13
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

Elixir Phoenix と Bumblebee による画像分類を Amazon SageMaker 上でマイクロサービス化する

Last updated at Posted at 2022-12-18

はじめに

前回、前々回で Phoenix と Bumblebee による画像分類 REST API をコンテナで実装しました

今回はこのコンテナを Amazon SageMaker にデプロイし、 AWS 上のシステムに組み込めるマイクロサービスにします

ただし、今回は CPU インスタンスで、 GPU は使用しません

Amazon SageMaker とは

SageMaker はソーセージを作る機械のように、簡単に AI システムを実装できてしまう AWS のサービスです

ノートブックインスタンスやトレーニングなど、さまざまな機能がありますが、今回はリアルタイム推論のエンドポイントを作ります

実装はこちら

コンテナ定義

SageMaker 操作

実装の流れ

  • ECR にコンテナのイメージを保存する

    • ECR にリポジトリーを作成
    • Dockerfile で  REST API として機能するコンテナを定義
    • コンテナのイメージを ECR のリポジトリーにプッシュ

  • S3 にモデルファイルを保存する

    • モデルファイルを .tar.gz に圧縮する
    • S3 上にアップロードする

  • IAM にコンテナを実行する権限を持ったロールを作成する

  • SageMaker でモデルを作成する

    • ECR のイメージを指定
    • S3 のモデルファイルを指定
    • IAM の実行ロールを指定
  • SageMaker でエンドポイント設定を作成する

    • SageMaker のモデルを指定
    • インスタンスタイプを指定
  • SageMaker でエンドポイントを作成する

    • SageMaker のエンドポイント設定を指定

本来はこの流れを Terraform で定義しますが、今回はあえて Livebook で実装してみます

事前作業

AWS のアカンウトと、管理者権限を持った IAM ユーザーと、その認証情報(ACCESS_KEY_ID と SECRET_ACCESS_KEY)が必要です

セットアップ

Livebook を開き、以下のコードを実行します

Mix.install([
  {:aws, "~> 0.13"},
  {:ex_aws, "~> 2.3"},
  {:ex_aws_sts, "~> 2.3"},
  {:ex_aws_s3, "~> 2.3"},
  {:req, "~> 0.3"},
  {:nx, "~> 0.4"},
  {:stb_image, "~> 0.6"},
  {:hackney, "~> 1.18"},
  {:sweet_xml, "~> 0.7"},
  {:kino, "~> 0.8"}
])

ex_aws だけでは SageMaker 周りの実装が不十分だったため、 aws もインストールしています

認証

入力エリアを用意し、そこに IAM ユーザーの認証情報を入力します

ACCESS_KEY_ID と SECRET_ACCESS_KEY は秘密情報なので、値が見えないように Kino.Input.password を使います

access_key_id_input = Kino.Input.password("ACCESS_KEY_ID")
secret_access_key_input = Kino.Input.password("SECRET_ACCESS_KEY")

リージョンもここで入力しておきましょう

region_input = Kino.Input.text("REGION")

スクリーンショット 2022-12-03 0.01.54.png

各認証情報を使って、 aws-elixir で AWS にリクエストを投げるためのクライアントを生成します

client =
  AWS.Client.create(
    Kino.Input.read(access_key_id_input),
    Kino.Input.read(secret_access_key_input),
    Kino.Input.read(region_input)
  )

スクリーンショット 2022-12-05 14.21.03.png

また、 ex_aws 用の認証情報も作っておきます

認証情報が出力されないよう、最終行は "dummy" にしています

auth_config = [
  access_key_id: Kino.Input.read(access_key_id_input),
  secret_access_key: Kino.Input.read(secret_access_key_input),
  region: Kino.Input.read(region_input)
]

"dummy"

アカウントID取得

AWS アカウントのアカウント ID (12桁の数字)を使うため、取得しておきます

account_id =
  ExAws.STS.get_caller_identity()
  |> ExAws.request!(auth_config)
  |> then(& &1.body.account)

ECR リポジトリー作成

アカウント ID 、リージョン、イメージ名を使ってい、リポジトリーのフルネーム(外部から指定するときの名前)を設定します

region = Kino.Input.read(region_input)
image = "sagemaker-phoenix"
fullname = "#{account_id}.dkr.ecr.#{region}.amazonaws.com/#{image}:latest"

ECR 上にリポジトリーを作成します

client
|> AWS.ECR.create_repository(%{
  "repositoryName" => image
})

作成したリポジトリーを確認します

client
|> AWS.ECR.describe_repositories(%{})

リポジトリーを SageMaker から読み込めるようにポリシー設定します

client
|> AWS.ECR.set_repository_policy(%{
  "repositoryName" => image,
  "policyText" =>
    Jason.encode!(%{
      "Statement" => [
        %{
          "Sid" => "ECR202201051440",
          "Effect" => "Allow",
          "Principal" => %{
            "AWS" => ["*"]
          },
          "Action" => "ecr:*"
        }
      ]
    })
})

ECR リポジトリーへのイメージプッシュ

ECR 上のリポジトリーはプライベート(認証しないとプッシュできない場所)なので、認証情報を取得します

token =
  client
  |> AWS.ECR.get_authorization_token(%{})
  |> elem(1)
  |> then(& &1["authorizationData"])
  |> Enum.at(0)
  |> then(& &1["authorizationToken"])

このトークンは ユーザー名:パスワード のBAE64文字列になっているので、これをデコードして docker login します

[username, password] =
  token
  |> Base.decode64!()
  |> String.split(":")

Docker 操作の Elixir モジュールはどれもイマイチだったので、直接 docker コマンドを実行します

System.cmd(
  "docker",
  [
    "login",
    "--username",
    username,
    "--password",
    password,
    fullname
  ]
)

スクリーンショット 2022-12-18 23.45.52.png

前回定義したコンテナに sagemaker-phoenix のタグを付けてビルドします

/sagemaker/serve の部分が Dockerfile の配置ディレクトリーです

System.cmd(
  "docker",
  [
    "build",
    "-t",
    image,
    "/sagemaker/serve"
  ]
)

更にこのイメージにフルネームのタグを付けます

System.cmd(
  "docker",
  [
    "tag",
    image,
    fullname
  ]
)

このイメージを ECR にプッシュします

System.cmd(
  "docker",
  [
    "push",
    fullname
  ]
)

ECR 上のイメージ一覧でプッシュできたことを確認します

client
|> AWS.ECR.list_images(%{
  "repositoryName" => image
})
|> elem(1)
|> then(& &1["imageIds"])
|> Kino.DataTable.new()

スクリーンショット 2022-12-18 23.50.44.png

imageTag が latest のイメージが1件できています

S3 へのモデルファイルアップロード

アップロード先の指定

バケットの一覧を確認します

ExAws.S3.list_buckets()
|> ExAws.request!(auth_config)
|> then(& &1.body.buckets)
|> Kino.DataTable.new()

スクリーンショット 2022-12-18 23.52.09.png

アップロード先のバケットを入力します

bucket_name_input = Kino.Input.text("BUCKET_ANME")

スクリーンショット 2022-12-18 23.53.25.png

バケット名とバケット上のパスを指定します

bucket_name = Kino.Input.read(bucket_name_input)
model_prefix = "models/"

モデルファイルの圧縮

モデルファイルをダウンロードしておくため、先にコンテナで1回動かしておいてください

SageMaker で読み込む場合、モデルファイルは .tar.gz の形式で圧縮する必要があります

圧縮対象のファイル一覧を準備します

/sagemaker/serve/models が Bumblebee のキャッシュディレクトリー(モデルファイルの保存先)です

このとき、 {<相対パス>、<絶対パス>} のタプル配列にしておきます

models_path = "/sagemaker/serve/models"

filenames =
  models_path
  # 指定ディレクトリー配下のファイル一覧
  |> File.ls!()
  |> Enum.map(fn filename ->
    {
      # 相対パス
      to_charlist(filename),
      # 絶対パス
      to_charlist(Path.join(models_path, filename))
    }
  end)

:erl_tar.create で指定したファイル一覧を models.tar.gz に圧縮します

このとき、 [:compressed] を指定しないと .tar の形式になってしまいます

tar_filename = "models.tar.gz"

:erl_tar.create(tar_filename, filenames, [:compressed])

アップロードの実行

ExAws.S3.upload を使って圧縮ファイルを S3 上にアップロードします

tar_filename
|> ExAws.S3.Upload.stream_file()
|> ExAws.S3.upload(bucket_name, model_prefix <> tar_filename)
|> ExAws.request!(auth_config)

アップロードされたことを確認します

bucket_name
|> ExAws.S3.list_objects(prefix: model_prefix)
|> ExAws.request!(auth_config)
|> then(& &1.body.contents)
|> Kino.DataTable.new()

スクリーンショット 2022-12-19 0.02.00.png

IAM ロールの定義

SageMaker 実行用ロールを定義します

client
|> AWS.IAM.create_role(%{
  "RoleName" => "sagemaker-phoenix-role",
  "AssumeRolePolicyDocument" =>
    Jason.encode!(%{
      "Statement" => [
        %{
          "Sid" => "STS202201051440",
          "Effect" => "Allow",
          "Principal" => %{
            "Service" => ["sagemaker.amazonaws.com"]
          },
          "Action" => "sts:AssumeRole"
        }
      ]
    })
})

ログ出力や ECR リポジトリー、S3バケットへのアクセス権限をポリシーとして定義します

client
|> AWS.IAM.create_policy(%{
  "PolicyName" => "sagemaker-phoenix-role-policy",
  "PolicyDocument" =>
    Jason.encode!(%{
      "Version" => "2012-10-17",
      "Statement" => [
        %{
          "Effect" => "Allow",
          "Action" => [
            "cloudwatch:PutMetricData",
            "logs:CreateLogStream",
            "logs:PutLogEvents",
            "logs:CreateLogGroup",
            "logs:DescribeLogStreams",
            "ecr:GetAuthorizationToken"
          ],
          "Resource" => ["*"]
        },
        %{
          "Effect" => "Allow",
          "Action" => [
            "s3:GetObject"
          ],
          "Resource" => [
            "arn:aws:s3:::#{bucket_name}/*"
          ]
        },
        %{
          "Effect" => "Allow",
          "Action" => [
            "ecr:BatchCheckLayerAvailability",
            "ecr:GetDownloadUrlForLayer",
            "ecr:BatchGetImage"
          ],
          "Resource" => [
            "arn:aws:ecr:::repository/#{image}"
          ]
        }
      ]
    })
})

ポリシーが正しく作成されたことを確認します

client
|> AWS.IAM.get_policy_version(%{
  "PolicyArn" => "arn:aws:iam::#{account_id}:policy/sagemaker-phoenix-role-policy",
  "VersionId" => "v1"
})
|> elem(1)
|> then(& &1["GetPolicyVersionResponse"]["GetPolicyVersionResult"]["PolicyVersion"]["Document"])
|> URI.decode()
|> Jason.decode!()

スクリーンショット 2022-12-19 0.08.15.png

ポリシーをロールに適用します

client
|> AWS.IAM.attach_role_policy(%{
  "RoleName" => "sagemaker-phoenix-role",
  "PolicyArn" => "arn:aws:iam::#{account_id}:policy/sagemaker-phoenix-role-policy"
})

SageMaker モデル作成

SageMaker のモデルを作成します

作成した IAM ロール、 ECR リポジトリー、 S3 上のモデルファイルパスを指定します

client
|> AWS.SageMaker.create_model(%{
  "ModelName" => "sagemaker-phoenix-model",
  "ExecutionRoleArn" => "arn:aws:iam::#{account_id}:role/sagemaker-phoenix-role",
  "PrimaryContainer" => %{
    "Image" => fullname,
    "ModelDataUrl" => "s3://#{bucket_name}/#{model_prefix}#{tar_filename}"
  }
})

SageMaker エンドポイント設定作成

SageMaker のエンドポイント設定を作成します

先程作成したモデル名、インスタンスタイプなどを指定します

今回は ResNet なので小さいインスタンス(ml.t2.medium)で十分です

ある程度重いモデルを高速に動作させるためには GPU が必要になるため、 GPU 用のコンテナイメージを定義した上で ml.g4dn.xlarge などのインスタンスタイプを指定します

client
|> AWS.SageMaker.create_endpoint_config(%{
  "EndpointConfigName" => "sagemaker-phoenix-endpoint-config",
  "ProductionVariants" => [
    %{
      "VariantName" => "variant-1",
      "ModelName" => "sagemaker-phoenix-model",
      "InstanceType" => "ml.t2.medium",
      "InitialInstanceCount" => 1,
      "InitialVariantWeight" => 1
    }
  ]
})

SageMaker エンドポイント作成

エンドポイント設定を指定してエンドポイントを作成します

エンドポイント作成は非同期で行われるため、:ok が返ってきてもしばらくは作成中です

内部的には ECR からのコンテナイメージプル、コンテナの起動、 S3 からのモデルファイルダウンロード、展開などが実行されています

client
|> AWS.SageMaker.create_endpoint(%{
  "EndpointName" => "sagemaker-phoenix-endpoint",
  "EndpointConfigName" => "sagemaker-phoenix-endpoint-config"
})

エンドポイントの状況を確認します

この結果が Creating のうちはまだ作成中です InService になれば正常に起動できています

client
|> AWS.SageMaker.describe_endpoint(%{
  "EndpointName" => "sagemaker-phoenix-endpoint"
})
|> elem(1)
|> then(& &1["EndpointStatus"])

スクリーンショット 2022-12-19 0.17.58.png

SageMaker エンドポイント呼出

SageMaker のエンドポイントは AWS のサービスのように、マイクロサービスとして呼び出すことができます

テスト画像を使ってエンドポイントを呼び出してみます

binary =
  "https://raw.githubusercontent.com/pjreddie/darknet/master/data/dog.jpg"
  |> Req.get!()
  |> then(& &1.body)

スクリーンショット 2022-12-19 0.23.56.png

確認のため、バイナリーを画像として表示します

binary
|> StbImage.read_binary!()
|> StbImage.to_nx()
|> Kino.Image.new()

スクリーンショット 2022-12-19 0.25.00.png

バイナリーを SageMaker のエンドポイントに渡して推論を実行します

client
|> AWS.SageMakerRuntime.invoke_endpoint(
  "sagemaker-phoenix-endpoint",
  %{
    "Body" => binary,
    "ContentType" => "image/jpeg"
  }
)
|> elem(1)
|> then(& &1["Body"])
|> Jason.decode!()
|> then(& &1["predictions"])
|> Kino.DataTable.new()

スクリーンショット 2022-12-19 0.26.04.png

アラスカン・マラミュートやハスキー、チベタン・マスティフは犬種です

自転車も識別結果に出てきていますね

別の画像でも試してみましょう

image_input = Kino.Input.image("INPUT_IMAGE", format: :jpeg)

スクリーンショット 2022-12-19 0.30.40.png

binary =
  image_input
  |> Kino.Input.read()
  |> then(& &1.data)

client
|> AWS.SageMakerRuntime.invoke_endpoint(
  "sagemaker-phoenix-endpoint",
  %{
    "Body" => binary,
    "ContentType" => "image/jpeg"
  }
)
|> elem(1)
|> then(& &1["Body"])
|> Jason.decode!()
|> then(& &1["predictions"])
|> Kino.DataTable.new()

スクリーンショット 2022-12-19 0.34.19.png

ちゃんと分類できているようです

モデルを変えたりすれば、 Bumblebee で提供されている機能は全てマイクロサービス化できるわけです

この SageMaker エンドポイントを Lambda などから呼び出せばシステムに組み込めます

後片付け

SageMaker エンドポイントや ECR リポジトリー、 S3 上のファイルは存在している間課金されるので、使い終わったら削除しておきます

SageMaker エンドポイント削除

client
|> AWS.SageMaker.delete_endpoint(%{
  "EndpointName" => "sagemaker-phoenix-endpoint"
})
client
|> AWS.SageMaker.delete_endpoint_config(%{
  "EndpointConfigName" => "sagemaker-phoenix-endpoint-config"
})
client
|> AWS.SageMaker.delete_model(%{
  "ModelName" => "sagemaker-phoenix-model"
})

IAM ロール削除

client
|> AWS.IAM.detach_role_policy(%{
  "RoleName" => "sagemaker-phoenix-role",
  "PolicyArn" => "arn:aws:iam::#{account_id}:policy/sagemaker-phoenix-role-policy"
})
client
|> AWS.IAM.delete_policy(%{
  "PolicyArn" => "arn:aws:iam::#{account_id}:policy/sagemaker-phoenix-role-policy"
})
client
|> AWS.IAM.delete_role(%{
  "RoleName" => "sagemaker-phoenix-role"
})

ECR リポジトリー削除

client
|> AWS.ECR.batch_delete_image(%{
  "repositoryName" => image,
  "imageIds" => [
    %{"imageTag" => "latest"}
  ]
})

リポジトリーが空になったことの確認

client
|> AWS.ECR.list_images(%{
  "repositoryName" => image
})
|> elem(1)
|> then(& &1["imageIds"])
|> Kino.DataTable.new()
client
|> AWS.ECR.delete_repository(%{
  "repositoryName" => image
})

モデルファイル削除

ExAws.S3.delete_object(bucket_name, model_prefix <> tar_filename)
|> ExAws.request!(auth_config)

まとめ

Elixir で SageMaker というのは構想していたことではありますが、まさかこんなに早く簡単に実装できてしまうとは

Bumblebee の登場は想像を上回る出来事でした

13
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
13
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?