AIでの漫画生成時、1人のキャラクターを描くところまではすぐできます。しかし、シーン生成で2人、3人と増やした途端に「誰が誰を見ているのか分からない」「立ち位置が逆になる」「セリフと話者が合わない」といった問題が起こりやすくなります。
ストーリー性のあるシーンを生成する際は人物の外見だけでなく、人物同士の関係までAIへ伝える必要があるのです。
この記事では、複数キャラクターを含む漫画の1コマを、人物ごとの役割に分けて設計する方法を整理します。
検証にはPixAIの画像生成モデルTsubaki.3を使用します。
複数キャラクターの漫画生成が難しくなる理由
1人のキャラクターなら、プロンプトの中心は外見がメインとなるため比較的シンプルです。
たとえば、「白衣を着た女性研究員が、研究室でタブレットを見て驚いている」なら、「女性研究員」という主体に対して、衣装・場所・動作・表情を追加していけばストーリー性を出せます。
ところが、2人になるとストーリーが交差し、設計項目が増えます。
さらに3人になると、「AとBが会話し、Cがそれを見ている」「AはBを見るが、Cはモニターを見る」といった関係性がさらに複雑になります。
そのため複数キャラクターの漫画コマ生成では、人物をまとめて説明するより、一人ずつ役割を分けてデザインした方が制作の効率化が期待できます。
2人の漫画シーンは役割ごとに分けて設計する
今回作るのは、次のシーンです。
ロボット開発室で、女性研究員が試作ロボットの異常を発見する。隣にいる男性エンジニアへ画面を見せると、男性も驚いてモニターを確認する。
いきなり色んな要素を追加していくのではなく、まずはシーンに込める大方の流れを決めます。人物Aと人物Bが~しているくらいの感じでいいでしょう。
人物A・人物Bの特徴とアクションを別々に定義する
人物A:女性研究員
- 画面左
- 白衣
- タブレットを持っている
- 驚いた表情
- 男性エンジニアを見る
- タブレットを相手へ見せる
人物B:男性エンジニア
- 画面右
- ダークカラーの作業ジャケット
- 女性研究員の方へ身体を向ける
- タブレットを見る
- 少し身を乗り出す
- 驚きながら内容を確認する
こうすると、「2人が研究室にいる」というただのイラストから、AがBへ情報を見せ、Bがそれへ反応するという関係性を魅せるシーンへ変えることができます。
位置・向き・視線を人物同士の関係性を表すものとして設定する
複数人物のプロンプトでは、位置・向き・視線の設計も重要です。
たとえば、
女性研究員は画面左。
男性エンジニアは画面右。
女性研究員は男性の方へタブレットを向ける。
男性は女性の方へ身体を向け、タブレットを見る。
という形です。
特に視線は、「お互い向き合う(looking at each other)」のように一括で書くより、
女性 → 男性を見る
男性 → タブレットを見る
と分けた方が、AIが理解しやすくなります。
「誰が、何を見るのか」もストーリーの一部です。
構図・カメラ・セリフを最後に加える
人物関係が決まったら、構図・カメラ・セリフを追加します。
今回は、このようなデザインにします。
- 2人の上半身が見えるミディアムショット
- 女性のタブレットも見える
- 背景に試作ロボット
- モニターや工具は控えめ
- 女性「この数値、変じゃない?」
- 男性「ちょっと見せて」
構図を最初から細かく決めるより、人物の役割を決めた後にカメラワークを選ぶ方がやりやすくなります。

多人数の漫画シーンはどう設計する?
3人以上になると、さらに設計が難しくなり、しっかりとプロンプトで指示しないと崩れる箇所もでてきます。
まず、明確なキャラ設定が必要です。
- 女性研究員:異常を発見する
- 男性エンジニア:データを確認する
- 主任研究員:2人の後ろからモニターを見る
3人以上では「誰が誰を見るか」を整理する
今回なら、関係は次のようになります。
女性研究員 → 男性エンジニアを見る
男性エンジニア → タブレットを見る
主任研究員 → 2人を見る
これだけでも、画面内の視線が3方向に整理されます。
逆に、「3人の研究者が互いに話しながら驚いている」とまとめてしまうと、全員が同じ方向を見たり、誰が話しているのか分からなくなったりする可能性があります。
主役・相手役・補助役に分ける
多人数シーンでは、私は次の3つに分けて考えています。
| 役割 | 今回の例 | 画面での優先度 |
|---|---|---|
| 主役 | 女性研究員 | 高 |
| 相手役 | 男性エンジニア | 高 |
| 補助役 | 主任研究員 | 中〜低 |
主任研究員にも服装、髪型、表情を細かく指定しすぎると、画面内の情報量が増えます。そこで役立つのが参照画像編集です。PixAIのTsubaki.3では複数のサンプリング画像から画像生成ができます。つまり、3キャラをサンプリングさせることで、それぞれのキャラの特徴をプロンプトで指示しなくても、生成画像でキャラの統一性が確保されるのです。

漫画コマ用プロンプトの実際の設計
ここまで決めた内容を、実際にプロンプトへまとめます。
PixAI公式のプロンプト作成ガイドでは、「主体・動作・環境・画風・細部・画質」のように、必要な情報を分けて考える方法が紹介されています。
漫画コマでは、さらに人物間の関係を加えて考えると整理しやすくなります。
複数キャラクターが登場する漫画コマでは、人物をまとめて指定するのではなく、キャラクターごとに情報を分けて考えると整理しやすくなります。
まず人物A・Bそれぞれの見た目、位置、動作、視線、表情を決め、そのうえで人物同士の関係、カメラ、背景、ライティング、セリフを追加します。
こうして役割を分けて設計すると、「誰がどこにいて、誰を見て、何をしているのか」が明確になり、複数人物のシーンでも意図をプロンプトへ落とし込みやすくなります。
曖昧なプロンプト
まずは、あえて情報を減らした例です。
ロボット研究室で会話する女性研究員と男性エンジニア。
2人とも驚いている。
漫画風。
人物と場所は分かりますが、下記設定は決まっていません。
- 何に驚いているのか
- 誰が誰を見るのか
- どちらが主導しているのか
- 何を読者へ見せたいのか
人物ごとに整理したプロンプト
これを次のようにします。
ロボット開発研究室を舞台にした、カラー漫画の1コマ。
画面左に若い女性研究員。
白衣を着てタブレットを持っている。
異常な測定値を発見し、驚いた表情。
画面右にいる男性エンジニアの方を見ながら、
タブレットの画面を彼へ向けている。
画面右に若い男性エンジニア。
ダークカラーの作業ジャケット。
身体を女性研究員の方へ向け、
少し身を乗り出してタブレットを見る。
データを確認して驚いている。
2人の上半身とタブレットが見えるミディアムツーショット。
背景に小型の試作ロボットと研究設備。
背景情報は人物より目立たせない。
白色LEDを基調とした研究室。
モニターの青白い光が顔へわずかに反射する。
女性の吹き出し:
「この数値、変じゃない?」
男性の吹き出し:
「ちょっと見せて」
現代的なカラー漫画。
自然な線画。
吹き出し用の余白を確保する。
長くなっていますが、目的は情報量を増やすことではありません。
どの指示がどの人物へ適用されるのかを分かりやすくすることです。
Tsubaki.3での生成はかなり便利

これまで言及している通り、PixAIのTsubaki.3には参照画像編集があります。上記は実際の操作画面です。キャラをサンプリングし、プロンプトを入れるだけで様々なシーンを生成できます。文字表示編集にも対応しているため、漫画を生成する際は、とても便利です。
Tsubaki.3は、キャラクターやスタイルの一貫性、複雑な構図・パース、漫画、タイポグラフィなどを含む制作が想定されています。公式のTsubaki.3ショーケースでも、漫画や構図に関する作例が公開されています。ぜひ、漫画を生成する際に参考にしてみてください。
生成後のチェック項目
| チェック項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 人数 | 指定した人数になっているか |
| 位置 | 左右・前後関係が合っているか |
| 向き | 身体の方向が自然か |
| 視線 | 誰が何を見ているか分かるか |
| 動作 | タブレットを見せる行動が成立しているか |
| 表情 | キャラクターごとの反応が違うか |
| カメラ | 見せたい情報が画面に入っているか |
| セリフ | 話者との対応が自然か |
ここまで分けると、 「なんとなく失敗した」ではなく、 「人物配置は正しいが、男性の視線だけ違う」というように、次に修正すべき部分を限定できます。
生成結果が崩れたときは原因を切り分ける
複数人物の生成では、一度で完成を狙うより、問題を一つずつ修正する方が扱いやすくなります。
人物の位置がおかしい
たとえば左右が逆になったなら、キャラクターの外見をさらに細かくする必要はありません。
修正すべきなのは位置指定です。
女性研究員は必ず画面左。
男性エンジニアは必ず画面右。
のように、問題のある要素だけを明確にします。
視線・表情・ポーズがおかしい
「2人とも驚いている」とまとめず、人物ごとに分けます。
女性研究員:
男性エンジニアを見ている。
眉を上げた驚きの表情。
男性エンジニア:
女性ではなくタブレットを見る。
少し身を乗り出す。
漫画では、全員が同じ表情をするよりも、反応に差がある方がシーンを読み取りやすくなります。
セリフ・吹き出し・文字がおかしい
画像内テキストは、生成後の確認が必要です。
指定した文章が常に完全に正確になるとは限らず、細部に崩れが出ることがあります。
- 誤字
- 文字化け
- 句読点
- 改行
- 吹き出しと話者の対応
そのため、「画像ができたら完成」ではなく、文字確認までを生成フローに含めるのがおすすめです。
必要なら後から文字部分を修正する前提で、吹き出しの位置や余白だけ先に作る方法もあります。
同じキャラクターを次のコマ・シーンへつなげる
PixAIのTsubaki.3を使って別シーンを作成してみましょう。漫画では、1コマだけうまく生成できても、次のコマで別人に見えるとストーリーがつながりません。そのため、Tsubaki.3の参照画像編集に先ほどのキャラ2名を入れて漫画を生成していきます。
変更する情報はプロンプトにしっかりといれます。項目としては下記のものがあります。
- 表情
- ポーズ
- 場所
- カメラ
- ライティング
- セリフ
たとえば今回なら、このようなストーリー展開をしました。
1コマ目
研究室で異常値を発見
↓
2コマ目
2人でデータを確認
↓
3コマ目
ロボットが突然動き出し、全員が振り返る
Tsubaki.3で既存キャラを保存したまま、様々なシーンが作成できています。人物だけでなく、小物も画像サンプリングで指定可能です。ぜひ試してみてください。
まとめ
2人以上のAI漫画生成が難しくなるのは、単にプロンプトを足さなければならないからではありません。
人数が増えるほど、人間間のストーリーが増えるからです。
誰がどこにいるか
誰が誰を見るか
誰が何をするか
誰がどう反応するか
そのため、複数キャラクターの漫画コマでは、下記のフローで生成を進めると効率性が上がります。
- シーン全体を決める
- キャラクターを人物ごとに分ける
- 位置・向き・視線を設定する
- 動作と表情を決める
- カメラ・背景・セリフを加える
- 出力後に問題箇所だけ修正する
重要なのは、プロンプトを長くすることではありません。
「この指示は誰に対するものなのか」を明確にすることです。
キャラクター1人1人のストーリー設計がしっかりしているほど、漫画ひとコマの品質は向上します。







