PMBOKのリスク管理について記事を書きました。
「リスク=悪いこと」という固定観念を外して、チャンスとしても捉えていく。そして小さな一歩から始める。
この2点を意識するだけでも、プロジェクトの成功確率は上がるのではないでしょうか。
ご参考になれば幸いです。🙏
はじめに
~リスク対応策を見直して機会を最大化する~
ソフトウェア開発やプロジェクト進行では、日々いろんなリスクに直面しますよね。突然の仕様変更や新しい技術導入、人的リソース不足など、挙げればキリがありません。だけど「リスク管理ってなんか固そう」「結局めんどくさくて後回し…」と敬遠されがち。でも、ちょっとした工夫でリスク管理をうまく回せるなら、むしろ現場の負担やストレスを減らし、チャンスを最大化できる可能性があります。
この記事ではPMBOK(Project Management Body of Knowledge)のリスク対応策の基本をおさらいしつつ、現場で働くエンジニアやリーダーが「これなら少しやってみる価値がありそう」と思えるようなポイントをまとめました。
1. リスクは「悪いこと」だけではなく「機会」でもある
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PMBOKの“リスク”は「不確実性」全般を指す
実際の運用では「リスク=トラブルの原因」みたいに考えがちですが、PMBOK的にはポジティブなチャンスも「リスク」の一部です。- 例)新技術の導入は失敗のリスクがある一方で、大きな差別化要素にもなる。
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“機会”を意識して動くと雰囲気がポジティブになる
リスクを“避ける”だけだとどうしてもテンションは下がりがち。でも「攻めの姿勢で得られる可能性」があるとわかると、チームのやる気をうまく引き上げられます。
2. PMBOK的リスク対応策の基本をサクッとおさらい
PMBOKには、リスクへの対応策として主に以下の5種類が出てきます(ポジティブリスク向けに追加要素もあります)。
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回避(Avoid)
- リスクを発生させる要因そのものを取り除く
- 現場でありがちな例:
- 難易度が高くて間に合わない機能をスコープから切る
- 無理なスケジュール・要件を見直す
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軽減(Mitigate)
- 発生確率や影響度を小さくする
- たとえば:
- 新しい技術ならPoCを小さくやってみて、いけそうなら拡大
- フェイルセーフを組み込んで不具合の範囲を局所化
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転嫁(Transfer)
- リスクを外部や契約などで別のところに移す
- たとえば:
- 専門ベンダーに依頼して契約で範囲や責任を明確化
- クラウドサービスのSLAを活用
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受容(Accept)
- 対応コストが高すぎたり重要度が低いリスクは「そのまま受け入れる」
- ただし、万一の発生時にどうリカバリするかは把握しておく
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活用(Exploit) ※ポジティブリスク向け
- プラスを見込めるなら、積極的に手を打って機会を取りにいく
- 例:
- 新技術を導入するためのスポット投資で、後の大幅な効率化や差別化を狙う
3. 「リスクの最適化」で得られるメリット
- 燃え尽き症候群の予防
- チャンスを逃しにくくなる
- チーム内コミュニケーションの活性化
4. まずは小さくやってみる:現場Tips
4-1. リスク/機会メモをライトに運用してみる
- Slackの専用チャンネルやGoogleスプレッドシートなどでざっくりメモを残す
4-2. 定例ミーティングで5分だけ「リスクと機会を振り返る」
- 短時間の共有タイムを設けるだけで意識が高まる
4-3. トラブルの共有は“ネガティブ”じゃなく“学習”の場に
- 振り返りを「次に活かす場」として活用
4-4. 機会の活用は「小さな実験」から
- PoCを小さくやってみる
5. 現場のみんなに届けたい想い
- 「リスク管理=めんどくさい仕事」だけじゃない
- みんなでリスクに目を配るからこそ、リーダーの負担も軽くなる
- 不安や改善案を言いやすい空気が生む「安心感」
まとめ
- リスクはポジティブな機会も含む不確実性である
- 完璧を目指さず、小さくリスク・機会の洗い出しをしてみる
- トラブルを学びに変え、チャンスをうまく掴むとチームの空気も良くなる
「リスクマネジメント」を聞くと固いイメージがありますが、要は「ちょっとした気配りを現場全体で積み重ねる」イメージに近いと思います。その積み重ねが、後々大きな炎上を防いだり、意外な機会を引き寄せたりするきっかけになるはずです。ぜひ無理のない範囲から取り組んでみてください。チームのモチベーションアップと成果につながることを願っています。