Blender 4.2 からアドオン作成方法が変更されました。
変更内容に「Use wheels to pack your external Python dependencies.」とあり
外部のモジュールを同行する場合は、wheels を使う必要がある。
ざっくりとですが同梱方法についてまとめました。

下記のサイトを参考に書き出しています。
Add-ons(アドオン)
Python Wheels

検証環境

Tool	バージョン
Mac	Mac Sequoia (15.1.1)
Blender	4.2

必須条件

パッケージに含むことができるモジュールの条件

Requirements

ざっくり翻

Wheels は Python's package index (PyPI) から変更せずにバンドルする
Wheels は依存関係を含んいる
Wheels のファイル名はPythonのバイナリ配布の仕様と一致している
※PyPI からダウンロードされた Wheels は、この規約に従っている
参考：パッケージ名の命名規則
manifest ファイル(blender_manifest.toml)に記載する場合
パスの区切り文字は「/」スラッシュを使用する

Wheels ファイルを取得

pip を使ってWheelsファイル(*.whl)を取得する
取得したファイルは「wheels」ディクトリ内に保存する

ディレクトリ名の「wheels」は通例として使用されている

ディレクトリ構成

下記の通りに Wheels ファイルを配置する

addon
├─ wheels
│  └─ module.whl
├─ __init__.py
└─ blender_manifest.toml

ファイルを取得

Wheels ファイルの取得方法を２種類ある

例：numpy を取得
その１

pip wheel numpy -w ./wheels

pip を実行した環境に適した Wheels ファイルがダウンロードされる
上記のコマンドを下記のファイルがダウンロードされる

numpy-2.2.1-cp311-cp311-macosx_14_0_arm64.whl
検証環境の Mac で実行できるファイルがダウンロードされた

その２

pip download numpy --dest ./wheels --only-binary=:all: --python-version=3.11 --platform=macosx_11_0_arm64
pip download numpy --dest ./wheels --only-binary=:all: --python-version=3.11 --platform=win_amd64

pip を実行した環境に依存せず、任意の環境向けの Wheels ファイルをダウンロードできる
上記のコマンドを実行すると下記のファイルを取得できる

numpy-2.2.1-cp311-cp311-macosx_11_0_arm64.whl
numpy-2.2.1-cp311-cp311-win_amd64.whl

対象のファイルが存在しない場合、エラーメッセージが表示される
下記のコマンドを実行すると linux 環境向けがないのでエラーが表示される

pip download numpy --dest ./wheels --only-binary=:all: --python-version=3.11 --platform=manylinux_2_28_x86_64

エラー

ERROR: Could not find a version that satisfies the requirement numpy (from versions: none)
ERROR: No matching distribution found for numpy

事前に PyPI サイトで確認する
PyPI

Manifest ファイルに追記

Manifest ファイル(blender_manifest.toml)にダウンロードした Wheels ファイルを相対パスで追記する
パスの区切りは「/」を使用する

blender_manifest.toml

wheels = [
   "./wheels/numpy-2.2.1-cp311-cp311-macosx_11_0_arm64.whl",
   "./wheels/numpy-2.2.1-cp311-cp311-win_amd64.whl",
]

blender_manifest.toml のテンプレートファイルは、
Blender の「スクリプト作成」 > 「テンプレート」 > 「Blender Manifest」を選択すると表示される

Manifest ファイルの設定箇所(42 から 45行目)に書かれたコメントアウトを外し、パスを書換える

書き換え終えたら保存しアドオンの Manifest ファイルとして使用する

パッケージ生成その１

従来通り Blender build を実行しパッケージを作成する

blender --command extension build

パッケージ生成その２ターゲットプラットフォーム

ターゲットプラットフォーム毎にパッケージを分けたい場合は
Manifest ファイルを書換え、Blendr build にオプションを追加する

Manifest ファイルの書換え

platforms にパラメーターを追記

blender_manifest.toml

platforms = ["windows-x64", "macos-arm64"]

他に用意されているパラメーター

windows-arm64
macos-x64
linux-x64

テンプレートの Manifest ファイルの設定箇所(37行目)に書かれたコメントアウトを外し、プラットフォームを書換える

Blendr build にオプションを追加

blender コマンドに「--split-platforms」を追加する

blender --command extension build --split-platforms

実行後プラットフォーム毎にパッケージ(zip ファイル)が生成される

例：
プラットフォームに windows-x64, macos-arm64 を追記した場合
下記のファイルが生成される

addon_with_Third_lib-0.1.0-windows_x64.zip
addon_with_Third_lib-0.1.0-macos_arm64.zip

ファイル名の最後にプラットフォーム名が追加される