前置き
この文章は20年前、新入社員に向けて作成したガイドの転載です。
研修であっても受け身で受講するだけではなく、必ず得たものをアウトプットするよう刷り込むために作りました(笑)
新入社員向けプログラミング研修用の文書だったという前提をもってご覧ください。
ここでは「書く」と「アウトプット」は同じ意味で使われています。
01 まずはとにかく書きましょう(アウトプットしましょう)
仕事とは成果物(=アウトプット)をつくることだ、という人がいます。
我々はさまざまな成果物(システム、プログラム、設計書、・・・)に対する対価としてお客様の支払ったお金から給与をいただいています。
今回の研修ではプログラミングスキルを身に着けるのも勿論ですが
- スキルをつけた証として、また
- それを暗黙的なものから共有できる知識に変換してアウトプットする能力の養成のため
にも、まずは とにかく文書を書いて(アウトプットして)ください
02 カテゴリ分けは気にしない
疑問はQ&Aに、まとめた手順等は手順のカテゴリに、といったあたりは基本ですが・・・・
とにかく、どこにでもいいから、どんなものでもいいから書きましょう。
不適切なカテゴリに作ってしまった、将来文書が増えて煩雑になった、といったときには後から修正すれば良いだけのことです。
一番いけないのは「どこに書いたら良いか分からないから、どこにも書かない」となることです。
03 何を書くべきか
今、皆さんが説明を受けて、手元のノート(やローカルPC)に書いていること。これは大事なことだと思ったから、忘れては困ると思ったから書き留めているんですよね?
あなたにとって大事なことは、他の人にとっても大事なことですし、忘れて困ることは他の人も忘れては困ってしまうことです。
ですから、それらは公開しましょう。
研修で勉強したはずの「知識共有」とはそういうことです。
タイトルに対する答えは「何でも」です。
それがたとえくだらないことでも、上品なことが少ししか書かれていないよりずっと役に立ちます。
04 誰が書くべきか
誰かが書いてくれる、ではなく、あなたが書きましょう。
誰かに先を越される前に書いてやる!ぐらいの競争心が欲しいところ。
先を越された人は、その文章を参考したり、そこに追記してより良いものを作れば良いのです。
一番だめなのは、皆が誰かが書くだろう、と思っていて、結局誰も書かないという状態です。
05 公開することの最大の利点
公開して共有すると、自分の懐で温めているだけでは絶対に得られない利点があります。
それは、誤解や間違いを直してもらえるということです。
自分が勝手に勘違いしていても、それが公になる機会がないと案外分からないものです。
自分の間違いに気づくのが仕事でトラブルを起こしたときでは不幸すぎます。
そうならないためにも、早く人目にさらして内容をチェックしてもらうことです。
06 書くより聞いた方が早いんじゃ・・
(筆者補足:この研修では質問もできる限り、文書にして公開し回答とセットで共有できるようにしていました)
直接質問することも良いですが、相手が忙しいときには時間も限られますし、一度に質問できるのは一人です。
公の場所で文書にして質問する、もしくは質問した結果をまとめると
・相手は自分の都合の良い時間に質問をみることができる
・いっぺんに何人もの人から答えをもらえる
・記録が残るので結果を皆と共有できる
という利点があります。
(これは非同期コミュニケーションの利点です)
07 アウトプットの単位
メールでもそうですが、1つの文書には1つの用件(質問)が望ましいです。
その方が、後々のカテゴリの再編成や再利用に便利です。
また、文書の内容の要約をタイトルにすると、あとで見たい文書をすぐに見つけることができます。
08 こんな簡単なことを書く(聞く)のは恥ずかしい、なんてことはありません
その場でちょっと聞くなら良いけど、公の場所に書いたら自分の理解が足りない(=バカ?)ことがばれて恥ずかしい、という理由でアウトプットできない人はいますか?
そのあたりのことは、そのままにしておくと本当に聞くのが恥ずかしくなります。
「今頃になってそんなことも分からないのか?」と言われますからね。
でも、学び始めの時期なら何を聞いても許されます。この貴重な時期を逃さないでください。
(実のところ、ベテランになっても聞くほうが良いのですが)
どんな些細なことでも良いのです。
むしろ、些細なことのほうがアウトプットとしては人のためになることが多く、重要なのです。
あとがき
Qiitaもそうですが「公の場をレベルの低い内容で汚すな」という意見があるのも承知しています。
が、それが汚れなのか、価値あるものなのかは、あくまで受け手で決まるものなのでアウトプットすべきが私の持論です。