本記事は BIPROGY/UAL 社内 AWS コミュニティ「BIPROGY AWS Ambassador」の定期投稿企画第 2 回目の記事です。
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はじめに
AWS 利用において「コスト改善の余地」を見つけ、削減のためにどのようなアクションを取ればよいかを提示してくれるダッシュボード コスト最適化ハブ(Cost Optimization Hub) についてまとめます。
コスト最適化ハブ(Cost Optimization Hub)とは
これまでコスト関連の推奨事項は Cost Explorer、AWS Compute Optimizer、AWS Trusted Advisor など複数のサービスに分散していました。
しかしコスト最適化ハブを利用すれば、それらを一つの画面に集約して確認できます。
コストを見直したいときの「出発点」として活用できる便利なサービスです。
Security Hub がセキュリティ上の推奨事項を集約して提示するのと同じように、コストに関する推奨を一元的に表示してくれるのが特徴です。
このハブでは、以下のようなコスト削減方法が推奨事項として確認できます。
- オンデマンドで稼働しているインスタンスから Graviton ベースへの移行
- 未使用のボリュームやスナップショットの削除
- RI(リザーブドインスタンス)や SP(Savings Plans)の購入
これらは他のサービスからも得られる情報ですが、コスト最適化ハブでは 「すべてをまとめて見える化できる」 のが大きなメリットです。
また、料金は無料なので、活用しない手はありません。
有効化の方法
コスト最適化ハブは、どの範囲のコスト情報を集約するかによって、有効化の対象アカウントや設定が変わります。
-
スタンドアロンアカウント(Organizations 未使用)
→ そのアカウントで有効化するとそのアカウントの情報のみを集約可能 -
Organizations 内の単一アカウント
→ 対象のメンバーアカウントで有効化するとそのアカウントの情報のみを集約可能 -
Organizations 全体を集約する場合
→ 管理アカウント (もしくは委任管理者アカウント) で有効化
→ 有効化時に「このアカウントのみ」か「すべてのメンバーアカウントを含める」かを選択可能
→ 全体を対象とした場合は、trusted access が自動的に有効化され、Organizations 全体の情報を集約可能
有効化の手順
以下はOrganizations 内の単一アカウントにて有効化する手順です。
上記キャプチャ内表示のように、AWS Compute Optimizer を有効化しておくと、より多くの推奨事項をコスト最適化ハブ上で確認できます。
有効化の手順は以上です。初回のデータ集計には最大で 24 時間ほどかかるので、設定後は少し時間を置いてからダッシュボードを確認しましょう。
コスト削減の推奨事項を確認する
有効化が完了すると、ダッシュボードで「どのアクションを取ると、どのくらいのコストを削減できるのか」を確認できます。
下の画面は 1 カ月あたりの削減額とそのリソース割合を表したグラフです。

グラフはテーブル形式にも変更できます。
またグラフ/テーブルを表示するためのフィルターは様々あります。

推奨アクションごとの削減効果を視覚的に把握できるため、優先度をつけて取り組みやすくなります。
さらに詳しく分析したい場合は、画面下部の「機会を見る」から詳細なフィルタリングが可能です。

例として RI(リザーブドインスタンス)購入についての推奨事項でフィルタリングしてみます。

推奨アクションを選択し、詳細を確認します。
下記ではインスタンスタイプ「db.t4g.medium」を全額前払いで、us-west-2 リージョンで 1 つ購入した場合の削減額が表示されています。
他にもフィルターはたくさんあるため、これらを活用して多角的に分析することができます。
サービス別・アカウント別・リージョン別などで範囲を絞り込むこともでき、無駄になっているリソースや改善余地の大きい部分を効率的に把握し、より実践的なコスト削減プランを立てられます。
まとめ
- コスト最適化ハブは、複数サービスに分散していたコスト関連の推奨事項を一元管理できる
- 無料で利用でき、初期設定も数クリックで完了する
- 削減額をグラフやテーブルで直感的に確認でき、優先度付けがしやすい
- RI/SP購入、未使用リソース削除、Graviton 移行などの推奨アクションを詳細まで簡単に把握できる
さいごに
コスト最適化ハブは、「コストのどこに改善のチャンスがあるのか」を手軽に可視化してくれる、AWS 利用者にとって心強いツールです。
推奨事項を一つひとつ確認し、実際にアクションを取っていくことで、月々の請求額を着実にコントロールできます。
AWS の利用が広がるほど、コスト管理は複雑になります。
定期的にコスト最適化ハブをチェックして、健全なコスト運用を維持していきましょう。
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