はじめに
案件でAIエージェントに関わる可能性があり、関連技術について調べている中で、「Fine-tuning」と「RAG」という言葉をよく目にしました。
どちらもLLM(大規模言語モデル)の回答精度を向上させるための技術ですが、役割や仕組みは大きく異なります。
本記事では、それぞれの特徴や違い、どのような場面で使い分けられるのかを初心者向けにまとめてみました。
この記事はこんな人向け
- Fine-tuningとRAGの違いが分からない方
- AI・LLM案件に参画予定の方
- AIエージェントの仕組みを理解したい方
Fine-tuningとは?
Fine-tuning(ファインチューニング)は、
既存のLLMに対して、自社データや特定分野のデータを追加学習させる技術です。
例えば法務システムであれば、
- 契約書
- 法務担当者のレビュー
- 過去の判断
などを大量に学習させることで、法務に特化したAIへ近づけることができます。
イメージは次のようになります。
学習済みLLM
↓
会社独自データを追加学習
↓
法務に特化したLLM
Fine-tuningのメリット
- 専門分野に強いモデルを作れる
- 出力のスタイルを統一しやすい
- 毎回長いプロンプトを書かなくてもよい
デメリット
- 学習用データを大量に準備する必要がある
- 学習コストがかかる
- データ更新のたびに再学習が必要になる場合がある
RAGとは?
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、
必要な情報を検索してからLLMに渡す仕組みです。
モデル自体は学習しません。
例えば、
「2026年度の社内規程を教えて」
という質問が来た場合、
ユーザー
↓
社内文書を検索
↓
検索結果をLLMへ渡す
↓
LLMが回答
という流れになります。
つまり、
「調べてから回答するAI」
というイメージです。
RAGのメリット
- モデルを学習させる必要がない
- 最新データを利用できる
- データ更新が簡単
- 導入しやすい
デメリット
- 検索精度が悪いと回答品質も下がる
- 検索基盤(ベクトルDBなど)が必要になる
Fine-tuningとRAGの違い
| 項目 | Fine-tuning | RAG |
|---|---|---|
| モデル学習 | あり | なし |
| 最新情報への対応 | △ | ◎ |
| データ更新 | 再学習が必要な場合がある | データ追加だけで対応可能 |
| 導入難易度 | 高め | 比較的低い |
| コスト | 高め | 比較的低い |
| 得意なこと | 専門知識・回答スタイルの最適化 | 最新情報・社内情報の参照 |
どちらを選ぶべき?
Fine-tuningが向いているケース
- 回答の文体を統一したい
- 特定分野の専門性を高めたい
- 独自の回答パターンを覚えさせたい
例
- 医療AI
- 法務AI
- カスタマーサポートAI
RAGが向いているケース
- 社内マニュアルを参照したい
- 最新情報を扱いたい
- FAQ検索
- 社内チャットボット
例
- 社内AIアシスタント
- 契約書検索
- 技術文書検索
最近はRAGが採用されるケースが多い
最近のAI案件を見ていると、まずはRAGを採用するケースが多いようです。
理由としては、
- モデルを再学習する必要がない
- データ更新が容易
- 開発コストを抑えられる
といった点が挙げられます。
例えば、社内規程が変更された場合でも、RAGであれば検索対象のデータを更新するだけで最新情報を利用できます。
Fine-tuningとRAGは組み合わせることもできる
この2つはどちらか一方を選ぶだけではなく、組み合わせて利用することもできます。
会社独自のデータで
Fine-tuning
↓
さらに
RAGで最新情報を検索
↓
LLMが回答
このようにすることで、
- 専門知識
- 最新情報
の両方を活用したAIを構築できます。
個人的に調べてみて思ったこと
最初は「Fine-tuningの方が高性能なのかな?」と思っていました。
しかし調べてみると、最近ではRAGを中心に構築するケースが多く、Fine-tuningは必要に応じて利用するという考え方が主流になっていることが分かりました。
また、AIエージェント案件でも、過去のデータや社内文書を検索して回答する仕組みが多く、RAGの考え方は今後も押さえておきたいと感じました。
まとめ
Fine-tuningとRAGはどちらもLLMの回答精度を向上させる技術ですが、役割は異なります。
- Fine-tuning:モデルを追加学習して専門性や回答スタイルを向上させる
- RAG:必要な情報を検索してから回答する
最近ではRAGを採用するケースが多く、必要に応じてFine-tuningを組み合わせる構成も増えています。
私自身も案件で触る可能性があるため、今後はRAGの実装方法やベクトルデータベースについても学習を進めていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!