はじめに
Moodleのコースに入ると、「参加者」タブから他の受講者の名前が丸見えになっています。
管理者目線だと「誰でも見られて当然」って感じなんですが、実際に運用していると「これ、ちょっとまずくない?」ってケースが意外と多いんですよね。
この記事では、学生ロールのユーザーに参加者リストを見せないようにする方法をご紹介します。Moodle 4.5 / Moodle Workplace 4.5 で動作確認済みです。
こんなときに使える
参加者リストを非表示にしたいユースケース、いくつか挙げてみます。
1. 企業内研修で参加者を伏せたいとき
たとえば「管理職向けハラスメント研修」みたいなコース。誰が受講しているかが筒抜けになると、受講者が萎縮してしまうことがあります。「あの人も受けてるってことは、何かあったの?」みたいな憶測を避けたい場合に有効です。
2. 競合他社が同じプラットフォームを使っているとき
外部向けにMoodleを開放していて、複数企業のユーザーが混在しているようなケース。A社の社員がB社の社員の名前を見られる状態は、なかなかセンシティブです。
3. プライバシー意識が高い受講者への配慮
医療・福祉・法律関係の研修など、参加していること自体を知られたくない分野では、氏名の可視化を避けるだけで受講者の安心感がぐっと上がります。
4. 個人向けに販売しているオンライン講座
塾やスキルアップ系の講座で、受講者同士のつながりを意図的に作らないポリシーを採っているケースも。参加者リストが見えると、思わぬDMやコンタクトにつながることもあります。
5. 受講者数を知られたくないとき
「このコース、まだ3人しか受けてないじゃん」ってバレると、コースの信頼感が下がることも。特にリリースしたばかりのコースでは地味に気になるポイントです。
設定方法
方法は大きく2つあります。状況に応じて使い分けてください。
方法A:特定のコースだけ非表示にする(おすすめ)
コースごとに設定できるので、他のコースには影響しません。
手順
- 対象コースに 管理者または教師ロール でアクセスする
- 左メニューまたはコース内メニューから 「参加者」 を開く
- 上部の 「登録済みユーザ」 のプルダウンから 「パーミッション」 を選択する
-
「高度なロールオーバーライド」 のプルダウンから 「学生」 を選択し、フィルタ検索ボックスに
course:viewparticipantsと入力
- 「学生」ロールの行にある 「禁止(Prohibit)」 をクリックして保存
これだけです!学生ロールのユーザーがコースにアクセスしても、参加者タブが表示されなくなります(または空になります)。
「禁止」と「抑制」は別物です。「禁止(Prohibit)」を選ぶと、上位ロールで権限が付与されていてもオーバーライドできなくなるので、意図した制限が確実にかかります。
方法B:サイト全体で学生ロールから権限を外す
すべてのコースで一括して参加者リストを非表示にしたい場合はこちら。
手順
- サイト管理 > ユーザー > パーミッション > ロールを定義する
- 「学生」ロールの 「編集」 をクリック
-
フィルタ で
course:viewparticipantsを検索 - 「許可」→ 「抑制(Not set)」または「禁止(Prohibit)」 に変更して保存
この方法はサイト全体に影響します。「このコースだけ見せたい」という柔軟な運用が難しくなるため、基本的には方法Aを推奨します。
動作確認
設定後は、シークレットウィンドウ(プライベートブラウザ) で学生アカウントにログインして確認するのがおすすめです。
- 参加者タブが消えている、または
- タブを開いても「参加者が見つかりません」と表示される
どちらかの状態になっていれば設定成功です。
Moodle Workplace の場合
Moodle Workplace では、ユーザーが「プログラム」や「認定パス」経由でコースにアクセスすることが多いため、権限の継承がやや複雑になる場合があります。
基本的な設定手順は上記と同じですが、コホートや組織単位でロールを割り当てている場合は、意図した権限が正しく適用されているか、テストユーザーで必ず確認してください。
⚠️ デメリットと注意点
「隠せてよかった!」で終わりにする前に、この設定が引き起こす可能性のある影響も把握しておきましょう。
1. フォーラムでメンションができなくなる
Moodleのフォーラム(掲示板)には、他の参加者を @メンション する機能があります。course:viewparticipants の権限がないと、メンション候補のユーザーリストが表示されなくなる場合があります。受講者同士のディスカッションを活発にしたいコースでは注意が必要です。
2. グループ機能との組み合わせで混乱が起きることがある
グループモードを使っている場合、学生は自分のグループメンバーを確認する手段が参加者リスト経由しかないことがあります。参加者リストを非表示にすると、「自分のグループに誰がいるかわからない」 という状態になるケースがあります。グループ学習や共同作業を設計しているコースでは要確認です。
3. メッセージ機能で相手を検索しにくくなる
Moodleのメッセージ(チャット)機能では、コース内のユーザーを検索して連絡する場面があります。参加者リストが見えないと、誰に送ればいいかわからないという状況が生まれることも。受講者間のコミュニケーションを設計しているコースでは影響が出る可能性があります。
4. 受講者への案内・フォローが必要になる
この設定は教師や管理者には影響しませんが、「なぜ参加者が見えないのか」という問い合わせが来る可能性があります。受講者向けのガイドや案内文に「参加者リストは非公開です」と一言添えておくと、余計な混乱を防げます。
5.「禁止(Prohibit)」の強さを理解しておく
方法Aで設定する「禁止(Prohibit)」は、Moodleの権限制御の中でも最も強い制限です。後から別のロールやコンテキストで「許可」に戻そうとしても上書きできないため、設定を外したい場合は明示的に「禁止」を解除する必要があります。複数のロールを持つユーザー(例:学生兼TA)がいる場合は特に注意してください。
まとめると、受講者同士のインタラクションが少ないコース(自習型・一方向型) なら影響はほぼゼロです。フォーラムやグループワークを活用しているコースでは、設定前に受講者体験を一通りテストしておくのが安全です。
まとめ
| 方法 | 影響範囲 | 柔軟性 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| コース内でオーバーライド(方法A) | そのコースのみ | ◎ | ★★★ |
| ロールの定義を変更(方法B) | サイト全体 | △ | ★☆☆ |
「参加者リストを隠したい」という要件は、プライバシーや心理的安全性の観点からも大切な設定です。一方で、コミュニケーション系の機能への影響も頭に入れておくと、後から「あれ?なんか動きが変わった」とならずに済みます。
権限ベースで柔軟に制御できるのがMoodleの強みなので、ぜひ用途に合わせて活用してみてください!
関連リンク
※ この記事は Zenn (rublix) にも投稿しています。






