はじめに
今回はバックアップのためのVeeamソフトウェアを使用するにあたり、Veeam用のサーバーをIBM Cloud内に構築し、Veeamサイジングを行う全体的な流れを初心者目線で整理してみました。今回の内容にはIBM Cloudのアカウントが前提となっています。
Veeamに関して
1. Veeamとは?
まず、そもそもVeeamはどんなサービスなのでしょうか。
Veeamは、仮想環境向けデータ保護(Backup&Replication)および監視ツールを開発するソフトウェアサービスです。バックアップの最新化、ハイブリッドクラウドの高速化、データの保護に対応する単一のプラットフォームを提供しています。
2. Veeamの設置環境
IBM CloudではClassic Infrastructureの仮想サーバーやベアメタルサーバー、もしくはIBM Cloud for VMware Solutionsのオプションとして提供されています。
また、IBM CloudでVeeamをオーダーするには三つの方法がありますが、1点目は、ClassicのVSI/BMSをオーダーしてOSのアドオン(Add-on)として購入する方法、2点目はVCSのオプションとしてオーダーする方法です。また3点目としては、Veeamをソフトウェアとしてライセンスを購入し利用する方法です。
今回は1点目のIBM Cloud内でベアメタルサーバーを構築し、Veeamライセンスをオーダーする流れでサイジングを行っています。
前提条件
1. お客様のご要望
今回のサイジングは某お客様からのお問い合わせに伴いサイジングを行なった背景があります。お客様のご要望としては以下となります。
・環境: Classic Infrastructure VSI(Bare Metal Serverをオーダーしその中にVeeamを構築)
・バックアップ対象のサーバー数: 28台
・合計データ容量: 1720 GB
・ポリシー
・1次バックアップはパフォーマンスを考慮しEndurance Storage(Block Storage)に取得
・2次~5次バックアップは(IBM Cloud Object Storage)に取得
2. サイジングにあたる容量の設定
サイジングにあたり、必要なディスク容量を見積もるときは、次のことを知っておく必要があります。
- バックアップされるデータの合計サイズ
- バックアップの頻度
- バックアップの保持期間
- 計画されたバックアップチェーンタイプ
また、事前にテストが不可能な場合は、圧縮率と重複排除率、変更率、その他の要因などを想定する必要があります。
- 圧縮と重複排除によるデータ削減は通常2:1以上です。3:1以上を見ておくのが一般的ですが、必要なスペースを見積もるときは常に保守的な設定にする必要があります。
- 中規模またはエンタープライズ環境では、通常の1日の変更率は2〜5%です。これはサーバーによっては大きく異なる可能性があります。可能であれば、監視ツールを実行して、実際の変化率の値をよりよく理解した方が良いでしょう。
- 1回限りのフルバックアップ用に追加のスペースを含めます。
- バックアップチェーン変換用の追加スペースを含めます(永久増分バックアップ、差分バックアップ)–少なくともフルバックアップのサイズに1.25倍を掛けたもの。
このような容量設定項目に基づき、VeeamのCalculatorにて容量を設定しました。Source capacityは2TB、Daily change rateは3%、Yearly growth10%、Scope for growthは3年、Reductionは50%で設定しています。その結果、Calculator Summaryとしては、合計4.11TBが必要だとの結果がわかりました。(*容量設定はこちらを参考に作成しておりますが、少し古い計算式になっているようです。あくまでも参考までにお使いいただくことを推奨します。)
この結果に基づいて、Veeamが設置されたBMSを作成する流れを解説していきます。
見積もり(オーダー)する全体的な流れ
1. IBM Cloud Portalのログイン
IBM CloudのPortal Siteにログインしてください。無料のLiteアカウントを作成することもできます。
2.BMSの作成及び設定
ログインをすると、IBM Cloudのダッシュボード画面が表示されますが、ここで「カタログ」をクリックし、BMSを選んでください。
ベアメタルサーバーの画面で、必要に応じて項目を設定してください。ホスト名や数量、Server Location、ServerのProfileなどの設定が可能です。
今回はロケーションに関してはTokyo(TOK02)、サーバー・プロファイルはVeeam用のサーバーであるため少し小さめ(Intel Xeon E-2174G)に設定しています。
サーバー・プロファイルの設定基準としては、冒頭に記載した通りお客様はBackup対象データは全てEndurance StorageやICOSに格納されるとのご要望であるため、サーバーはVeeam Softwareを設置するだけのServer容量で十分でした。
Veeam用Serverの最小要件は、CPU:最低4core、メモリ:有効なジョブごとに4GBRAMと500MBRAM、Disk:製品のインストール用に5GBとなっていますが、今回はあくまでもサイジングであり、「Intel Xeon E-2174G」で設定しています。
しかし、IBM CloudでのVeeam運用のためにはVeeamサーバーだけではなく、IBM Cloud上のコンポーネント(Veeam Backup and Replication 12 OS Add-on、Veeam Availability Suite™ 12 など)のCore数も確保することを推奨しているため、CPUは8core以上を選択したら確かだと思います。
その次にOSの選択を行いますが、Veeamは基本Microsoft Windowsでの構築となるため、OS選択欄で「Microsoft」をクリックし、必要のバージョンを選択します。そうすると、OSアドオンに「Veeam」が表示されますので、こちらも選択します。
また、ストレージ・ディスクも必要に応じて選択することができますが、今回は2本のSATA HDD(1.0 TB)をRAID 1で構成しました。
ブート・ボリュームも必要に応じて設定することができますが、今回はデフォルトの状態でオーダーしました。(1 次ディスク・グループに使用するパーティション・テンプレートを選択します。 使用可能なパーティション・テンプレートは、選択された OS と選択済みのディスク・サイズによって異なります。)
ネットワーク・インターフェースではポートの速度やプライベートVLANの設定などが可能ですが、今回はポート速度を100Mbps(デフォルト)から1Gbpsに変更しています。
最後にアドオンの設定を行います。物理HWやセキュリティー及び事業継続性、IPアドレスなどの項目に分かれていますが、今回はVeeamにおけるバックアップ対象サーバーの追加を設定しますため、CDPアドオンをONに変更します。また複数項目の選択が可能であるため、対象サーバーの台数に近くなるようにチェックしていきます。(今回Backupの対象サーバーは28台だったため、[5Pack]と[25Pack]の複数選択でサーバー台数を合わせています。)
全ての設定が完了しましたら、右側の「作成」ボタンでVeeamが設置されたサーバーをオーダーすることができます。また、「見積もりに追加」ボタンをクリックして詳細を確認することもできます。
3.見積もり内容の確認
今回オーダーしたBMSの見積もり画面となります。項目を再度確認し、もしその他製品の見積りが必要な場合には「カタログに移動」をクリックします。
注意点
- このアカウントではディスカウントが適用されているため、表示価格が通常の定価と異なる場合があります。
- 料金はドル-円為替レートに基づいて課金されるため、同じサービスでも料金の変動があります。
参考リンク
・IBM Cloud Docs
・VeeamVeeam Backup&Replicationのベストプラクティス
・Veeam on IBm Cloud
・Veeam サイジングに関して