今回は「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック について読んだので以下に要約と自我を加えてまとめました。
はじめに
技術を学ぶとき、Web検索やAIに頼る人は多いと思います。しかし、知らない言葉は検索できないという根本的な問題があります。
この問題に対し、様々な経験から書籍を読むことが有効な手段であることが分かりましたが、実際にどのように選べばいいのか、どのように読めばいいのかは、また別の問題です。
本書は、この課題に対する実践的な答えを提供してくれます。
1. 自分に合った本の選び方
書店選び
まず理解すべきことは、書店の品揃えは立地による客層に大きく左右されるということです。
- 大学や専門学校が近い→ 専門書が充実
- ビジネスマンが多い→ ビジネス書が豊富
- スーパーや百貨店が周辺→ 雑誌や子供向けが多い
立地だけでなく、書店の規模によっても品揃えは異なります。自分の学びたい分野の本を見つけやすい書店を知ることは、効率的な本選びの第一歩です。
売れ筋
売れている本には2つのパターンがあります。
それは、新刊とロングセラーです。それぞれ以下の特徴があります。
- 新刊が多い分野 = トレンド技術
- ロングセラー = 読みやすい本や、変わらない技術
書店での並べ方にも意味があります。平積み(複数冊積み重ねている)は何冊も売れていることの証です。逆に、面陳(表紙が見える状態)は出版社のプッシュを示しています。
新刊とロングセラーを見分けるコツは、本を開いた最後のページを確認すると良いでしょう。発行日と発行版数を確認すれば、どちらのパターンか一目瞭然です。
スキルレベル
本選びで最も重要なのは、自分のスキルレベルを知ることです。
「はじめに」と「まえがき」から3つを確認する
- 想いやターゲット層
- 本の概要
- 想定される読者スキル
目次を眺めて判断する
- 自分が知りたい項目があるか
- ページ数から読了時間を想像する
- 知ってる内容が多ければ、その本は優しすぎる
索引でさらに詳しく調べる
気になるキーワードを索引で探し、実際にそのページを開いてみて、解説のされ方で判断しましょう。
著者プロフィールも重要な判断材料
- 大学の先生が書いた本 → 難しいですが、正確で網羅性が高く、長く使える教科書的なものが多いです。
- 実務の現場の人が書いた本 → 読みやすく、実務に直結しますが、時代により使えなくなる場合があります。
技術書の3つの種類を理解する
技術書の種類によって、学べる内容と深さが異なります。
| タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 概要型 | わかりやすい例え話が多い | 読みやすい | 漠然とした理解に留まります |
| 理論型 | 数学的根拠や証明を記載 | 正確で時代に左右されない | 背景知識がないと読みにくいです |
| 手順型 | 操作手順を詳細に解説 | 誰が操作しても実装できます | 環境が異なると実行できない場合があります |
| 図解型 | イラストやダイアグラムが充実 | 複数技術の関係を把握しやすい | 厳密さを失うことが多いです |
「初心者向け」は著者の定義に注意
同じ「入門書」でも、著者が想定する「初心者」は異なります。
例えば
- プログラミング初心者向けの「C言語入門」
- C#言語初心者向けの「C言語入門」
見た目は同じでも、内容の難易度は全く異なります。タイトルだけで判断せず、前書きで想定読者を確認しましょう。
レベル感の合う本を選ぶコツ
「半分くらいは知らないが、読めばなんとかなりそう」「2割くらいは難しい分野がありそう」という印象がちょうど良いです。
難しすぎる本を選んで挫折した経験があるエンジニアは多いはずです。自分のレベルより少し上の本を選ぶことが、最も続けやすく、成長につながります。
もし途中から難しくなったら、完全に理解することは諦め、最後までざっくり目を通します。躓いた内容については、別の本や資料で理解を深めましょう。
著者とシリーズで選ぶ
- 著者で選ぶ → わかりやすかった本の著者が書いている他の著作を探してみます。著者が興味を持つ内容はあなたのキャリアの参考にもなります。
- シリーズで選ぶ → シリーズ本が過去わかりやすかったなら、別のテーマでも同じレベル感で書かれている可能性が高いです。
ランキングと評判を活用する
- ベストセラー → 長期間、常に売上ランキングの上位にある本は信頼性が高いです。
- ITエンジニア本大賞 → 業界発行のアワードは良い基準になります。
- レビューや書評 → 書き手のレベルを知ると、自分に合った記事を見つけやすいです。
- 参考にしているブロガーの選抜 → 自分のモデルや目指したい人を基準に探しましょう。
図書館という選択肢
図書館での本選びには、独自のメリットとデメリットがあります。
メリット
- 無料で読める
- 多くの本を試せる
- 絶版本が読める
- 技術の歴史を知れる
- 期限があるから積読になりにくい
デメリット
- 古い本の割合が多い
悪書・良書は気にしなくていい
名著と言われる本が自分にとってもそうとは限りません。逆に、世間では低評価でも、自分にとって有益な本もあります。完璧な本選びは不可能なので、悪書との出会いは避けられません。その出会いを学ぶ機会と考えることが大事です。
2. 効果的な読み方
本書では 3 を意識すると良いと言っています。
1つのテーマで3種類の本を読む
同じテーマを学ぶとき、以下の3冊を揃えることをお勧めします。
- 入門書 → 全体像と基礎知識を習得
- 専門書 → 理論と詳細な実装を深掘り
- 逆引き本 → 実務で「あの機能はどうやるんだっけ?」に答える
この組み合わせで、理解から実践まで無理なく進みます。
入門書を3冊読む
同じテーマの入門書を3冊読むと、見えてくることがあります。
- 複数の本に出ている内容 = より重要な基礎知識
- 1冊にしか載っていない内容 = 著者の差別化ポイントや新しい技術の可能性
複数の本を読まなければ、この違いは気づけません。
同じ本を3回読む
同じ本を複数回読むことで、理解が深まります。
1回目:ざっと流し読み
- 全体像を把握します
- 流し読みで全体が読み取れないなら、より基礎的な入門書を選びます
- 流し読みで中身がすべて分かるなら、もっと難しい本を選んでも大丈夫です
2回目:手を動かしながら読む
- 試したい部分があれば、実際にコードを書きます
- ネットワーク・データベース・サーバーなら、環境を構築します
- サンプルコードが動かない場合、それを解決すること自体がスキルアップになります
3回目:ノートにまとめながら読む
- 記録に残します。再読は大変なので、後で見返すために
- 注目ポイントと、2回目で詰まったポイント、解決方法を記します
- 自分の感想も書きます:賛成、反対、疑問点など
資格試験対策で3冊購入
一般的な技術書と資格試験の書籍では、おすすめする読み方が異なります。
- 1冊目 → 過去問が掲載されている本
- 2冊目 → 資格の参考書
- 3冊目 → 論述試験まで対応する試験とは関係ない「文章の書き方」の本
3. その他の読み方について
仕事・勉強・遊びのバランス
仕事に直結する知識だけ学んでいては、知識は広がりません。遊び心で学ぶことも成長に欠かせないです。興味のあることから手をつけることで、思わぬ知識や視点が得られる可能性があります。
読書管理で効率化を図る
読書メーターなどのツールを使うことで、読書の効果を最大化できます。
- 同じ本を買うのを防ぐ
- 本の内容を整理・検索するのに便利
本は分類して本棚に入れておき、実務で必要になったときにすぐ探せるようにしておきましょう。
積読の解消法
積読を完全に解消することは、ほぼ不可能です。その代わり、以下の工夫をしましょう。
対策1:常に本を持ち歩く
- スキマ時間を活用します
対策2:複数の本を同時読み
- 時間を区切って読み進めます
- 入門書3冊の場合、特定のテーマが分からなければ、別の本で解決できることも多いです
- 違うジャンルの本を読むことで、気分転換になります
対策3:優先度で1冊ずつ片付ける
- 雑誌は鮮度が命なので、入手日に全部読みます
- 友人に紹介された本は、早く感想を返すために優先します
- 業務に直結する本を最優先にします
優先順位を付ける枠組み
重要度と緊急度で判断します。
- 重要度 = 理解していないと仕事ができない、基礎知識として欠かせない
- 緊急度 = トラブルが発生していて、その解決方法が書かれている
狩野モデルを用いた優先度付けも有効です。
長期間経ってからの再読
- 過去に「難しい」と感じた本を再読します
- 過去に学び終えた本を復習目的で再読します
思わぬ理解が得られることがあります。
オーディオブックで読書の量を増やす
音声で本を読む方法です。移動中やながら学習で、忙しくても読書ができます。
4. 情報発信と成長
アウトプットに勝る学習方法はない
本を読むだけでなく、アウトプットするまでが学習です。その理由は以下の2つです。
- 間違いに気づく → 自分の理解不足が明らかになります
- 他者からのフィードバック → 新しい視点を得られます
LT(ライトニングトーク)への挑戦
LTで話すことで以下のメリットが得られます。
- 自分がどの技術に興味があるのか、勉強しているのかを伝えられます
- 聴衆からアドバイスをもらえます
- 転職や独立のキャリアで、LTが財産になります
- 資料をまとめる過程が、自分の頭の整理になります
ある技術について話すには、その前段階となる他の技術も説明する必要があります。この過程を通じて、自分の知識が深化します。
質問から学ぶ
登壇のメリットの一つが、聴衆からの質問です。
- 自分の理解度と質問者の理解度の差を把握できます
- 内容の不足に気づきます
- 新たな視点を獲得できます
ブログを書く
登壇のハードルが高い場合は、ブログに書くという選択肢があります。「とりあえずアウトプット」を習慣化すると、学習サイクルが回り始めます。
テーマ選びのコツ
初心者の視点を大事にしましょう。 スキル不足や内容の間違い、既存記事の存在は気にしなくていいです。大事なのは、自分がどう感じたか、どう解決したかです。
世の中の多くは初心者です。同じテーマでも、スキルレベルが違うと感じ方も違います。専門家が書いた記事がすべての人に最適とは限りません。
トレンド情報の発信価値
本は時間が経つと、手順や操作方法が変わっていることがあります。「ここがどう違うのか」を記事にする価値は高いです。 その情報は、本よりも新しく、他では得られません。
まとめ
技術書を読むことは、体系的に学ぶための最強のツールです。しかし、選び方と読み方を知らなければ、その価値は活かされません。
この本から学んだ3つの大切なポイント
- 自分のレベルに合った本を選ぶ → 少し難しいくらいがちょうどいいです
- 1つのテーマで3種類の本を読む → 入門書、専門書、逆引き本や、同系統の本3冊など
- アウトプットまで含めて学習 → 読むだけでなく、話す、書く、実装します
これらを実践することで、技術書の価値を最大限に引き出せるはずです。