AWSのサービスは、その提供範囲に応じて リージョンサービス、アベイラビリティゾーン (AZ) サービス、および グローバルサービス の3つに分類されます。それぞれの特性や用途を詳しく解説します。
1. リージョンサービス
概要
- リージョンごとに提供されるサービス。
- 各リージョンで独立して動作し、他のリージョンのサービスと分離されています。
- ユーザーは利用するリージョンを選択して、その範囲内でリソースを構築・管理します。
サービス
コンピューティング
- Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud)
- Amazon Lightsail
- AWS Lambda (リージョンごとに機能分離)
- AWS Batch
ストレージ
- Amazon S3 (Simple Storage Service)
- Amazon EFS (Elastic File System)
- Amazon Glacier
データベース
- Amazon RDS (Relational Database Service)
- Amazon DynamoDB
- Amazon Aurora
- Amazon Redshift
ネットワーク
- Elastic Load Balancing (ELB)
- Amazon VPC (Virtual Private Cloud)
機械学習
- Amazon SageMaker
- Amazon Translate
- Amazon Rekognition
アナリティクス
- Amazon EMR (Elastic MapReduce)
- Amazon Athena
- Amazon Kinesis
セキュリティ
- AWS Key Management Service (KMS)
用途
- データのローカライゼーション(国や地域の規制に従う)。
- レイテンシ削減のために、ユーザーに近いリージョンを選択。
2. アベイラビリティゾーン (AZ) サービス
概要
- リージョン内の複数の アベイラビリティゾーン (AZ) を利用して提供されるサービス。
- 各AZは地理的に独立したデータセンター群で構成され、相互に高速ネットワークで接続されています。
- 高可用性や耐障害性を目的としたサービス。
サービス
コンピューティング
- Amazon EC2 インスタンス (特定のAZにデプロイ)
- Amazon ECS (Elastic Container Service)
ストレージ
- Amazon EBS (Elastic Block Store)
- EBSボリュームは特定のAZに存在。
- Amazon FSx
データベース
- Amazon RDS (マルチAZ構成)
- Amazon ElastiCache
- Amazon Neptune
用途
- 高可用性のシステム設計(複数AZにまたがる構成)。
- データレプリケーションやバックアップで障害対策を実現。
3. グローバルサービス
概要
- AWS全体で一元的に提供されるサービス。
- リージョンをまたいで利用可能で、データや設定がグローバルに適用されます。
サービス
ネットワーク
- Amazon Route 53 (DNSサービス)
- Amazon CloudFront (コンテンツ配信)
- AWS Global Accelerator
セキュリティ
- AWS IAM (Identity and Access Management)
- AWS WAF (Web Application Firewall)
- AWS Shield (DDoS対策)
モニタリング・管理
- AWS CloudTrail
- AWS Config
- Amazon CloudWatch (一部グローバル機能あり)
アナリティクス
- AWS Glue (クロスリージョンサポート可能)
用途
- リージョン間の統一した管理。
- 世界中のユーザー向けにサービスを提供。
サービスごとの提供範囲の違い
項目 | リージョンサービス | AZサービス | グローバルサービス |
---|---|---|---|
適用範囲 | 特定のリージョン内だけ | 特定のAZ内で動作 | リージョン全体をまたぐ |
高可用性の設計 | 複数リージョンを組み合わせる | 複数AZを利用 | サービス自体がグローバル |
管理対象 | リージョン単位 | AZ単位 | AWS全体で統一管理 |
活用例と選択基準
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リージョンサービス
- ローカル規制が存在する場合。
- 低レイテンシを重視し、特定地域のユーザーをターゲットにする場合。
- 例: オンプレミスと近い地域にデプロイ。
-
AZサービス
- 高可用性を実現するため、リソースを複数AZに分散。
- 例: Amazon RDSでマルチAZを設定してデータベースの冗長化。
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グローバルサービス
- 世界中に一貫性のあるエクスペリエンスを提供する場合。
- 例: CloudFrontを使って、世界中のユーザーに高速なウェブコンテンツ配信。
ベストプラクティス
- リージョンサービスとAZサービスを組み合わせて、耐障害性を向上。
- 例: EC2を複数AZに配置し、ロードバランサーを使ってトラフィックを分散。
- グローバルサービスを活用して、複数リージョンのリソースを統合管理。
- 例: IAMを使ってアクセス制御を一元管理。