はじめに
以前、【AWS初心者向け】AWSのサービスは何をすると料金が発生する?主要サービスの課金ポイントをまとめてみた という記事で、Lambda・S3・DynamoDB・EC2など主要サービスの課金ポイントを一覧でまとめました。最後に「NAT Gateway・CloudWatch Logs・RDS・EC2は特に注意」とだけ書いていたのですが、じゃあ具体的にいくらかかるのか、無料枠はどこまで使えるのか、というところまでは踏み込めていませんでした。
改めて公式のPricingページを見ながら、特に金額を書いていなかった項目を中心にもう一歩深掘りして調べてみました。調べてみたら、無料枠の制度自体が2025年にけっこう大きく変わっていたことも分かったので、その話も合わせて整理します。
この記事はこんな方におすすめ
- 前回の記事でAWSの課金ポイント一覧は理解したが、具体的な金額感を知りたい方
- NAT GatewayやCloudWatch Logsで想定外の請求を受けた(受けそうな)方
- 最近AWSアカウントを作った方で、無料枠がどうなっているか気になる方
- RDSのバックアップストレージ課金の仕組みを知りたい方
まず前回のおさらい
前回の記事のポイントを簡単に振り返ります。
- AWSは基本的に「使った分だけ支払う」従量課金制
- Lambdaは実行回数・実行時間、S3は保存容量・リクエスト数、DynamoDBは読み書き・保存容量が主な課金ポイント
- CloudWatch・NAT Gateway・EC2・RDSは特に「うっかり課金」されやすい
前回はこれらのサービスを横並びで一覧にしただけでしたが、今回は特に見落としやすい項目を1つずつ深掘りしていきます。
「何をすると課金されるか」を知る(前回)
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「実際いくらかかるか」を知る(今回)
無料枠、実は2025年に大きく変わっていた
前回の記事では「Lambdaは月100万回無料」「S3は5GB無料」のように、いわゆる”12か月無料枠”を前提に書いていましたが、調べ直してみると、AWSは2025年7月16日付けで新規アカウント向けの無料枠制度を大きく変更していたことが分かりました。
公式のアナウンスによると、2025年7月15日以降に作成された新規アカウントは、次のような制度になっています。
- サインアップ時に100ドル分のクレジットが付与される
- EC2やBedrockなど対象サービスを使うことで、追加で最大100ドル分のクレジットを獲得できる(合計最大200ドル)
- このクレジットは「サインアップから6か月」または「クレジットを使い切るまで」のどちらか早い方で失効する
- 30以上の「常時無料(Always Free)」サービスは、クレジットとは別に引き続き無料で使える
一方、2025年7月15日より前に作成された既存アカウントは、これまで通り12か月の無料利用枠が引き続き適用されるとのことです。つまり、今AWSを新しく学び始める人と、以前からアカウントを持っている人とで、無料枠の仕組みそのものが違う、という状態になっています。
~2025年7月15日 2025年7月16日~
既存アカウント 新規アカウント
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12か月無料枠が継続 サインアップ時$100
(Lambda月100万回等) +利用で最大$100追加
(6か月 or 使い切りで終了)
+常時無料サービスは継続
前回の記事はこの変更前の情報をベースにしていたので、これからAWSを学び始める方は、自分のアカウントがどちらの制度なのかをまず確認しておいた方が良さそうです。なお、常時無料(Always Free)サービスの範囲はクレジットの有無に関係なく使える、という点は共通のようです。
NAT Gatewayは「作っただけで課金」の代表格
前回「学習用途では使わない方が安全」とだけ書いたNAT Gatewayについて、具体的な課金の仕組みを調べてみました。
AWS公式のVPC Pricingページによると、NAT Gatewayの課金は次の3つの要素で構成されています。
| 課金要素 | 内容 |
|---|---|
| NAT Gateway時間課金 | 稼働している「NAT Gateway時間」ごとに課金(例:米国東部オハイオで1時間あたり0.045ドル) |
| データ処理課金 | NAT Gatewayを通過したデータ量に対して1GBあたり課金(方向を問わず) |
| データ転送課金 | 通常のEC2データ転送料金が別途かかる場合がある |
公式ドキュメントの例では、EC2インスタンスがNAT Gateway経由でS3に1GBのファイルを送信するケースが紹介されていて、NAT Gatewayの時間課金(0.045ドル)とデータ処理課金(1GB×0.045ドル)が発生する一方、同一リージョン・同一アベイラビリティゾーン内の通信自体には追加のデータ転送料金はかからない、とされていました。
重要なのは「稼働している時間ごとに課金され、1時間未満の端数も1時間分として課金される」という点と、「トラフィックの向きに関係なくデータ処理課金がかかる」という点です。前回書いた「作成しただけで時間課金が発生する」という理解は間違っていなかったものの、実際にはデータ量に応じた課金の方が、通信量が多いワークロードでは支配的になりやすいことが分かりました。
なお、S3やDynamoDBへの通信であれば、NAT Gatewayではなく「Gateway型のVPCエンドポイント」を経由させることで、データ処理課金・時間課金をかけずに済む、という回避策があることも今回初めて知りました。学習用途に限らず、実務でNAT Gatewayのコストが気になったら検討する価値がありそうです。
実際にどれくらいの金額になるか、公式の例を参考に簡単な計算式にしてみました。
NAT Gateway月額の概算 =
0.045ドル × 730時間(時間課金)
+ 0.045ドル × 通過データ量(GB)(データ処理課金)
+ 通常のデータ転送料金(送信先による)
1か月ずっと起動しっぱなしにするだけで、データを一切流さなくても時間課金だけで30ドル前後(0.045ドル×730時間)かかる計算になるので、「使わない時は消す」がそのまま効くコンピュートリソース(EC2など)とは違う、独特のコスト構造だと感じました。
CloudWatch Logsの課金は「取り込み」と「保管」の二重構造
前回「ログが増えやすい」とだけ書いたCloudWatch Logsについても、公式のPricingページで具体的な単価を確認しました。
CloudWatch Logsの課金は、大きく分けて「取り込み(Ingestion)」と「保管(Storage)」の2つの軸があります。
| 課金項目 | 単価の目安(米国東部・標準ログ) | 備考 |
|---|---|---|
| ログ取り込み | 0〜10TBまで1GBあたり0.50ドル | 取り込むログ量が増えるほど段階的に単価が下がる階層制 |
| ログ保管 | 1GBあたり月0.03ドル | 保持期間の設定に応じて発生し続ける |
取り込み単価は完全な固定ではなく、月間のログ量に応じて0〜10TBは1GBあたり0.50ドル、10〜30TBは0.25ドル、30〜50TBは0.10ドル…というように段階的に下がっていく階層構造になっています。逆に言うと、ログの取り込み量が少ないうちは単価が高いままなので、「小さい環境でも意外とログ課金がかさむ」という前回の実感は、この階層構造の仕組みからも裏付けられる形になりました。
さらに、Lambdaのログについては2025年5月時点の情報として、利用量が増えるほど段階的に割引が適用される仕組みが導入されているようです。ログ出力量が多いサービスを使っている場合は、単純な「1GBあたりいくら」という計算だけでなく、こうした階層制・割引の仕組みも踏まえて見積もる必要がありそうです。
Elastic IP(パブリックIPv4)も2024年から課金対象に
前回の記事でEC2の課金ポイントとして「Elastic IP」を挙げていましたが、当時と今とでルールが変わっていることが分かりました。
以前は「使っていない(インスタンスに紐付いていない)Elastic IPだけが課金対象」というルールでしたが、2024年2月1日以降、AWSは「使用中・未使用にかかわらず、すべてのパブリックIPv4アドレスに対して1時間あたり0.005ドル」を課金する方式に変更しています。
| 状態 | 2024年2月より前 | 2024年2月以降 |
|---|---|---|
| インスタンスに紐付けて使用中のIP | 無料 | 課金対象(月750時間分の無料枠あり) |
| 未使用(どこにも紐付いていない)IP | 課金対象 | 課金対象(無料枠なし) |
無料枠は「月750時間分」用意されているので、実質的には「1つのIPアドレスを1か月ずっと使用中の状態にしておく分」には課金されない計算になりますが、複数のEC2インスタンスやRDSインスタンスにそれぞれパブリックIPv4を割り当てていたり、未使用のElastic IPを放置していたりすると、その分は無料枠を超えて課金されます。
このルール変更は、EC2だけでなくRDS、EKSのノードなど、パブリックIPv4アドレスを持ちうるサービス全般が対象とのことなので、「Elastic IPを開放し忘れた」だけでなく、「複数サービスにうっかりパブリックIPを割り当てていた」というケースでも課金されるようになった、という点は前回の記事から一歩踏み込んで押さえておきたいポイントでした。
RDSの見落としがちな課金ポイント:バックアップストレージ
前回「バックアップ」とだけ触れていたRDSの課金について、自動バックアップの無料枠の仕組みを詳しく調べてみました。
公式情報によると、RDSでは「プロビジョニングしたDBストレージ容量と同じ量まで」の自動バックアップストレージが、リージョンごとに無料で提供されます。例えば500GBのRDSインスタンスであれば、500GB分の自動バックアップストレージまでは無料、という計算です。
ここで注意したいのが、次の2点です。
- 自動バックアップ・手動スナップショット・トランザクションログのストレージは、すべて同じ「リージョン単位の無料枠」を共有してプールされる
- 無料枠を超えた分は、1GBあたり月0.095ドル程度の追加料金が発生する(リージョンにより異なる)
つまり、DBインスタンス単体では無料枠に収まっていても、複数インスタンスの自動バックアップや、削除したインスタンスの手動スナップショットが残っていると、リージョン全体でのバックアップストレージ使用量が無料枠を超えて課金される、というケースがあり得ます。前回「起動しっぱなしに注意」と書きましたが、それだけでなく「消したはずのインスタンスのスナップショットが残っている」ことも、地味に見落としやすい課金ポイントだと感じました。
EBSボリュームの消し忘れにも注意
前回の記事ではEC2の課金ポイントとして「EBS容量」を挙げただけでしたが、これも地味にハマりやすいポイントです。
EC2インスタンスを削除(terminate)しても、アタッチされていたEBSボリュームは自動では削除されません。ルートボリュームについては「削除時にEBSも削除する(DeleteOnTermination)」設定がデフォルトで有効になっていることが多いですが、追加でアタッチした(ルート以外の)EBSボリュームはこの設定がデフォルトで無効になっているケースがあり、インスタンスを消したつもりでも、ボリューム単体としてはそのまま残り続けて課金が発生し続けます。
EC2インスタンス削除
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ルートボリューム(DeleteOnTermination=true)→ 一緒に削除される
追加ボリューム(DeleteOnTermination=false)→ 残り続けて課金継続
「インスタンスを消したのにEBSの請求だけ残っている」というのは、AWS初心者がよくハマるポイントの一つのようなので、インスタンスを削除する際は、紐付いているボリュームも合わせて確認・削除する習慣をつけておくと安心です。
実務で気をつけたいポイント
ここまで調べてきて、実務・学習の両方で意識しておきたいと感じたポイントを整理します。
- 自分のAWSアカウントが2025年7月15日より前後どちらに作られたかで、無料枠の仕組みが異なる
- NAT Gatewayは時間課金とデータ処理課金の両方がかかり、S3・DynamoDBへの通信はVPCエンドポイントで回避できる場合がある
- CloudWatch Logsは取り込みと保管の二重課金で、取り込み単価はログ量に応じた階層制になっている
- パブリックIPv4アドレスは2024年2月以降、使用中・未使用を問わず課金対象になった(月750時間の無料枠あり)
- RDSの自動バックアップ無料枠は「リージョン単位」でプールされるため、削除済みインスタンスの手動スナップショットにも注意が必要
- 常時無料(Always Free)サービスの範囲は、無料クレジットの有無にかかわらず利用できる
個人的に調べてみて思ったこと
前回は「何をすると課金されるか」という表面的な理解でまとめていましたが、今回具体的な単価や仕組みを調べてみて、「同じ操作でも条件によって金額の桁が変わる」ことがよく分かりました。特にNAT Gatewayのデータ処理課金や、CloudWatch Logsの階層制単価は、実際の使用量を見積もらないと「安いのか高いのか」が判断できないタイプの課金だと感じました。
また、無料枠制度が2025年に変わっていたという事実は、正直今回調べるまで知りませんでした。技術的な仕様と違って、こうした「制度の変更」は公式のWhat's Newやアナウンスを定期的に追わないと気づきにくいので、AWSの学習コンテンツを参照するときは「いつの情報か」を意識する必要があると改めて感じました。
前回と今回で理解がどう変わったかを簡単にまとめると、こんな感じです。
| 項目 | 前回の理解 | 今回分かったこと |
|---|---|---|
| 無料枠 | 12か月無料枠が前提 | 2025年7月以降の新規アカウントはクレジット制(最大200ドル・6か月) |
| NAT Gateway | 時間課金がある、くらいの理解 | 時間課金+データ処理課金の2軸で、後者が支配的になりやすい |
| Elastic IP | 未使用分だけ課金 | 2024年2月以降は使用中も含め全パブリックIPv4が課金対象 |
| RDSバックアップ | 「バックアップも課金対象」程度の理解 | DBストレージ量と同量まで無料・リージョン単位でプールされる |
こうして並べてみると、前回は「何が課金対象か」というリストだけで満足していましたが、今回は「いつの制度か」「どういう単位で計算されるか」まで踏み込めたことで、実際にコストを見積もったり、請求額の原因を特定したりする際に役立つ知識になったと感じています。
まとめ
今回はAWSの課金ポイントについて、前回金額まで踏み込めていなかった「無料枠制度の変更」「NAT Gateway」「CloudWatch Logs」「RDSバックアップストレージ」を中心にもう一歩深掘りしてみました。
- 2025年7月15日以降の新規アカウントは、12か月無料枠ではなく最大200ドルのクレジット制(6か月)に変わった
- 常時無料(Always Free)サービスはクレジットの有無に関わらず引き続き利用できる
- NAT Gatewayは時間課金+データ処理課金(方向問わず)が発生し、VPCエンドポイントで一部回避できる
- CloudWatch Logsは取り込み(階層制)と保管(月額)の二重課金構造になっている
- パブリックIPv4アドレスは2024年2月以降、使用中・未使用問わず課金対象(月750時間無料枠あり)
- RDSの自動バックアップ無料枠はDBストレージ量と同量までで、リージョン単位・複数リソースでプールされる
AWSの料金は「何をすると課金されるか」だけでなく「いくらかかるか」「無料枠はどこまでか」まで押さえて初めて実用的な知識になる、というのが今回の一番の学びでした。他のサービスについても、気になったタイミングでまた深掘りしてみようと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!