はじめに
AI をゲームに使う、という話をすると、
- サーバー必須になりそう
- オフラインで動かすのは重そう
- 結局、実験デモで終わりそう
- 開発効率の道具じゃないの?
といった印象を持つことが多いと思います。
ですが最近、実際にゲーム機上で AI を動かしてみて、「これはもう、ゲームの企画に使える段階に来ているかも」と感じるケースが増えてきました。
そこで、この記事では、
- 実際に動かした所感
- これまでのゲーム開発の経験
をベースに、
ゲーム企画・演出・設計のどこに使えそうか
という視点で書こうと思います。
AI の仕組みや精度、ベンチマークといった評価ではありません。
🤚 やってきたことと、触った AI
この記事の内容は、実際に動いている簡単なデモを元にしています。
作り込みは最小限ですが、以下の環境で AI エンジンを動かしてみました。
- Unity に C++ の OSS を移植
- Windows とゲーム機で実行
- サーバーは使わず、オフラインのみで実行
- GPU は利用せず、CPU のみで実行
AI モデルは、無料で公開され、学習済みの AI モデルを利用しました。
- 文章や画像を理解するモデル
- 人体・人物・顔を認識するモデル
- 姿勢(ポーズ)推定
- 人物切り抜き
- 人検出
- 顔検出・表情推定
AI エージェントもモデルも、軽量なものを採用しています。
🕹️ 人体 AI は「入力」で終わらない
姿勢推定や顔認識というと、WEB カメラなどを使って「ジェスチャーで操作ができる」というイメージをしやすいのではないでしょうか。
しかし実際に使ってみると、
それだけでは終わらない
と感じました。
推定結果は「情報」として使える
例えば、姿勢推定 AI の動きを見ると、
- 画像から
- 人物を特定し、
- 人体の骨格構造を把握し、
- 各関節の位置や向きを推定
しています。
これを踏まえると、
画像を解析して推定した結果を「情報」として利用
することもできます。
姿勢推定の例で言うと、画像は解析対象で、人物の
- 場所
- 骨格情報
- 姿勢
といった「情報」です。
これが顔推定だと、目鼻口の位置や表情といった「情報」です。
「動き」も得られる
動画や WEB カメラからの画像を利用すると、
リアルタイムに「連続した情報」
を得ることがでます。
毎フレーム更新される画像を対象に推定することで、
- どれくらい動いたか
- どういう姿勢の変化があり
- 前と比べてどう変わったか
といった情報を得ることができるようになります。
ゲームのレンダリング画像からも得られる?
毎フレーム更新されるゲームのレンダリング画像を解析対象、キャラクターモデルを人物と置き換えると、
技術的には、ゲームでもリアルタイムに推定
できる未来が見えてきます。
ただし、既存の学習済み AI モデルでは、おおよそ ゲームキャラクターを人として認識できない ので、そのキャラクターを認識できるように学習させる必要はあります。
例えば、
- 攻撃モーションが「大きすぎる」「雑になっている」
- 回避行動が「間に合っていない」
- 構えが崩れている
といったことを、アニメーションや数値ではなく
見た目の動きそのものから、「何が起きているか」を AI に推定させる
という用途に広げられます。
🎮 ゲームでの 3 つの使い道
実際に触った感覚では、人体・人物系 AI の使い道は次の 3 つに分けると考えやすいです。
① 入力:体を操作として使う
これは一番分かりやすい使い方です。
- 腕を上げる
- しゃがむ
- ポーズを取る
といった動きを、操作としてゲームに渡します。
フィットネスやパーティゲームでは、今すぐ使えるレベルです。
② 評価:動きや状態を測る
入力との違いはここです。
- 姿勢は正しいか
- バランスは取れているか
- 前より上達しているか
といったことを、数値や状態として評価できます。
スコア、成長、練習と非常に相性が良い気がします。
③ 演出:世界がプレイヤーに反応する
推定結果をトリガーにして、
- NPC の反応を変える
- 演出を変化させる
- 難易度やゲームバランスを調整する
といった使い方も考えられます。
プレイヤーの状態に「世界が反応する」 感覚を作りやすくなります。
🖥️ オフラインで動かすデメリット(正直な話)
今回、オフラインで動かしましたが、いくつかデメリットや課題も発見できました。
❌ 学習し続けるわけではない
- 基本は「学習済みモデル」
- プレイしながら賢くなる、はできない
👉 学習済みモデルは、ゲーム開発時に作り込む必要があります。
❌ やっぱり重い
軽量とうたわれる AI エンジンやモデルを使っても、ゲーム機では重いです。
- GPU の利用、最適化・高速化が必要
- 同時に使う数・解像度・推定頻度には工夫が必要
👉 「全部 AI でやる」は現実的ではない
❌ 万能ではない
100% 正確ではないです。
- 状況によってブレる
👉 ゲームでは「多少の曖昧さ」を
- 演出
- 補正
- 段階評価
で吸収できるため、 完全な正解を求めない設計 と相性が良いと思います。
💡 それでもオフライン実行を選ぶ理由
それでも、オフラインで動かす価値は大きいです。
- レスポンスが速い
- サーバー費用がかからない
- 通信環境を気にする必要がない
- 映像データが外に出ない
何より、
AI をゲームロジックの一部として扱いやすい
これが一番大きいと感じています。
✨ まとめ
オフライン AI は、
- 入力として使える
- 推定結果を情報として使える
- 演出に使える
ただし、
- 学習はしない
- 重さと精度には限界がある
それを理解した上で使えば、
ゲーム体験を一段広げる道具
として、十分に使える段階に来ています。
「AIをどう実装するか」よりも、
「AIに何を判断させると面白くなるか」を考えるフェーズに入った、
というのが正直な感触です。
ただ、実際にゲームで本格的に使っていくには、まだ手探りの部分も多く、試行錯誤は必要だと思います。