はじめに
この記事は私の後輩に向けて書いた文章です。
とりあえず動くものを作ることが主旨であり、実務で使うには物足りないことが多々あります。ご容赦ください。
わからないことがあったら、臆せずAIに聞きましょう。
もしくは先輩に聞いてください。少なくとも僕は質問されるのが大好きです。
こんにちは、サービスエリアです。
突然ですが、みなさんは電気回路を作りたいとおもったことがありますか?
僕はあります。
この記事は、技術の授業でLEDを光らせたことがある、程度の初心者の人に向けて書いています。
わからない部品が出てきたり、言ってることが良くわからなかったら、AIなどに聞きながら進めてあげてください。
近年、じわじわ電子工作ブームが訪れつつあり、300円で使えるマイコンが出るなど初心者の参入ハードルが下がっています。
たぶん、あなたにもできます。
たぶん。
全体の流れ
電子工作といっても、さあはんだ付けをしよう、といきなりなるわけではありません。
そもそも、とりあえず動くものを作るのにはんだ付けは必要ありません。
やらなきゃいけないことはざっくり、以下の5ステップに分けることができます。
- 要件定義
- 部品の洗い出し
- 回路図を書く
- 配線
これだけ。1の要件定義からやり方を見ていきましょう。
Step0 - そもそも回路設計ってなにすんだっけ
すごく雑に言うと、どこから電気を入れて、どこを通して、どこに逃がすか?を決めることです。
電気は必ず、電源のプラスから出てマイナスへ帰る一周の道を通ります。その道の途中に部品を置いて、「光らせる」「センサーで測る」「スイッチで切り替える」といった仕事をさせる、これだけのことです。
何事も、新しいことを始めるには道具が必要です。まずは、以下の部品を手に入れましょう。必要な部品以外は、おおかた学校にそろってるはずです。
用意しておくと良いもの:
- パソコン
- ブレッドボード 1枚
- ジャンパワイヤ(オス-オスの線がセットになったもの、画像のより柔らかい曲げられるタイプを推奨)
- テスター(電圧・抵抗が測れる安いものでOK)
- あとは題材ごとの部品
慌てて買わず、まず設計を固めてから注文するのがコツです。
Step1 - 要件定義をしよう!
数多の技術ブログで口を酸っぱくして言われてる言葉、「要件定義をちゃんとしろ」。
聞き飽きた人もいるでしょう。僕も聞き飽きてます。
でも、私は要件定義をせず2-3回しくった経験があるので、きっとあなたもしたほうがいいです。失敗確率を3割くらい減らせる魔法のテクニックです。おすすめです。
そもそも要件定義って何さ、って人向けに解説もしておきますね。
要件定義とは、「自分が何を作りたいか」を具体的かつ詳細に決めちゃう作業です。
「暗くなったら光るライトが作りたい」だけではだめ、ということです。どのくらい暗くなったら? どのくらい明るく光る? 電源は? 屋内? 屋外? ....etc
こうした問いに答えていくのが要件定義です。
あとからやっぱこうしたほうがいい、やっぱこうしたほうがいい...と追加していくと、手間とお金がかかりますからね。
でも、要件定義すること自体にもずいぶんと手間がかかりそうじゃないですか?
あたりです。ドチャクソにめんどくさいです。
でも、今は大規模言語モデルなる、人類の英知の結晶が無料で使えるではありませんか。使い倒してやりましょう。たとえばこんな風に――
電子工作の初心者です。「部屋が暗くなったら自動で光るライト」を作りたいです。
要件定義をするために、私がまず決めるべきことを最低限、質問形式で挙げてください。
するとこんな回答がきます。
1. どこで使う?
室内ですか?屋外ですか?
据え置きですか?持ち運びますか?
2. 何を光らせる?
LEDですか?
LEDテープですか?
市販の照明を制御したいですか?
3. 電源は何を使う?
...
これに全部答えてください。多分2レスポンスくらいで決まってくるはずです。
だいたい決まってきたなー、とおもったら、
箇条書きで要件定義を簡単に書いてください。
とだけ言って、要件定義はこれで終わりにしましょう。
私の今回の出力はこんな感じでした。
### 要件定義
* 目的:周囲が暗くなったら自動で点灯する足元灯を製作する
* 設置場所:屋内
* 設置方法:据え置き
* 光源:LED
* 電源:DC 5V または DC 12V
* 動作条件:
* 周囲が十分暗くなったら自動点灯
* 周囲が明るくなったら自動消灯
* 応答速度:明るさ変化後、ほぼ即時に動作
* 明るさ:足元を安全に確認できる程度
* 制御方式:完全自作回路
* 開発方針:まずは基本機能のみ実装し、追加機能は考慮しない
* 予算:約3,000円以内
* 安全性:
* AC100Vを直接扱わず、低電圧(5Vまたは12V)で動作させる
* 屋内常設を想定し、発熱や感電の危険がないこと
### 今回は実装しない機能
* 明るさ調整
* 点灯時間タイマー
* 人感センサ
* 無線通信
* スマートフォン連携
* バッテリー駆動
* 防水・防塵機能
* 調光(PWM制御など)
Step2 - 部品の選定
次はいよいよ具体的な設計に入っていきましょう。部品の選定です。
今回はこれにもAIを使いましょう。(ある程度慣れてくるとAIがなくてもできるようになります。)
ここのプロンプト(指示)は適当でいいです。ただ、できればThinkingモデルを使うとよいとされます。
最低限の部品リストを選定して。将来拡張性を気にしてマイコンを使いたい。とりあえず動けばいいからブレッドボードで
こんな感じの回答をくれた
将来拡張を考えるなら、最初からマイコンを入れておくのは良い選択です。
最低限の部品リスト
部品 数量 用途
ESP32 DevKitC または ESP32互換機 1 マイコン
ブレッドボード 1 試作
CdSセル(フォトレジスタ) 1 明るさ検知
10kΩ抵抗 1 CdSセルとの分圧
LED(白色) 1 ライト
220Ω抵抗 1 LED電流制限
ジャンパワイヤ 適量 配線
USBケーブル 1 ESP32給電・書き込み
この際、AIにたくさん質問し、どうやって回路が動くか、どういう仕組みかを理解しておくことお勧めします。
次に、その部品がどこで買えるかをリサーチします。
東京都なら秋葉原、大阪府なら日本橋に繰り出してもいいですが、今は通販が便利です。
関東は秋月電子通商、関西は共立エレショップ、割とどこにでもあるのがマルツです。
今回は秋月電子のウェブストアで探すこととしましょう。
基本的には、AIに提示された部品名+秋月電子 でググれば出てきます。(秋月の検索システムよりはgoogleのほうが優秀)
また、部品を選ぶ際、ブレッドボードにつけるのが大変なので、このように硬い脚がついているものを選定しましょう。

今回はこんな感じで選定しました。
(今回は例なので適当ですが、部品選定をミスると部品が焼けたり爆発したりします。選定し終わったら、ThinkingモードのAIにリンクを送って確認してもらったほうがいいです)
ESP32
フォトレジスタ
10kΩ抵抗
LED
220Ω抵抗
Step3 - 回路図を書こう!
やっと設計っぽいことができるフェーズです。回路図を書きます。
もし、あなたの頭の中にもうすでに配線や回路図ができていたとしても、絶対に視覚的にわかる回路図を書きましょう。1000%配線ミスをするので(3敗)
まずはこのKicadというソフトを入れてください
これは回路図などが書けるソフトです。無料ですがオープンソースかつ多機能で、プロでも使ってる人がいます。
Kicadの使い方は先人がわかりやすく解説してくれてるので、ここでは割愛します。
これを見ながら回路を書いてください。
よさげな記事↓
上記の記事を読んで、回路図がかけましたね?
ERC(配線チェック)を回してもエラーが出ませんね?
エラーが出ないなら、つなぎ忘れやショートがないということ。次に進むことができます。
ERCは、回路が仕様通り、正常に動作するかは見てくれません。
そのため、本当にその回路でいいのか、AIに確認してもらいましょう。
Kicadのプロジェクトフォルダを見ると、このようになっているはずです。

この中から、[プロジェクト名].kicad_schというものを選んで、要件定義書と一緒にAIに渡してください。
以下の要件定義に沿った回路を作りました。この回路は正常に動作しますか?
と聞けば、中身を精査して回答してくれます。
Thinkingモデルか、Claude等性能の高いAIにやってもらうことをお勧めします。
Step4 - 製品を発注しよう
さっき秋月電子で選んだ製品ですが、そのままオンラインで注文してもいいし、街に繰り出して買ってもいいです。
街に繰り出して買ったほうが勉強にはなるので、時間のある皆さんはぜひお住まいの地域の電気街に行ってください。
東京なら秋葉原、大阪なら日本橋ですね。
もし秋葉原に行くなら、秋月電子通商に加え、千石電商
、aitendo、ラジオデパート、ラジオセンター、日米商事などを渡り歩くのがおすすめです。
(後半3つは昭和の匂いが残っていて楽しいです。)
個人的に個人商店を応援したいので、抵抗や簡単なセンサ、スイッチ類はラジオデパートやラジオセンターの個人店で探して購入します。
ざっと歩いて見つからないものは秋月で買います。楽なので。
Step5 - 配線しよう
いよいよ実物が手元にきましたね。
ブレッドボードで配線を開始しましょう。
ブレッドボードとは、部品を挿すだけで配線できる板です。失敗しても抜いて挿し直せるのが利点です。
ブレッドボードは内部で穴と穴がつながっています。これを利用して簡単に部品同士を接続してやろうという魂胆です。
- 両脇の長い列(赤・青のライン)
- 横方向に1本につながっている。ここを電源(+)とグランド(−)の幹線に使う。
- 真ん中のエリア
- 縦方向に5個ずつがつながっている。中央の溝で上下に分かれていて、溝をまたぐとつながらない。
配線の手順(コツ)
まずは電源の幹線から。電池ボックスの+を赤ライン、−を青ラインへさします。
次に、回路図の通りに部品を挿す。つなぎたい足同士を同じ縦列に入れるか、ジャンパ線で結びます。
電源(電池)は一番最後につなぎましょう。途中で電気を入れると、ミスに気づく前に部品を焼くことがあります。あとは感電とか。
トランジスタやLEDには向きがあります。LEDは足の長い方が+、トランジスタはデータシート(製品の取説、型番+datasheet でググれば出る)で端子の並びを確認しましょう。
配線が終わったら、マイコン(arduino, ESP32, ラズパイ等)を使っている場合はプログラミングをし、使っていない場合は次のステップへ続きましょう。
マイコンを使っている場合はここをクリック
Arduino/ESP32系でしたら、こちらの記事を読んでArduino IDEをインストールしましょう。
【環境設定】ArduinoIDEでプログラミングの手順(Arduino編)
そのあとAIにさっきの回路図をわたし、コードを書いてもらい、マイコンへ書き込みましょう。書き込み終わったら次のステップへ進んでOKです。
通電して確かめる
配線し終わった後、再度チェックしたら、電池をつないでみましょう。もし成功しているなら、回路は設計した通り、正常に動作するはず――
もし動かなかったら、慌てずテスターを当ててみましょう。
「電池の電圧は正常に出ているか?」「トランジスタは正常に動作しているか?」と一か所ずつ確認していきましょう。
症状をそのままAIに伝えるのも手です:
暗くしてもLEDが光りません。電池は4.5V出ています。
トランジスタのベース付近の電圧は明るいとき0.2V、暗くしても0.3Vしか上がりません。
何が原因として考えられますか?
一発で配線した回路が動くことは稀です。気を落とさず根気よくデバッグを進めましょう。
おわりに
ブレッドボードで動いたら、もう「回路を自分で設計して動かした」と胸を張って言うことができます。Twitterで自慢しよう!
もうここまできたら、次にやれることはいくらでもあります。
- 半田付けして、ユニバーサル基板に組み直す(やっと半田ごての出番)
- KiCadのPCB機能で、専用のプリント基板を設計・発注する
- 機能を追加する
etc...
なんでもチャレンジしてみましょう。その時も流れは同じです。要件をAIと言葉にして、部品に分解して、KiCadで図にして、確かめる。
完璧な知識がそろうのを待つ必要などありません。知識は手を動かせば勝手についてきます。作りたいものを一つ決めて、AIと話したり、ググりながら、まず一個動かしてみましょう。
2-3個、物を作ったら立派なモノづくり人です。
補足
当記事はある程度AIリテラシーを手に入れた人間を想定しています。
制作の際は必ず部品のデータシートをチェックし、想定通りの仕様かを確認してから取り組んでください。
また、抵抗値やコンデンサ容量などは設計意図を知っておいた方が良いです

