はじめに

Drupalは柔軟性とパワフルなカスタマイズ機能で知られるコンテンツマネジメントシステム（CMS）です。Wordpressには少し荷が重いような、企業サイトや会員サイトによく使われています。Drupalは誰もが無料で利用、カスタマイズができるオープンソースのCMSのため、追加機能を提供する数千を超えるモジュールが公開されており、今回紹介するOpenAI/ChatGPT連携モジュールもその一つです。このモジュールで、Drupalによるコンテンツの作成・管理ををより効率的に行うことが可能になります。

OpenAIとChatGPTとは

OpenAIは、人工知能の研究と開発に注力する組織です。その最も注目されるプロジェクトの一つが、ChatGPTです。ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を使用して、人間のように対話することができるAIです。このAIは、質問に答えたり、文章を作成したりすることが可能で、多くの分野での応用が期待されています。

OpenAI/ChatGPT連携モジュールでできるようになること

DrupalとOpenAIの連携により、Drupalでのコンテンツ作成をより効率的なものにできます。以下は、このモジュールによって利用可能になる機能の一例です。

文章の作成

WYSIWYGエディタ内からプロンプトを入力することで、ユーザーはOpenAIのAPIを利用でき、文章を迅速に作成できます。例えば、ニュース記事、ブログ投稿、製品の説明文など、さまざまな種類の文章をAIが生成します。これにより、コンテンツ作成の時間を大幅に削減し、同時に文書の一貫性と品質を向上させます。

プロンプト例：Drupalの解説文を300字で書いてください。

アウトプット：Drupalは、高度にカスタマイズ可能なオープンソースのコンテンツ管理システム（CMS）である。ウェブサイトの作成と管理を容易にするためのツールと機能が豊富に揃っている。特に、大規模なウェブサイトや複雑なウェブアプリケーションの開発に適している。Drupalは、モジュールとテーマの広範な選択肢を提供し、これによりユーザーは自分のウェブサイトを自由にカスタマイズできる。また、Drupalはコミュニティによって開発・管理されており、その結果、新しい機能の追加やセキュリティの更新が定期的に行われている。このような特性により、Drupalは世界中の多くのウェブ開発者に信頼されている。

翻訳

Drupalの強みの一つ多言語サイトのサポートです。ChatGPTによる自動翻訳機能は、ページ内コンテンツを瞬時に翻訳できます。Drupalはさまざまな翻訳サービスとの連携が可能ですが、このOpenAIモジュールによる翻訳は、その中ても一番手軽にできるものの一つです。

文章のポリシー違反の確認

AIは、コンテンツが特定のガイドラインや法的ポリシーに準拠しているかを自動的にチェックします。これは、特に広告規制やコンプライアンス要件が厳しい業界において、リスクを軽減し、信頼性の高いコンテンツを保証するために重要です。

差別的な記述や偏見の記載等を発見し、警告してくれます。

例えば、

「日本人はみんな眼鏡をかけていて出っ歯です」

など、偏見や差別的な記載があった場合、ポリシー違反かの確認を行うと、

Violation(s) found for these categories:
Harassment

とポリシー違反の警告が表示されます。

このように、意図せずにコンプライアンス違反を含む文章を公開してしまうことを避けることが可能です。

文体の変更

異なるターゲットオーディエンスに対応するため、ChatGPTは文章のトーンやスタイルを調整できます。例えば、フォーマルなビジネスコンテンツからカジュアルなブログポストまで、目的に応じてスタイルを変えることが可能です。

例

プロンプト：中学生にも分かりやすくリライトしてください。

原文：
Drupalは、高度にカスタマイズ可能なオープンソースのコンテンツ管理システム（CMS）である。ウェブサイトの作成と管理を容易にするためのツールと機能が豊富に揃っている。特に、大規模なウェブサイトや複雑なウェブアプリケーションの開発に適している。Drupalは、モジュールとテーマの広範な選択肢を提供し、これによりユーザーは自分のウェブサイトを自由にカスタマイズできる。また、Drupalはコミュニティによって開発・管理されており、その結果、新しい機能の追加やセキュリティの更新が定期的に行われている。このような特性により、Drupalは世界中の多くのウェブ開発者に信頼されている。

アウトプット：
Drupalは、自分だけのウェブサイトを作るためのツールの一つだよ。自分の好きなようにウェブサイトを作ることができるし、たくさんの選択肢があるから、自分だけのオリジナルなウェブサイトを作ることができるんだ。大きなウェブサイトや難しいウェブアプリを作るのにも使えるよ。そして、Drupalはみんなで作り上げているから、新しい機能が追加されたり、安全性が更新されたりすることもあるんだよ。だから、世界中のウェブ作成者たちから信頼されているんだよ。

要約

長いドキュメントや記事を簡潔に要約します。この機能は、SEOのためのdescriptionや、記事一覧ページ等で利用する概要（summary）の作成に有効です。

タイトルの提案

魅力的で関連性の高いタイトルは、SEOにおいて非常に重要です。このモジュールは、コンテンツの内容を分析し、読者を引きつけるタイトルを提案してくれます。

例：Drupal: カスタマイズ可能なオープンソースCMSで大規模ウェブサイト開発に最適

キーワードの抽出

SEO対策やページのタグ付けに利用できるキーワードをモジュールが抽出して表示してくれます。

例：Drupal, カスタマイズ可能, オープンソース, コンテンツ管理システム, 大規模なウェブサイト

ログ解析

Drupalから出力されるログに対して解説を追加してくれます。

エラー例：page not found

OpenAIによる解説: This error indicates that the page you are trying to access does not exist. To fix this error, you will need to check the URL of the page you are trying to access and make sure it is correct. If the URL is correct, then you may need to check the server configuration to make sure the page is being served correctly.（このエラーは、アクセスしようとしているページが存在しないことを示しています。このエラーを修正するには、アクセスしようとしているページのURLを確認し、それが正しいことを確認する必要があります。URLが正しい場合は、サーバーの設定を確認して、ページが正しく提供されていることを確認する必要があります。）

その他

他にもChatGPTとの会話がDrupal管理画面から行えたり、Devel Generateモジュールとの組み合わせでのリアルなダミーコンテンツの生成、ECAモジュールによるワークフローへの組み込み等、さまざまなことが可能になります。

まとめ

DrupalでのChatGPTの利用は、コンテンツ作成とWebサイトの運営を飛躍的に効率化します。このモジュールは、コンテンツの自動作成、翻訳、要約、SEO支援など、多岐にわたるメリットをもたらすことが可能です。利用するには、DrupalへのOpenAI/ChatGPT Integrationモジュール(https://www.drupal.org/project/openai) のインストールとOpenAIのAPIキーの取得が必要になります。設定も簡単に行えますので、ぜひ活用してみてください。