はじめに
今まで副業含めると日本とスペイン合わせて、9社でエンジニアとして勤めてきました。その中でヨーロッパのスタートアップで働いて、今まで日本で使ってなかった技術やツールがあったので、私が勤めてたヨーロッパの会社で使っている技術やツールを紹介しようと思います。
新しい視点を持てたり、技術的好奇心に響くと幸いです。
TL;DR
ざっとまとめるとこんな感じです。
そんなに日本の流行りと大きく変わらんイメージです。
| 種類 | 名前 |
|---|---|
| frontend | React.js, Vue.js |
| backend | Go, Python |
| database | PostgreSQL, MySQL |
| infra | AWS, GCP, Azure |
| CI/CD | Github Actions, Argo CD |
| tool | Terraform, k8s, Argo Wrokfkows, Teleport, Grafana, Loki |
自分が働いてた2社は上記の技術スタックでした。日本と同じようにJavaは歴史のある企業で使われていて、スタートアップはTypescriptでフロントエンド、バックエンドで統一されてたりします。印象として思うのは、こっちはPythonが日本よりも採用されてるイメージです。日本はRuby on Railsがより採用されてるイメージです。Rubyが日本産でコミュニティが強いというのも寄与してるのかなと思います。
各種技術について
frontend: React.js, Vue.js
日本でも名の知れたフロントエンドのライブラリ。海外ではReact.jsが日本よりも人気な印象。逆にVue.jsはさらにマイナーな印象。ただ私が前に勤めてた会社は1つのプロジェクトでVue.jsを使っていました。
backend: Go, Python
日本でも王道の言語。ここヨーロッパでは日本よりもPythonが使われてる印象です。スペインでGoはそこまで見ないが、日本よりもそもそも求人自体が少ないので、判断しにくいです。
database: PostgreSQL, MySQL
ここも日本とは大きく変わらないです。ただヨーロッパではPostgreSQLが日本より多く使われてる印象。
実際にデータ的にも、近年はPostgreSQLの採用数が増加傾向にあります。
レガシーな企業はまだMySQLの採用傾向が高いようです。思想的にもMySQLは互換性を重要視しているので、既に大きなサービスを運営していて、安定運営が重要視される大企業には理にかなった選択になる場合が多いんだと思います。これらのことがこの数字に寄与してると思います。
また日本はMySQLの採用傾向がヨーロッパや北米よりも多い模様。
PostgreSQLは逆に新しい機能や機能改善に力を入れています。拡張機能のベクトル検索やJSON/JSONBといったJSONをネイティブで扱え、インデックスを張ることが出来たり、地理空間型があり、複雑なデータや多様なユースケースに対応しやすいです。
中でもベクトル検索はLLMとの相性が良く、既存のRDBでLLM poweredアプリが気軽に作れるのは大きなアドバンテージです。
個人的にはPostgreSQLにOn Updateがないのが辛い。Triggerを全テーブルに書くのが面倒くさいです。
infra: AWS, GCP, Azure
日本と基本同じ感覚。AWSが一番多く使われてます。中小企業や小さいスタートアップでコスト面の方が気になる会社はGCP使ってるイメージです。Azureは大学がマイクロソフトと契約してて、利用枠があるから使ってるケースは見ました。でも求人では基本AWSで、たまにGCPがある印象です。
CI/CD: Github Actions, Argo CD
ここは特筆することはないです。個人的にArgo CDはスペインに来て初めて使いましたが、Kubernetesをネイティブとし、UIもあって便利だと思いました。
CIについては完全にGithub Actions一択です。
tool: Terraform, k8s, Argo Wrokfkows, Teleport, Grafana, Loki
このインフラツール系が私の経験では一番違いました。今までも若干Kubernetesを本番で利用していましたが、ここまでしっかり周辺ツールを含めて、きちんとKubernetesで運用したのが初めてだからというのが理由かもしれません。
ただGrafanaはめちゃくちゃ便利だなと思いました。
めちゃ便利ツールGrafana
日本でもメガベンチャーとかでは採用されてたみたいですが、私が通ってきた会社はGrafanaを利用してなかったです。かつ恥ずかしながら、Grafanaの便利さを知らなかったです…
恥を惜しんで、今更ながらGrafana知らない人にGrafanaをお勧めさせていただきます。
具体的にGrafanaが何が出来るかと言うと、Redashのログバージョンというと分かりやすいと思います。
要するにログからグラフを作れたり、表を作れたりする、ということです。
その他にも調査する際にマイクロサービス間を跨いで調査しやすいです。
特に日々動くパイプラインとはかなり相性良いと思います。日々のレポートをデータベースからではなく、ログから取れるのは大きいです。弊社のパイプラインはなるべき簡易に必要なものだけを実装する、という思想で始まったので履歴テーブルが極端に少ないです。
かつ大量のデータを処理、統合するので履歴テーブルを用意すると、実行時間も更にかかるので、Grafanaはかなり助かってます。
その他
| 種類 | ツール名 |
|---|---|
| タスク管理 | Jira |
| ドキュメント | Confluence |
| メッセージ | Slack |
| 人事システム | Factorial 1 |
Notionが日本ほど見ないです。Notionの認知度は明らかに地域差を感じます。Notionが日本の京都から生まれたことや、創業者が京都と縁があることから、日本の普及が速かったのかなと思います。
まとめ
この全ての情報がネットにある時代に技術スタックの差異はあまりないのだなと思いました。
ただその国、地域発の技術はその国に普及しやすく、残るのだなと思いました。コミュニティの繁栄がその技術の存続に大きく寄与するのだなと感じました。
北米や日本以外のアジアなど、その他の国のことご存知の方いればコメント欄で教えてください!
スペインでの体験談など、noteで書いてます。よかったら読んでください。
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Factorialはバルセロナ発の企業なので、バルセロナではよく採用されてます。Smart HRと近い感じのHR SaaSです。 ↩
