はじめに
本記事では、片側検定の誤解をときます。
誤解その1 片側検定を使うには、片側の根拠を示す必要がある
片側検定するにあたって、片側という根拠は示すことなく使えます。
この誤解は、「片側検定は両側検定より有利になる。だから、根拠のある時しか使えない」という思い込みが原因と考えられます。
しかし、片側検定の主張は、両側検定の主張より狭い範囲です。
- 両側検定の「XXXの平均はYYYでない」という主張は、以下の2つの主張を含む
- 片側検定の「XXXの平均はYYYより小さい」という主張
- 片側検定で「XXXの平均はYYYより大きい」という主張
片側検定は、両側検定の主張の半分だけ主張しています。そのため、その主張の範囲においては両側検定より成立しやすくなります。
誤解その2片側検定の帰無仮説は、「平均がある値と同じ」である
片側検定の帰無仮説と対立仮説は次のどちらかです。
| 帰無仮説 | 対立仮説 | |
|---|---|---|
| ケースその1 | 平均がある値以下 | 平均がある値より大きい |
| ケースその2 | 平均がある値以上 | 平均がある値より小さい |
この誤解は、「『平均がある値と同じ』にしないとp値を計算できない」という思い込みが原因と考えられます。
しかし、「平均がある値以下」という仮説の元でp値は計算できます。詳しくは下記を参照してください。
帰無仮説を「平均がある値と同じ」として棄却した場合に、「平均がある値より大きい」を採用することがおかしいです。「平均がある値と同じ」を棄却した場合に主張できるのは「平均がある値でない」です。
さいごに
片側検定の考え方自体はシンプルです。今後は正しく使われることを願っています。
参考
以上