こんな経験はありませんか
ひとつのプロジェクトを進めていると、関連する資料があちこちに散らばっていきます。製品紹介のPowerPoint、概要をまとめたWord、過去に作った提案資料。
フォルダーを行き来しながら「あの内容、どの資料に書いてあったかな」と探す時間が、地味に積み重なっていきます。
そして、いざ全体像を把握しようとすると、複数の資料を順番に開いて、頭の中で突き合わせる作業が必要になります。資料が3つ4つと増えるほど、この「束ねて理解する」手間は大きくなります。
こうした「複数の資料を1か所にまとめて、横断して把握したい」という場面で役立つのが、Copilot Notebookです。そして嬉しいことに、この機能は無償版のCopilot Chatでも使えるようになりました。
本記事は、2026年6月時点の私の実際の環境(無償版・有償版の両方)で画面を確認したうえで、機能の範囲を整理しています。
Copilot Notebookとは
Copilot Notebookは、ファイルやページ、チャットなどの参照(References)を1つのノートブックに集めて、その範囲内でCopilotに質問したり、要約や分析情報を作らせたりできる「作業用のまとめ場所」です。
ポイントは、集めた参照の範囲だけを根拠にCopilotが答えるという点です。Web全体や手元のすべてのファイルを対象にするのではなく、「このプロジェクトに関係する資料」だけを束ねた、いわば専用の作業スペースを作れます。回答には出典番号が付き、どの参照に基づいた内容かを後から確認できます。
無償版での基本的な使い方
ここでは、ひとつのプロジェクトに関係する複数の資料を束ねて整理する流れを見ていきます。
1. ノートブックを作る
Copilot Chat(https://m365.cloud.microsoft/)を開き、左側のメニューからNotebooksを選んで新しいノートブックを作成します。プロジェクト名などわかりやすい名前を付けておくと、後から探しやすくなります。



2. 資料を参照に追加する
ノートブックの「参照」から、まとめたい資料を追加します。無償版では、OneDrive上のファイルや手元からアップロードしたファイルを参照にできます。対応している形式はDOCX、PPTX、XLSX、PDFなどです。


製品紹介のPowerPoint、概要をまとめたWord、過去の提案資料——こうした散らばっていた資料を、ここで1つのノートブックに集めます。
3. 全体を要約させる・質問する
参照を追加すると、Copilotがノートブック全体の要約と、主要な分析情報を自動で作ってくれます。たとえば複数のAIガイドラインを束ねれば、「共通点」や「違い」といった切り口で、横断的な整理が出てきます。各項目には出典番号が付くので、どの資料が根拠かをすぐ確認できます。

さらに、右側のチャットから自由に質問できます。
このノートブックの資料をもとに、ポイントを3つに整理してください。それぞれどの資料に基づくかも示してください。
複数の資料を順番に開いて読み比べる代わりに、束ねた資料に対してまとめて問いかけられる。これが、散らばった情報を整理しやすくする働きです。
無償版でできる「簡易作成」
ノートブックの「簡易作成」エリアからは、集めた内容をもとにした成果物をワンクリックで作れます。無償版で使えるのは次の2つです。
マインドマップ
ノートブックの内容を、中心テーマから枝分かれする形で構造化して見せてくれます。資料が頭の中で整理しきれていないときに、全体の関係性を俯瞰するのに向いています。

学習ガイド
集めた内容を、理解を深めるためのガイド形式で提示してくれます。新しいテーマの資料を束ねて、まず全体像をつかみたいときのキャッチアップに使えます。

どちらも「散らばった資料を、別の見え方で整理し直す」ための機能です。読むだけでは見えにくかった構造が、形を変えることで把握しやすくなります。
Before / After
複数の調査資料やレポートを束ねて、要点を整理する場面を想定します(詳しくは次のセクションで取り上げます)。
| かかる手間 | |
|---|---|
| Before:資料を1つずつ開いて読み比べ、要点を手でメモ | 30〜40分 |
| After:ノートブックに資料を束ね、要約+質問で整理 | 5〜10分 |
時間の差もさることながら、「どの資料に何が書いてあったか」を探し直す負担が減るのが、地味に効いてきます。
ユースケース:複数の調査資料・レポートを束ねて要点を整理する
もう少し具体的な場面で見てみます。
たとえば、ある検討テーマについて、社内外のレポートや調査資料が手元に4〜5本たまっているとします。市場動向のレポート、他社事例をまとめた資料、社内アンケートの集計、過去の検討メモ。それぞれ別の人が、別のタイミングで作ったものです。これらを読み込んで「結局、何が言えるのか」を整理するのは、なかなか骨が折れます。
ここでCopilot Notebookを使います。
まず、テーマ名でノートブックを作り、関係する資料をまとめて参照に追加します。OneDrive上のファイルでも、手元からアップロードしたDOCX・PPTX・XLSX・PDFでも構いません。追加すると、Copilotがノートブック全体の要約と分析情報を自動で作ってくれるので、まず全体像をざっと眺めます。
そのうえで、チャットで具体的に問いかけます。
このノートブックの資料全体から、共通して指摘されている課題を3つに整理してください。それぞれ、どの資料に基づくかも示してください。
資料の中で、主張が食い違っている点があれば挙げてください。どの資料とどの資料が、どう違うのかを教えてください。
ひとつめのプロンプトで要点を束ね、ふたつめで「資料同士の食い違い」を洗い出す。複数の資料を読み比べるときに人が頭の中でやっている作業を、ノートブックの中でまとめて進められます。回答には出典番号が付くので、気になった点はすぐ元の資料に戻って確認できます。
最後に、整理した内容をマインドマップにすると、課題・論点・資料の関係が一枚で俯瞰できます。資料の束が、構造を持った見取り図に変わります。
ここで大事なのは、結論を出すのは自分だということです。Copilotが束ねてくれるのはあくまで材料で、「で、どうするか」の判断は読者の手に残ります。Notebookは、その判断を下しやすくするために、散らばった材料を整理して並べてくれる場所です。
無償版と有償版の違い
Copilot Notebook自体は無償版でも使えますが、できることには範囲の違いがあります。筆者が無償版・有償版の両方の画面で確認した範囲を整理します。
| Notebokの項目 | 無償版 Copilot Chat | 有償版 Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| ノートブックの作成・参照の整理 | ○ | ○ |
| 要約・分析情報の自動生成(出典付き) | ○ | ○ |
| チャットでの質問(ノートブック内で回答) | ○ | ○ |
| マインドマップ | ○ | ○ |
| 学習ガイド | ○ | ○ |
| 参照に追加できるソース | ファイル中心(OneDrive・アップロード) | ファイルに加え、会議・サイト・リンクを横断 |
| オーディオの概要 | × | ○ |
| ドキュメント / スプレッドシート / プレゼンテーション 出力 | × | ○ |
いちばん実務に効く違いは、参照に追加できるソースの幅です。無償版で束ねられるのは基本的にファイル(OneDrive上の資料やアップロードしたファイル)です。有償版では、これに加えてTeams会議やSharePointサイト、Webリンクといった「業務データを横断して引き込む」参照が使えます。
つまり大まかには、無償版は「手元の資料を1か所にまとめて整理する」用途、有償版は「会議やサイトまで含めて業務データを横断的に束ねる」用途、と捉えると分かりやすいです。
また、集めた内容をWord・Excel・PowerPointといったOffice形式の成果物として書き出す機能や、オーディオでの概要生成は、有償版側の機能です。無償版では、要約・質問・マインドマップ・学習ガイドまでが使える範囲、と考えておくとよいでしょう。
ほかにもこんな使い方
今回は調査資料の整理を例にしましたが、「複数の資料を束ねて把握したい」場面はほかにもあります。考え方は同じです。
- 製品・サービスの資料を束ねて問い合わせの下調べ:紹介資料や仕様書をまとめておけば、「この点はどの資料に書いてあるか」をすぐ確認できます。
- 社内規程やマニュアル類を束ねて「これどうする」を聞く:複数のルール文書を参照にまとめ、具体的な場面を質問すれば、関連する箇所を横断して拾えます。
- 過去の議事録や進捗資料を束ねて経緯のキャッチアップ:途中から関わる案件で、これまでの資料を束ねて全体像をつかむのに使えます。
いずれも「散らばった資料に、束ねる場所をひとつ作る」という同じ型です。
整理の型
最後に、今回の使い方を型としてまとめます。
散らばった資料を整理する型
- プロジェクト単位でノートブックを作る
- 関連するファイルを参照に集める
- 自動要約で全体像をつかむ
- チャットで横断的に質問する
- マインドマップや学習ガイドで構造を捉え直す
判断や結論を出すのは、あくまで自分自身です。Copilot Notebookは、そのための材料を1か所に集め、見通しよく整理するための場所だと考えると、自然に使いこなせます。
散らばりがちな資料に、束ねる場所をひとつ用意する。それだけで、プロジェクトの全体像はぐっと把握しやすくなります。
