
Copilot Chatの画面右上にある 「新しいチャット」ボタン 。
「これっていつ押せばいいんですか?」
研修や個別相談でよく聞かれる質問のひとつです。
今回はこのボタンの使いどころを、誤解なく使えるように解説します。
はじめに:よくある業務シーン
Copilot Chatに慣れてきた同僚に、こんな質問をされたことがあります。
「ねえ、右上の 『新しいチャット』 ボタンって、いつ押せばいいの?」
「ずっと同じチャットで使い続けてるんだけど、これっていいのかな?」
「途中から急にCopilotの返答がおかしくなった気がする」
「同じことを聞き直してるのに、毎回違う答えが返ってくる」
実は、これらの悩みの多くは 「新しいチャット」ボタンの使いどころ に関係しています。
さらに最近は メモリー機能 も加わって、押した時に何が起こるかがより複雑になってきました。
意外と説明されていないけれど、生産性に直結する地味に大事な機能です。
このボタン、なぜわかりづらくなっているのか
「新しいチャット」ボタンの使いどころが分かりにくい理由は、いくつかあります。
押した結果が「見えにくい」
ボタンを押すと、画面上では 入力欄が空になるだけ で、何が起こったのかが直感的に分かりません。「会話履歴は消えたの?」「Copilotが覚えていたことはどうなったの?」。確かめる方法も画面上にはないので、不安だけが残ります。
「履歴」と「会話の流れ」がごっちゃになる
Copilot Chatの左サイドバーには、過去のチャット履歴が一覧で残っています。だから「履歴は消えてないし、大丈夫そう」と感じます。でも、会話の流れ(=Copilotが覚えている文脈)は別物。ここが混同されやすいポイントです。
メモリー機能の登場で構造が変わった
これまでCopilotが覚えていてくれるのは、そのチャットの中だけ でした。だから「新しいチャット」を押せば全部ゼロから、という理解で問題なく使えていました。
しかし、2025年7月以降、Copilot Chat に メモリー機能 が順次展開されています。これは、チャットをまたいで あなたの好みや職務、進行中のプロジェクトなどを覚えておく仕組みです。
つまり、こうなりました。
- チャット内の短期記憶:同じチャットの中だけで保持され、新しいチャットを押すとリセットされる
- メモリー(長期記憶):チャットをまたいで保持され、新しいチャットを押しても引き継がれる
「新しいチャットを押した=全部リセット」という単純な理解では、追いつかなくなっています。
押しすぎても押し忘れても困る
押しすぎると、毎回ゼロから前提を説明し直すことになって非効率。押し忘れると、関係ない過去の話題が混ざり込んで返答の精度が落ちる。ちょうど良いタイミング が分かりにくいのです。
「新しいチャット」ボタンの仕組み
ここで、Copilot Chatが覚えている情報を 3層構造 で整理します。
第1層:チャット内の短期記憶
同じチャットの中で会話を続けている間、Copilotは 直前までのやりとりを覚えています。だから、
「今の文章をもっと簡潔にして」
「さっきの提案、別パターンで作って」
といった、前の発言を踏まえた依頼ができます。前提を毎回書かなくて済むのは、この仕組みのおかげです。
「新しいチャット」を押すと、この短期記憶がリセット されます。
第2層:メモリー(チャットをまたぐ長期記憶)
メモリー機能がオンになっている場合、Copilotは 複数のチャットにまたがって、あなたの基本情報を覚えています。たとえば:
- あなたの職務・専門分野
- よく扱うプロジェクトやテーマ
- 文章の書き方の好み(箇条書きが好き、フォーマルな文体が好み、など)
- 業務の進め方の好み
「新しいチャット」を押しても、メモリーに保存された情報はそのまま引き継がれます。だから、新しいチャットでも「私の文体に合わせて書いて」と一言伝えるだけで、いつもの文体で返ってきます。
第3層:過去のチャット履歴(参照可能)
左サイドバーに残っているチャット履歴は、Copilotが必要に応じて 過去の発言から推測材料を取り出す ことに使われます。これも、新しいチャットを押しても消えません。
押すべきタイミング
ここからが本題。具体的にいつ押すべきかを整理します。
ケース1:全く違う話題に切り替えるとき
「上司への報告メールを書いていた」 → 「次は会議の議事メモを整理したい」
「営業資料の文章を直していた」 → 「次はPython のコードを書きたい」
このように 話題が完全に別物に切り替わる タイミングでは、新しいチャットに切り替えましょう。前の話題の文脈が混ざると、変な返答が返ってくる原因になります。
ケース2:長い会話で返答が変になってきたと感じるとき
同じチャットで何十往復もやり取りしていると、過去のやり取りが積み重なって、Copilotが 何を優先すべきか判断しにくくなる ことがあります。
「同じ依頼を繰り返してるのに、なぜか違う方向の答えが返ってくる」
「最初に伝えた前提が、途中から無視されている気がする」
こう感じたら、新しいチャットに切り替えるサインです。直前までのやり取りで重要だった情報を改めて整理して、新しいチャットに渡し直すと、応答の精度が回復します。
ケース3:機密度の異なる話題に切り替えるとき
業務情報を含む話題から、もっと一般的な話題に切り替えるとき。あるいはその逆。関係ない話題が混ざるリスクを避けたい場面 では、念のため新しいチャットを切ることをおすすめします。
機密度がより高い話題で メモリーにも残したくない 場合は、新しいチャットの選択肢にある 「Temporary Chat(一時チャット)」 を使うと、メモリーへの保存も履歴への記録もスキップできます。
押さなくていいタイミング
ケース1:同じテーマで深掘りしているとき
「いま書いた文章を、もう少しカジュアルにして」
「3パターン作ってもらった中で、2番目をベースに修正して」
こうした 積み上げ型のやり取り では、押さない方が圧倒的に楽で精度も高いです。前のやり取りを覚えていてくれるからこそ、短い指示で意図が伝わります。
ケース2:Copilotの応答に対して追加の質問をしているとき
「もう少し詳しく」「具体例を出して」「別の視点でも見てほしい」——これらは 同じ話題の継続 なので、新しいチャットを押す必要はありません。
Before / After
Before:押すタイミングが分からなかった場合
- 不安になって押しすぎ、毎回ゼロから前提説明をやり直す
- あるいは押さずに使い続けて、長くなった会話で応答精度が落ちる
- 「Copilotってあてにならない」という誤った印象が残る
After:タイミングを意識して押せるようになった場合
- 話題ごとに区切って使うので、応答が安定する
- 同じ話題内では文脈を活かして、短い指示で済む
- メモリー機能でチャットをまたいだ前提情報も活用できる
- 結果として、Copilot Chatの使い勝手が一段上がる
活用のコツ
「話題が変わるとき」を意識する
完璧なルールを覚えるより、「あ、話題変わったな」と思った瞬間に押す くらいの感覚で十分です。判断に迷ったら、押してしまっても支障はありません。前の会話は履歴に残っているので、必要なら見返せます。
メモリー機能を意識して使う
メモリーに 何を覚えておいてほしいか/ほしくないか を、自分から伝えるのも有効です。
「私は箇条書きで整理されるとわかりやすいので、覚えておいてください」
「この案件の機密情報はメモリーに残さないでください」
設定画面(設定 > 個人用設定 > 保存されたメモリ)から、何が保存されているかを確認したり、不要なメモリーを削除したりすることもできます。自分用にCopilotを育てていく という感覚で使うと、より自然に活用できます。
チャット履歴に「分かる名前」がついているか確認
Copilot Chatの履歴は自動でタイトルがつきますが、後で見返したい話題は 手動で名前を変えておく と便利です。週次振り返り、〇〇プロジェクト提案、議事メモ整理…のように、自分で分類できる名前にしておくと、過去の会話を再利用しやすくなります。
まとめ:このボタンの「型」
「新しいチャット」ボタンは、次のように使い分けます。
話題が変わる → 押す
長い会話で迷走しはじめた → 押す
機密度の異なる話題に移る → 押す(必要に応じてTemporary Chat)
同じ話題で深掘り中 → 押さない
応答に対して追加質問するだけ → 押さない
このボタンは、そのチャット内の短期記憶をまっさらにする機能です。チャット履歴やメモリーに保存された情報は消えないので、押すこと自体に怖さは不要です。
メモリー機能の登場で、「新しいチャット=全リセット」ではなくなりました。短期記憶はチャット単位、長期記憶はメモリー という二層構造を意識しておくと、Copilot Chatをもっと自分の業務スタイルに合わせて使えるようになります。
次回Copilotを開いたとき、まずは「いま自分がいるチャットは、何の話題のチャットだろう?」と一度立ち止まってみてください。
参考(Microsoft公式)
- Microsoft Support「Get started with Microsoft 365 Copilot Chat」
https://support.microsoft.com/en-us/topic/get-started-with-microsoft-365-copilot-chat-5b00a52d-7296-48ee-b938-b95b7209f737 - Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot personalization and memory」
https://learn.microsoft.com/en-us/copilot/microsoft-365/copilot-personalization-memory - Microsoft Support「Manage Copilot Memory in Microsoft 365 Copilot」
https://support.microsoft.com/en-us/topic/manage-copilot-memory-in-microsoft-365-copilot-b3231eae-9e60-4b3c-ac58-81fddbe56279


