書籍情報
- 著者:増井 敏克
- 出版社 / 発売日:2023/10/18
- ページ数:293
- ジャンル:ノート術
読んだ目的・きっかけ
Notionでプログラミング関連のメモを残していましたが、「どこに書くか迷う」「書いたあとに探しにくい」といった問題があり、気軽にメモを取れないことに悩んでいました。
そこで、最近Obsidianを導入。より柔軟で扱いやすいメモ管理を目指し、運用方法や考え方を学ぶために本書を手に取りました。
学びと気づき
なぜメモをとるのか?
人は短期記憶で7つまでしか情報を保持できないといわれている。だからこそ、記憶したいことはメモとして残し、「メモを残した」という記憶さえあれば、いつでも見返して思い出せるようになる。
残したメモは、必ず見返して知識の定着を図ることが重要。
(p.26〜p.27 要約)
私はこれまで、Notionでメモを書いて満足し、そのまま放置してしまうことが多く、知識の定着には結びついていませんでした。この指摘を通じて、メモは見返してこそ意味があるという重要な視点を得られました。今後は「見返す」ことを前提に、メモを運用していきたいと感じました。
メモをどこに置くか迷う問題
メモの数が増えると、フォルダ構造が複雑になるにつれ、「どこに入れるべきか」で迷いが生じる。
たとえば以下のような構造があるとする:
- Unreal Engine
- Program
- Graphic
- Lumen
- 最適化
- Niagara
- Materialこのとき、「Niagaraの最適化」というメモをどこに入れるか?
「最適化」か「Niagara」かで迷ってしまい、結果的に置いた場所も忘れてしまう。
(p.35〜p.38 要約)
この問題は、私自身が業務で技術メモを残す際にまさに直面していました。保存先に迷い、あとから探すのに時間がかかる──その課題感に強く共感しました。構造化すること自体が、検索性の低下につながる場合もあるという点は非常に納得感がありました。
メモ同士をつなげて整理する発想
人間の知識はフォルダのような階層ではなく、連想的につながっている。たとえば「リンゴ」から「青森」「赤い」「果物」などが自然と思い浮かぶように。
この特性を活かし、本書ではメモ同士をリンクさせて整理することを推奨しています。
リンクを使えば、どこに置くか迷うこともなくなり、自然な思考の流れで情報にたどり着ける構造になります。
実際にObsidianでは、タグやリンクを活用することで、「分類しない自由」も手に入ります。
私も、日付単位などざっくりとしたフォルダ分けにしておき、あとはリンクで情報をつなげることで、気軽にメモが書けるようになりました。
エバーグリーンノートという考え方
エバーグリーンノートとは、書いて終わりではなく「何度も見返し、書き直し続ける」ノートのこと。
情報を死蔵させず、定期的に成長させていくことを前提とする。
ただし、「見返すこと」が前提になってしまうと、ノートを書くハードルが高くなりがち。
そのため、エバーグリーンノートには以下の5つの原則があります。
エバーグリーンノートの5つの原則
-
原始的であるべき
1ノート = 1情報。複数の話題を1つにまとめない。 -
コンセプト思考であるべき
ノートの単位は「本」や「イベント」ではなく、「概念」で。 -
密にリンクする
関連ノートと積極的にリンクさせる。 -
連想的な構造を優先する
階層分類ではなく、タグやリンクを使ってつなげる。 -
自分のために書く
読者を意識せず、自分に向けて自由に書く。
これまで私は、1つのメモにいくつもの情報を詰め込んで書いていたため、書き終えたあとに扱いづらくなっていました。
「1メモ1情報」という原則を知ってからは、もっと気軽に、分割して書けるようになりそうです。
また、「本」「イベント」単位ではなく、「概念」でメモを作成するという発想も、自分のメモ運用の中に取り入れていきたいと感じました。
Todo(今後実践したいこと)
- CEDECの資料を、資料単位で保存するのではなく、自分の検証結果や他のネット情報とリンクさせて整理する
- エバーグリーンノートの5つの原則に沿って、1ノート1情報・リンク重視でメモを作成していく
一言まとめ
これまでNotionを使っていて「なんとなく不便だな」と感じていた理由が、本書を読んで明確になりました。Obsidianをこれから始める方にとって、ネットの情報だけではつかみにくい「考え方」や「運用のコツ」が丁寧に解説されていて非常に実践的です。
メモをもっと気軽に、もっと意味のあるものにしたい人におすすめの一冊です。