#はじめに
この記事は,音声分析ソフト「WaveSurfer」の基本操作や少々わかりづらい操作をまとめた記事である.
実際に自分も使用している為,使用していて忘れてしまいそうな部分も含めまとめた.
使用したWaveSurferのバージョンは8.5.2.8である.
#音声ファイルの読み込み
File → Open → 分析したい音声ファイルを選択 → 選択した音声ファイルの音声波形が表示
※wav形式のファイル以外は読み込めない為,注意が必要.
#波形の拡大縮小,周期の確認
WaveBarを右クリック → Create Pane → Waveform → 下の画像のようになる
上記の画像の状態から,ツールバーの+が描かれている虫眼鏡のようなボタンを押すと拡大され,下記の画像のようになります.そうすることで1周期の波形を見ることができる.縮小したい場合は,-が描かれている虫眼鏡のようなボタンを押せば縮小される.なお,下記の画像の波形は,単独で発音した/a/の波形である.
また,上記で表示させた拡大させた波形を画面から消去したい場合,
右クリック → Delete Pane
で表示を消すことができる.
#時間表示
WaveBarを右クリック → Create Pane → Time Axis
#ピッチ分析,パワー分析
###ピッチ分析(声の高さ)(基本周波数分析)
WaveBarを右クリック → Create Pane → Pitch contour
赤線の部分のピッチ(基本周波数)の値は,左下のオレンジ線の部分に表示される.
###パワー分析(声の大きさ)
WaveBarを右クリック → Create Pane → Power plot
赤線の部分のパワーの値は,左下のオレンジ線の部分に表示される.
#広帯域分析,狭帯域分析
###広帯域分析
WaveBarを右クリック → Create Pane → Spectrogram
スペクトログラムの上で右クリック → Properties → 下記の画像のように表示されるため
FFT window length,Analysis window type,Analysis bandwidth,Cut spectrogram atを広帯域分析ができるように変更する.
設定項目 | 広帯域分析 |
---|---|
FFT window length | 512,1024,2048など |
Analysis window type | HammingまたはHanning |
Analysis bandwidth | 200 |
Cut spectrogram at | 3000,5000,8000,10000,16000 など |
※Analysis window typeの窓の種類は任意
上記の画像のような設定にすると,以下の画像のようなスペクトログラムが表示される.
広帯域分析は時間分解能を高めた分析方法で,フォルマントの時間的変化の観測に向いている.
###狭帯域分析
WaveBarを右クリック → Create Pane → Spectrogram
スペクトログラムの上で右クリック → Properties → 下記の画像のように表示されるため
広帯域分析と同じように
FFT window length,Analysis window type,Analysis bandwidth,Cut spectrogram atを狭帯域分析ができるように変更する.
設定項目 | 狭帯域分析 |
---|---|
FFT window length | 512,1024,2048など |
Analysis window type | HammingまたはHanning |
Analysis bandwidth | 20 |
Cut spectrogram at | 2000,3000,5000,8000,10000,16000 など |
※広帯域分析と同じくAnalysis window typeの窓の種類は任意
上記の画像のような設定にすると,以下の画像のようなスペクトログラムが表示される.
狭帯域分析は周波数分解能を高めた分析方法で,アクセントやイントネーションなど声の基本周波数に関する観測に向いている.
#FFT分析,LPC分析
###FFT分析
一定区間(1周期が目安)の波形を選択 → 右クリック → Spectrum Section → AnalysisをFFTに選択
※Window,Order,FFT pointsは任意
###LPC分析
上記の画像のAnalysisをLPCに変更
※Window,Order,FFT pointsは任意
LPC分析によってスペクトル包絡を表示させ,フォルマントを観察することができる.
なお,上記のFFT分析とLPC分析の画像は/a/の波形で行ったものである.
#フォルマントプロット
WaveBarを右クリック → Create Pane → Formant Plot → 表示されたスペクトルグラムを右クリック → Properties → Spectrogram → 広帯域分析の値に設定
フォルマントプロットは,第1~第4フォルマント周波数を色線でプロットする.