Enterprise → フル機能のカスタマイズ
Unlimited → 追加サポートとストレージ
API バージョン
表示情報:
- 現在の API バージョン
- 利用可能な API バージョン
重要性:
- API 統合の互換性
- 新機能の利用可否
- 廃止予定機能の確認
ビジネス時間の設定
ビジネス時間とは
定義: 組織の営業時間を定義する設定
用途:
- ケースのエスカレーションルール
- サービス契約(Entitlement)
- マイルストーン追跡
- SLA(サービスレベル契約)の計算
ビジネス時間の設定手順
ステップ1: アクセス
設定 > 会社の設定 > ビジネス時間
ステップ2: 新規ビジネス時間の作成
-
「新規ビジネス時間」をクリック
-
基本情報の入力:
- 名前: ビジネス時間の名称
- 説明: 用途の説明
- タイムゾーン: 営業時間の基準タイムゾーン
- デフォルト: デフォルトのビジネス時間に設定するか
-
営業時間の設定:
月曜日: 09:00 - 18:00 火曜日: 09:00 - 18:00 水曜日: 09:00 - 18:00 木曜日: 09:00 - 18:00 金曜日: 09:00 - 18:00 土曜日: 休業 日曜日: 休業 -
休業日の設定(オプション):
- 祝日
- 会社の定休日
- 特別休業日
ステップ3: 複数のビジネス時間
ユースケース: 複数拠点の営業時間管理
例:
東京オフィス: 09:00-18:00 (JST)
ニューヨークオフィス: 09:00-17:00 (EST)
ロンドンオフィス: 09:00-17:30 (GMT)
ビジネス時間の活用例
例1: ケースエスカレーション
設定:
- ビジネス時間: 平日 9:00-18:00
- エスカレーション条件: 2営業時間以内に対応なし
動作:
金曜日 17:00 にケース作成
→ 月曜日 9:00 から2時間カウント
→ 月曜日 11:00 にエスカレーション
例2: SLA 管理
サービスレベル契約:
- 重要度: 高 → 4営業時間以内に対応
- 重要度: 中 → 8営業時間以内に対応
- 重要度: 低 → 16営業時間以内に対応
ビジネス時間外はカウントされない
ビジネス時間の設定例
パターン1: 標準的な日本企業
名前: 標準営業時間
タイムゾーン: (GMT+09:00) 日本標準時
営業時間:
月-金: 09:00 - 18:00
土日: 休業
休業日:
1/1: 元日
1/2-1/3: 年始休暇
12/29-12/31: 年末休暇
その他の祝日
パターン2: 24時間サポート
名前: 24時間365日サポート
タイムゾーン: (GMT+09:00) 日本標準時
営業時間:
月-日: 00:00 - 23:59
休業日: なし
パターン3: シフト制サポート
名前: 早番サポート
営業時間: 06:00 - 14:00
名前: 遅番サポート
営業時間: 14:00 - 22:00
サポート設定
Salesforce サポートへの情報提供
サポートユーザーの設定
目的: Salesforceサポートがアクセスできるユーザー
設定方法:
設定 > 会社の設定 > Salesforce サポート設定
重要性:
- トラブルシューティングの迅速化
- サポートケースの効率化
- 問題再現の支援
ログインアクセスの許可
設定:
- Salesforceサポートに組織へのログインを許可
- 期間を指定可能(通常は問題解決まで)
セキュリティ考慮:
□ 必要な時のみ有効化
□ 期間を最小限に設定
□ 問題解決後は速やかに無効化
□ アクセスログを確認
サポートケースの効果的な利用
ケース作成時の情報
必須情報:
- 組織ID: 00D で始まる15桁のID
- 問題の詳細: 具体的な症状
- 再現手順: ステップバイステップ
- スクリーンショット: エラーメッセージなど
- 影響範囲: ユーザー数、ビジネスインパクト
テンプレート例:
件名: [機能名] で [問題] が発生
環境:
- 組織ID: 00D000000000001
- エディション: Enterprise
- ユーザー数: 100
問題の詳細:
[具体的な症状の説明]
再現手順:
1. [手順1]
2. [手順2]
3. [手順3]
期待される動作:
[本来の動作]
実際の動作:
[現在の動作]
影響範囲:
[影響を受けるユーザー数やビジネス]
緊急度: [高/中/低]
組織情報の管理
定期的な確認項目
月次チェックリスト
□ ライセンス使用状況の確認
□ 未使用ライセンスの整理
□ ストレージ使用率の確認
□ API 使用状況の確認
四半期チェックリスト
□ 主要連絡先の情報更新
□ ビジネス時間の見直し
□ 組織情報の正確性確認
□ セキュリティ設定の監査
年次チェックリスト
□ 会社情報の全面的な見直し
□ ライセンス契約の更新確認
□ 休業日カレンダーの更新
□ サポート設定の最適化
ドキュメント化
組織情報ドキュメントのテンプレート
# Salesforce 組織情報ドキュメント
## 基本情報
- 組織名: [会社名]
- 組織ID: [15桁のID]
- インスタンス: [NA1 など]
- エディション: [Enterprise など]
## 連絡先
- 主要連絡先: [名前] ([メール])
- セキュリティ連絡先: [名前] ([メール])
- 管理者: [名前リスト]
## ライセンス情報
- Salesforce: [使用中] / [合計]
- 更新日: [日付]
## ビジネス時間
- デフォルト: [名前]
- タイムゾーン: [GMT+09:00]
- 営業時間: [月-金 9:00-18:00]
## サンドボックス
- 本番組織ID: [ID]
- UAT組織ID: [ID]
- Dev組織ID: [ID]
## 更新履歴
- YYYY-MM-DD: [変更内容]
よくある間違いと対処法
間違い1: 主要連絡先の未更新
問題:
- 退職した従業員のメールアドレスのまま
- 重要な通知が届かない
リスク:
- セキュリティアラートの見逃し
- ライセンス更新の遅延
- サポートケースの遅延
対処法:
1. 四半期ごとに連絡先を確認
2. 人事異動時に即座に更新
3. グループメールアドレスの活用
4. ドキュメントに記録
間違い2: ビジネス時間の設定ミス
問題:
- タイムゾーンが間違っている
- 休業日が設定されていない
影響:
- SLA の誤計算
- エスカレーションのタイミングミス
- 顧客満足度の低下
対処法:
1. 設定後にテストケースで確認
2. 複数の管理者でクロスチェック
3. 祝日カレンダーを年初に更新
4. ビジネス時間の変更を全社通知
間違い3: ライセンスの浪費
問題:
- 退職者のライセンスが未解除
- 未使用ライセンスの放置
コスト影響:
例: Salesforce ライセンス 10個 × $150/月
× 12ヶ月 = $18,000/年
未使用3個 → $5,400/年 の浪費
対処法:
1. 月次でライセンス使用状況をレビュー
2. 退職プロセスにライセンス解除を組み込む
3. 最終ログイン日でフィルタリング
4. 自動アラートの設定(Flow活用)
試験対策ポイント
重要な試験トピック
-
組織ID
- 15文字または18文字
- 一意の識別子
- 変更不可
-
ビジネス時間
- エスカレーションルールで使用
- SLA計算に影響
- 複数定義可能
-
ライセンス管理
- ユーザーライセンス vs Feature License
- 使用状況の確認方法
よく出る試験問題パターン
問題例1:
Q: ビジネス時間が使用される機能はどれですか?
(複数選択)
a) エスカレーションルール
b) ワークフロールール
c) マイルストーン追跡
d) 承認プロセス
A: a) と c)
問題例2:
Q: 組織IDは何文字ですか?
A: 15文字または18文字
(15文字は大文字小文字を区別、18文字は区別しない)
問題例3:
Q: Salesforceサポートからの重要な通知を受け取る
連絡先はどこで設定しますか?
A: 設定 > 会社の設定 > 会社情報 > 主要な連絡先
問題例4:
Q: ビジネス時間を複数設定できますか?
A: はい、複数のビジネス時間を定義できます。
例: 各拠点の営業時間、部門別の営業時間など
まとめ
組織IDや主要連絡先などの基本情報は、サポート対応のためにも定期的な更新が欠かせない。ビジネス時間はSLA管理や拠点ごとの運用に直結するため、休業日も含めて毎年見直す必要がある。
ライセンスは利用状況を継続的に確認し、未使用分の最適化や追加購入の計画を進めておくと運用が安定する。
サポート対応では詳細な情報提供とログインアクセスの管理が重要で、組織情報のドキュメント化も効果的に機能する。
動画解説・スライド資料 (著者用)

