はじめに
2023年春期の応用情報技術者試験に、IT実務未経験から4ヶ月の学習で合格しました。
ただし、実務未経験であっても基本情報技術者試験に合格しておりSpring Bootを学習中でした。
本記事では、同じように未経験から挑戦する方に向けて、実際の学習方法と合格への道筋をお伝えします。
再現性のあるノウハウ記事より個人の体験談に近いです。
必要なのは継続力と少しの運でした。
私は運良く初回で合格できましたが、2回目で合格できれば良いと考えて挑戦していました。
応用情報技術者試験とは
情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITエンジニアに必要な基本的知識・技能を評価する試験です。
試験概要は下記を確認してください。
2026年からCBT試験に移行します。
詳細は下記を確認してください。
応用情報を受けた理由
転職活動で差別化する
未経験者が多い中で、技術的な基礎知識を客観的に証明できる
体系的な知識を習得できる
断片的な知識ではなく、IT全般の基礎を体系的に学べる
高度試験への足がかりとなる
合格すると高度試験(ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストなど)の午前1試験が2年間免除される
コストパフォーマンスが良い
ベンダー試験(Oracle、Ciscoなど)は3-5万円かかるが、応用情報は7,500円と経済的
高度試験への足がかりになることは重要です。
当時は将来的に情報処理安全確保支援士試験に合格することを目標にしていました。
情報処理安全確保支援士試験は2024年春の試験で合格しましたのでこちらも記事にする予定です。(時期は未定)
合格するメリット
書類選考通過率の向上
実際に同じ企業へ資格取得後に再応募した際、書類選考を通過した経験があります。
絶対的な保証はありませんが、評価材料になります。
面接での具体的アピールができる
「今後学習します」ではなく「既に体系的に学習済み」として話せるため、学習意欲とポテンシャルを具体的に示せます。
実務での基礎知識活用
システム設計、セキュリティ、DBなど、実務で頻繁に使用する知識の基盤となります。特にチーム内でのコミュニケーションにおいて、共通言語を理解していることの価値は大きいです。
応用情報の学習をしていない状態でエンジニアに転職していた場合、知らない単語で進む会話に付いていくことができずに苦労したと思います。
開発でSQLを書く機会も多く、この試験で学習していて良かったと思っています。
学習戦略とスケジュール
全体スケジュール
1〜1.5ヶ月目:午前試験対策
1.5〜4ヶ月目:午後試験対策
学習時間の使い方
平日
通勤時間で午前試験の過去問演習、退勤後はテキストの読み込みと午後試験の過去問演習
通勤時間は往復1時間半程度
退勤後は3時間程度を学習に使用
休日
午前中から午後にかけてテキストの読み込みと午後試験の過去問演習
10:00〜17:00の時間を学習に使用
特に午前中から学習に着手することが重要です。
「午後からやろう」は夕方ごろまでやりません。
気がついたら休日が終わります。
午前試験
初回の受験は確実に午前試験で6割以上の点を取ることを目標にします。
午前試験を突破できなければ午後試験は採点されないため注意が必要です。
午前試験で正解の選択肢を選ぶ方法は下記の2つです。
- 正解がわかる
- 不正解になる選択肢が全てわかる
4択の試験ですが正解がわからなくても不正解の選択肢がわかれば実質2択のような状態にできます。
最初は知らないクイズを解かされている感覚になりますが徐々に慣れます。
使用教材
学習方法
- テキストを1週間で通読(理解度30%程度でOK)
- 過去問道場で繰り返し解く
- 必ず全選択肢の解説を理解する
過去問は最終的に正答率90%程度を目指しましょう。
実際の試験では過去問にない問題も出題されるため、過去問の使い回しで点を落とすのはもったいないです。
午後試験
いきなり合格ラインの点を取ることは難しいです。
解答ができる分野、問題を増やして合格する確率を上げていくことを目標にします。
知識がなければ解答することは不可能です。
初回受験の場合、学習時間によっては知識不足になるため午後試験は運です。
学習して理解できている問題が出題されれば点を取ることができ、そうではない場合は点を取れません。
まずは解答した記述問題がどのような採点をされるのかを確認するくらいの気持ちで受けましょう。
運良く解答を書くことができる問題が出題された場合は合格が見えます。
分野選択
問1:情報セキュリティ(必須)
問2以降:ネットワーク+自分の得意分野3つ
分野の選択は情報セキュリティとネットワーク以外は得意なものを選びましょう。
必須ではないネットワークを強く推奨する理由は、セキュリティでもネットワーク知識が前提となる場合が多いためです。
使用教材
応用情報技術者 午後問題の重点対策
この1冊で午前・午後両方の知識をカバーできる優れた教材です。前半の知識解説部分だけでも十分価値があります。
学習方法
- 収録過去問を制限時間内で解く
- 解説を読み込み、記述のポイントを把握する
- IPAの過去問で追加演習
すでに午前試験の学習である程度知識がある状態であればまずは過去問を解くことから始めましょう。
そうではない場合、知識解説部分を熟読しましょう。
また、いきなり150分かけて試験を再現するのではなく30分で1つの分野を解いて解説を見るようにしましょう。
150分の試験を自宅で再現すると苦痛を感じます。
学習時のポイント
学習時間配分
午前試験の過去問演習はスマホでできるため極力通勤時間等の机に向かえない時間で行いましょう。
業務終了後や休日の机に向かえる時間は全て午後試験の学習に使いましょう。
試験攻略
午前試験では、正解の理由だけでなく、間違った選択肢がなぜ間違いなのかまで理解しましょう。
これによって午後試験で必要な知識を得ることができます。
また類似の問題が出題された場合に正答できる可能性が上がります。
苦労した点
モチベーションの維持が難しい
完全に維持するのは難しかったので、気持ちが乗らない日は休むことにしました。
試験前2ヶ月ほどはほぼ毎日学習に取り組んでいましたがその前はそうではありませんでした。
試験は年に2回実施されるので次で合格できればいいと考えていました。
知識を問う試験なので単純に時間をかければいつかは合格できます。
今すぐに合格しなければならない理由がない場合は一度の受験で合格することを考える必要はありません。
午後試験の壁が高い
分野、問題によってはあまりにも解けないせいで時間が半分ほど余る状況でした。
ほとんど空欄の解答用紙ができあがります。まさに地獄のような状態です。
自信をなくしていましたが単純に知識が足りないだけなので解説やテキストを読み込んで理解できるようにしていました。
また、解答を書くことができる問題もあったので似たような問題が当日に出題されることを祈り続けていました。
他の学習との両立
応用情報を持っていてもコードが書けるわけではありません。
同時にSpring Bootの学習もしていたのできついです。
きついのは仕方がないことなのでそれを考えることはやめました。
やる気が出ない日は学習をやめてやる気がある日に学習を進めます。
唯一の救いは午後試験対策のためにデータベースを学習していたことです。
これに関してはSQLを学習するため、Webアプリ開発でも役に立ちます。
まとめ
本記事では4ヶ月での合格体験をお伝えしましたが、学習期間は個人差が大きいです。
また、理解度の高い問題が出題されるかどうかも運次第です。
不合格になってしまっても落ち込まずに次の試験に向けて自分のペースで学習を続けることが重要です。
少しずつ積み重ねれば合格できる試験だと思います。