はじめに
本記事ではFLUXiM AGの有機EL・太陽電池安定性測定システムLitosを用いて、ペロブスカイト太陽電池の長期的なデバイス性能を評価した研究例を紹介します( https://www.fluxim.com/research-blogs/etu-stabilized-perovskite-solar-cell-lifetime-litos )。
背景
ペロブスカイト太陽電池とは発電層がペロブスカイト結晶ABX3(A:有機カチオン、B:金属カチオン、X:ハロゲン化物アニオン)で構成された太陽電池であり、変換効率が高い(最高27%、https://www.nrel.gov/pv/cell-efficiency )、フレキシブル基板上に作製可能といった特長があります。

ペロブスカイト太陽電池が市場に参入するためには、耐久性(屋外運用での寿命が25年!! 、https://doi.org/10.1038/s43246-022-00325-4 )が求められます。そのため、光・温度・大気環境下における安定性の評価が、現在の重要な研究課題となっています。
異なる研究室間でのデバイスの安定性を比較できるよう、International Summit on OPV Stability(ISOS、有機太陽電池の安定性に関する国際サミット)では安定性を評価するための推奨事項を定義しており、そこでは連続MPP(最大電力点、Maximum Power Point)トラッキングを用いることが推奨されています( https://doi.org/10.1038/s41560-019-0529-5 )。
MPPトラッキングとは?
MPPトラッキングとは太陽電池が発電するときに電力が最大となる点(最大電力点)を自動で求め、出力する制御方法のことです。
太陽電池は光の強度や温度によって発電性能が変化することから、MPPトラッキングを用いることで、常に最適な条件で発電できることになります。
一般的にMPPトラッキングは山登り法と呼ばれる制御方法が用いられます。山登り法は下図のように2点の電力を比較し、電力が増加する方向へ動作点を更新します。この操作を繰り返すことで、最大電力点に到達・追従することができます。

ペロブスカイト太陽電池の安定性評価
本研究では添加剤によるペロブスカイト太陽電池の安定性向上を評価するため、Litosを使用し、活性領域0.2 cm2の封止デバイスに連続MPPトラッキングを実施しました。この評価はISOS-L1プロトコルに準拠したものであり、室温(23 ± 4 ℃)、大気下、1SUN相当の白色LED照射下で実施されました。
評価結果
以上の実験の結果、添加剤によってペロブスカイト太陽電池の安定性は2100時間経過後も初期変換効率の93 %以上を維持することが確認できました。LitosはMPPを連続的に追跡しながら、制御された光照射と温度の下で試験を行うことができるため、長期的なデバイス性能に関する信頼性の高い知見を得ることができます。

※本記事は筆者個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。
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