はじめに
この記事は、Macユーザー向けに書かれています。一部、Windowsでは利用できないソフトウェアが登場するため、その点を踏まえてお読みください。
個人的に英語配列キーボードを使っていて最大の不満は、日本語配列キーボードにある「英数」キーと「かな」キー(Macでいうスペースキーの両サイドに配置されたキー)が存在しない点です。
おそらく、多くの英語配列キーボードを使い始めた人が、このキーの便利さを失って初めて気づくのではないでしょうか。
この記事では、この不満を解消しようと試行錯誤を重ねた1年間の取り組みをまとめました。同じ悩みを持つ方に、少しでも参考になれば幸いです。
1. 潔く標準設定を利用してみる
そもそも、英語配列キーボードではどうやって英数・かな変換を行うのかというとCtr+space
を使います。このコマンドで英数→かな
、かな→英数
と状態に応じて切り替えが可能です。
しかし、この方法には不満点があります。それは、現在の状態(英数
なのかかな
なのか)がわからず、実施案に入力して初めて気づくことが多い点です。
一方で、日本語配列キーボードを使っている場合、入力前に英数キーを押す習慣があるため、状態がわからず困ることはありませんでした。
この違いが大きな不満となり、何か良い方法はないかとさがしていたところ、⌘英かなに出会いました。
2. ⌘英かなを利用してみる
⌘英かなは左のコマンドキーを単体で入力すると英数
、右のコマンドキーを単体で入力するとかな
になるという便利なアプリです。
これを導入することで、文字入力がかなり快適になりました。
しかし、問題もいくつか発生しました。素早くCmdキーで切り替えようとした際に、Cmdキーと他のキーを誤って同時に押してしまうことが頻繁に起こります。その結果、意図した操作ができない状況に陥ることがしばしばありました。特に、静電容量無接点方式のキーボードとの相性が悪いと感じました。
最終的に、この不便さから私はデフォルトのCtrl + Space
に戻ることにしました。
3. Ctr+space
は意外と慣れる
デフォルトの切り替え方法であるCtrl + Space
を使い続けていると、初めは不満があったものの、「そういうもの」だと割り切ることで意外と慣れることに気づきました。
人によってはこの方法がベストだと感じる場合もあるかもしれません。
4. Karabiner-Elements
で入力キーをカスタマイズ
英語配列キーボードを購入した私は、いわゆる尊師スタイル(ノートパソコンのキーボード上に外付けキーボードを置くスタイル)を採用しています。このスタイルでは、Karabiner-Elements
がほぼ必須のツールです。このアプリを使えば、サブのキーボードを接続している間にノートPC側のキーボードを無効化することができます。
当初は、この機能だけを目的に利用していましたが、Karabiner-Elements
はキー入力を自由にカスタマイズできる便利なツールでもあることに気付きました。これを活用して、英数・かな入力の切り替えをもっと楽にする方法を模索しました。
そこで考えついたのが、次の設定です:
- スペース と Fキー同時押しで英数に切り替え
- スペース と Jキー同時押しでかなに切り替え
こうすることで従来の日本語配列キーボードに存在していた英数・かなキーを押す感覚にかなり近い状態を再現することができました。
慣れは必要ですが、このカスタマイズにより入力切り替えが非常にスムーズになり、作業効率が向上しました。
Karabiner-Elements
の設定方法
Karabiner-Elements
を使用してスペース、Fキー
やスペース、Jキー
の同時入力で日本語入力を切り替える設定を行う手順を解説します。
手順
-
Karabiner-Elements
を開き、Complex Modifications
タブを選択 -
Add your own rule
をクリックして、新しい入力ルールを追加するエディターを表示 - 以下のコードを追加して設定を保存
スペースキー、Fキー同時入力で英数入力に切り替える設定
以下のコードをエディタにコピー&ペーストしてください
{
"description": "Switch to Esc input when pressing Spacebar and F together",
"manipulators": [
{
"from": {
"modifiers": { "optional": ["any"] },
"simultaneous": [
{ "key_code": "spacebar" },
{ "key_code": "f" }
]
},
"to": [{ "key_code": "japanese_eisuu" }],
"type": "basic"
}
]
}
スペース、Jキー同時入力でかな入力に切り替える設定
同様に、以下のコードを追加して設定してください
{
"description": "Switch to Esc input when pressing Spacebar and J together",
"manipulators": [
{
"from": {
"modifiers": { "optional": ["any"] },
"simultaneous": [
{ "key_code": "spacebar" },
{ "key_code": "j" }
]
},
"to": [{ "key_code": "japanese_kana" }],
"type": "basic"
}
]
}
これらの設定を追加することで、スペース + Fキーで英数入力、スペース + Kキーでかな入力を切り替えることが可能になります。これにより、ホームポジションから手を離さずに効率よく入力モードを切り替えられます。
終わりに
慣れは必要ですが、Karabiner-Elementsを利用することで、私が求めていた入力切り替え方法を実現することができました。
普段使っているツールに不満があっても、「そういうものだ」と割り切ってそのまま使い続けてしまうことが多いですが、少し考えて工夫すれば意外と対策が見つかるものだと改めて感じました。このような試行錯誤は大切だと思います。
また、カスタマイズに対して「他人のPCを触れなくなるのでは?」という不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、他人のPCを頻繁に触る機会がある人は少数派ではないでしょうか。もしカスタマイズに迷っている方がいるなら、思い切って自分に合った設定を試してみるのも良いと思います。