【Omarchy】Intel Mac + 外付けSSDでデュアルブート開発環境
はじめに
Ruby on Railsの作者であるDHH(David Heinemeier Hansson)氏が開発したLinuxディストリビューション 「Omarchy」 をご存知でしょうか?
「Arch Linuxは魅力的だが設定が面倒」という層に向けて、DHH氏が考える「おすすめデフォルト設定(Omakase)」を提供してくれるOSです。
今回は、既存のIntel Macの環境(macOS)を一切変更せず、 外付けSSD にOmarchyをインストールして、必要な時だけLinuxとして起動できるデュアルブート環境を構築します。
Omarchyとは?そのメリット
Omarchyは、Arch Linuxをベースに、モダンなタイル型ウィンドウマネージャ「Hyprland」や、DHH氏好みの開発ツール群をプリセットしたディストリビューションです。
メリット
- 高速な動作: 軽量なArch Linux + Hyprlandにより、Intel Macでも驚くほどサクサク動きます。
- "Omakase"な設定: 面倒な初期設定(Neovim, Tmux, Dockerなどの設定)が最初から「いい感じ」に完了しています。
- 完全分離による安全性: 今回は外付けSSDにインストールするため、万が一失敗してもMac本体のデータは安全です。Macのストレージ容量も圧迫しません。
準備するもの
ハードウェア
- Intel Mac: (Apple Silicon系は現時点で非対応だった記憶です。)
-
外付けSSD: 256GB以上推奨。USB-C接続の高速なものが望ましいです。
- 注意: インストール時にこのドライブの中身はすべて消去されます。
- USBメモリ: 8GB以上(インストールメディア作成用)。
ソフトウェア
- Omarchy ISOファイル: 公式サイト またはGitHubのリリースページから最新のISOをダウンロード。
- balenaEtcher: ISOをUSBメモリに書き込むためのツール。公式サイトからダウンロード。
手順1: インストールメディアの作成
まず、Omarchyのインストーラーが入ったUSBメモリを作成します。
- MacにUSBメモリを挿入します。
- balenaEtcherを起動します。
- 「Flash from file」をクリックし、ダウンロードしたOmarchyの
.isoファイルを選択します。 - 「Select target」をクリックし、挿入したUSBメモリを選択します。
⚠️ 注意: 間違えて外付けSSDやMac本体のドライブを選ばないよう慎重に確認してください。 - 「Flash!」をクリックして書き込みを開始します。完了したらUSBメモリはそのまま挿しておきます。
手順2: Macのセキュリティ設定変更(T2チップ搭載機のみ)
2018年以降のIntel Mac(T2セキュリティチップ搭載モデル)の場合、デフォルトで外部メディアからの起動がブロックされています。これを解除します。
※T2チップ非搭載の古いモデルの場合はこの手順をスキップしてください。
- Macを再起動し、Appleロゴが表示されたらすぐに
Command (⌘) + Rを押し続け、リカバリモードに入ります。 - メニューバーの「ユーティリティ」>「起動セキュリティユーティリティ」を選択します。
- macOSの管理者パスワードを入力します。
- **「外部起動」の項目で、「外部メディアからの起動を許可」**を選択します。
- 設定を保存してシャットダウンします。
詳細はApple公式サイトをご確認ください
手順3: 外付けSSDへのインストール
ここが本番です。インストール先を間違えないよう細心の注意を払ってください。
- Macにインストール用USBメモリとインストール先の外付けSSDの両方を接続します。
- Macの電源を入れ、すぐに
Option (⌥)キーを押し続けます。 - ブートメニュー(Startup Manager)が表示されたら、矢印キーで「EFI Boot」を選択してEnterを押します。
- Omarchyのインストーラーが起動します。
インストーラーでの操作
Omarchyのインストーラーは分かりやすいですが、以下のポイントを押さえてください。
- Welcome画面: 言語などを確認して進みます。
-
Disk Selection(重要):
- インストール先のディスクを選択する画面では、必ず接続した「外付けSSD」を選択してください。
- 通常、容量やメーカー名で判別できます。
- ⚠️ 警告: 「Internal Drive(内蔵ドライブ)」や「macOS」と表示されたディスクは絶対に選ばないでください。Macのデータが消えます
-
Partitioning:
- 外付けSSD全体を使用するため、「Erase disk」(ディスクを消去してインストール)を選択するのが最も簡単で確実です。
- User Setup: ユーザー名、パスワードを設定します。
- Summary: 設定内容の最終確認が表示されます。「Target Drive」が外付けSSDになっていることを再確認し、「Install」をクリックします。
インストールが完了するまで待ちます。完了後、「Restart Now」を選択します。
手順4: デュアルブートでの起動
インストール完了後、再起動時の挙動を確認します。
- 再起動がかかったら、再び
Option (⌥)キーを押し続けます。 - ブートメニューに以下の選択肢が表示されるはずです。
- Macintosh HD (いつものmacOS)
- EFI Boot または Omarchy (外付けSSDのLinux)
- Linux側を選択して起動します。
これで、Omarchyのロゴが表示され、Hyprlandのスタイリッシュなデスクトップ画面(またはログイン画面)が立ち上がれば成功です!
インストール後の最初のステップ
Omarchyは起動直後から開発ができるよう構成されていますが、最低限以下の確認を行いましょう。
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Wi-Fi接続:
- Hyprland環境では、画面右上のステータスバーや、設定画面からWi-Fiに接続します。
- Intel MacのWi-Fiドライバは相性問題が出ることがありますが、Omarchy(Archベース)は多くの場合は自動認識すると思われます。
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キーボード設定:
- Macのキーボード配列(US/JIS)に合わせて設定を変更する必要があるかもしれません。Hyprlandの設定ファイル(
~/.config/hypr/hyprland.conf等)を確認してください。
- Macのキーボード配列(US/JIS)に合わせて設定を変更する必要があるかもしれません。Hyprlandの設定ファイル(
まとめ
これで、Mac一台で「普段使いはmacOS」「検証や開発はOmarchy」という使い分けが可能になりました。
外付けSSD運用なので、飽きたらSSDをフォーマットするだけで元のMac環境に戻れる気軽さも魅力です。ぜひ「Omarchy」を体験してみてください。