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TypeScriptでnoImplicitAnyを導入するために、妥協してsuppressImplicitAnyIndexErrorsを導入する

Last updated at Posted at 2019-12-22

この記事はフラーアドベントカレンダー 2019 23日目の記事です。

noImplicitAnyとは?

TypeScriptには多くのCompiler Optionsが存在します。Compiler Optionsの設定によって、型に対しての書き方を厳密にすることも、緩くすることもできます。

型の厳密さに関するTypeScriptのCompiler Optionsの代表的なもの一つは--noImplicitAnyです。--noImplicitAnyの公式ドキュメントの説明は次の通りです。

Raise error on expressions and declarations with an implied any type.

実際のコードでみてみましょう。次のようなコードがあります。

function greeting(name) {
    return `Hello ${name}!`;
}

console.log(greeting("Ryota"));

このコードは、Compiler Optionsとして--noImplicitAnyを有効にしていた場合、次のようなエラーとなります。

TSError: ⨯ Unable to compile TypeScript:
main.ts:1:22 - error TS7006: Parameter 'name' implicitly has an 'any' type.

1 function loadMessage(name) {

1行目のgreeting関数のnameパラメーターが原因でコンパイルエラーになっています。

--noImplicitAnyは、「型を何も書かない場合は暗黙的にanyになるけど、それはだめで、何かしら型を明示的にしないとだめだよ。」というCompiler Optionsです。このコンパイルエラーを解決するために、次のように型を明示してあげましょう。

function greeting(name: string) {
    return `Hello ${name}!`;
}

console.log(greeting("Ryota"));

greeting関数は、stringをパラメーターとしてとることを明示的にしました。

ちなみに次のコードでも大丈夫です。

function greeting(name: any) {
    return `Hello ${name}!`;
}

console.log(greeting("Ryota"));

暗黙的なany型はだめですが、明示的にany型を記述することは全く問題ありません。

suppressImplicitAnyIndexErrorsとは?

Compiler Optionsとして--noImplicitAnyが有効になっている場合、次のコードはコンパイルエラーになります。

const gradeFactors = {
    gradeA: 1.0,
    gradeB: 0.5,
    gradeC: 0.3
};

const grade: string = 'gradeA';

const factor = gradeFactors[grade];

console.log(`${grade} : ${factor}`);

エラーは次の通りです。

main.ts:9:16 - error TS7053: Element implicitly has an 'any' type because expression of type 'string' can't be used to index type '{ gradeA: number; gradeB: number; gradeC: number; }'.
  No index signature with a parameter of type 'string' was found on type '{ gradeA: number; gradeB: number; gradeC: number; }'.

9 const factor = gradeFactors[grade];

stringは、{ gradeA: number; gradeB: number; gradeC: number; }のインデックスタイプとして使えないからです。インデックスアクセスの部分がコンパイルエラーとなります。

これを解決する方法は2つあります。

1つ目はアクセスできるように型を変える方法です。

gradeの型を次のようにstringから「gradeA | gradeB | gradeC」などにすることでコンパイルエラーを解消することができます。

const gradeFactors = {
    gradeA: 1.0,
    gradeB: 0.5,
    gradeC: 0.3
};

const grade: 'gradeA' | 'gradeB' | 'gradeC' = 'gradeA';
// これ以外にも以下などでもOK
// const grade = 'gradeA';
// const grade: 'gradeA' = 'gradeA';
// const grade: 'gradeA' | 'gradeB' = 'gradeA';

// または次のようにGrade型を作るのも有効
// type Grade = 'gradeA' | 'gradeB' | 'gradeC';
// const grade: Grade = 'gradeA';

const factor = gradeFactors[grade];

console.log(`${grade} : ${factor}`);

2つ目はコンパイルオプションを追加することです。

Compiler Options--suppressImplicitAnyIndexErrorsというオプションがあります。
これは「厳密な型チェックを一部妥協する」コンパイルオプションです。
--noImplicitAnyが有効な時に、先のコンパイルエラーのようなインデックスアクセスによるコンパイルエラーを抑制する機能があります。

先のコードは--noImplicitAnyに加えて、--suppressImplicitAnyIndexErrorsを有効にすることで、コンパイルエラーを解消することができます。

実プロダクトでnoImplicitAnyを導入するために妥協する

実プロダクトで--noImplictAnyを導入することを考えてみましょう。例えば、コードベースはある程度大きく、すでに数年開発が続き、複数人で開発していて、お金も生み出している実プロダクトで、です。そんなプロダクトを改善するために、今まで導入されていなかった--noImplictAnyを導入しましょう。

--noImplictAnyを導入するために、先に説明した「フィールドやメソッドのパラメータの型が明示的になっていない箇所」、「無効な型でインデクサにアクセスしている箇所」を修正する必要があります。

フィールドやメソッドのパラメータに対して、単純に型を明示する作業はある程度簡単です。(実際は変更箇所が多かったり、同僚とコンフリクトしないように気をつける必要があり、そんなに簡単ではありません。)

一方で、「無効な型でインデクサにアクセスしている箇所」を修正する作業はかなり大変になる場合があります。型を定義・変更しないといけない、その型の変更が伝版することがあるからです。

筆者個人の意見として、--noImplictAnyを導入するために、--suppressImplicitAnyIndexErrorsを使って妥協することは、有効な戦略だと思います。

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