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Moodle で初回ログイン時にポリシー同意を表示する方法

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Moodleのポリシー設定、後回しにしてませんか?

Moodle を立ち上げたばかりのころは「まずコンテンツを入れよう」ってなりがちですよね。でも、利用規約やプライバシーポリシーへの同意取得は、後から足すほどつらくなる設定のひとつです。

後から有効にすると既存ユーザー全員に再同意を求めることになって、「なんか急にへんな画面が出た」って問い合わせが来たり、けっこう混乱します。

実は Moodle には、初回ログイン時にポリシーを表示して同意を記録する仕組みが標準で入っています。追加プラグインは不要。管理画面だけで完結します。

この記事では Moodle 4.5 / Moodle Workplace 4.5 を使って、tool_policy プラグインでポリシー同意を設定する手順を、ひとつずつ解説していきます。

そもそもなんで必要なの?

「プライバシーポリシーって、でかいサービスの話でしょ」と思うかもしれませんが、そうでもないんです。

こんなケースで必要になります

社内研修・人材育成(Moodle Workplace)
受講履歴やテスト結果は立派な個人情報です。「何のためにこのデータを使うか」を従業員に説明して同意を得ることは、個人情報保護法上の義務。コンプライアンス監査で「同意記録はありますか?」と聞かれる場面も普通にあります。

外部向けの学習サイト
EU に住んでいるユーザーがいれば GDPR が適用されます。「日本のサービスだから大丈夫」とは言い切れないのが現状です。違反時の制裁は最大2,000万ユーロ規模。規模の大小は関係ありません。

学校・自治体など公共系
未成年者が使うサービスでは、デジタル同意年齢の確認や保護者の同意フローが必要になるケースがあります。tool_policy にはそのための機能もあります。

コンサルや受託開発での納品
「動いてるから OK」で納品してしまうと、クライアントが気づかないまま個人情報を収集し続けることになります。ポリシー設定は完成要件のひとつと捉えておくと後悔しません。

設定をさぼるとどうなるか

リスク 何が困るか
法的リスク 個人情報保護法・GDPR の同意取得義務を果たせない
証跡がない 「いつ誰が何に同意したか」が残らない。監査や紛争のとき詰む
ユーザーの不信感 何の説明もなくデータ収集される体験は、意識高めなユーザーほど嫌がる
後付けのコスト 全員への再同意が発生して、サポート工数が一気に増える
クッキー問題 GA などを使っているなら、同意なしのクッキー設置は法的グレー

「GDPR は EU の話」は今や通用しない

日本でも 個人情報保護法(2022年改正) で、利用目的の明示と同意取得が義務です。さらに2023年施行の 電気通信事業法の外部送信規律 で、Google Analytics などへの情報送信にも通知または同意が必要になりました。国内向けサービスでも「設定しといてよかった」じゃなく「設定してないとまずい」フェーズに入っています。

全体の流れ

① ポリシーハンドラーを切り替える(tool_policy を有効化)
② ポリシー文書を作る(利用規約・PP・クッキーポリシーなど)
③ ポリシーを「有効」にする
④ ロールの権限を確認する(tool/policy:accept)
⑤ テストユーザーで動作確認
(任意)⑥ 同意状況を管理する

6ステップありますが、ひとつひとつは難しくないです。順番にやっていきましょう。

Step 1|まずハンドラーを切り替える

Moodle のデフォルトは「ポリシーページの URL を1個指定するだけ」というシンプルな仕組みです。バージョン管理や同意の追跡まで含めた本格的な運用をするには、ポリシー(tool_policy) に切り替える必要があります。

URLを指定した場合、Moodleのページの中にiFrameで埋め込まれて表示されます

手順:

  1. 管理者アカウントでログイン
  2. サイト管理 > ユーザー > プライバシーおよびポリシー > ポリシー設定 を開く
  3. 「サイトポリシーハンドラー」 のドロップダウンを ポリシー(tool_policy) に変える
  4. 「変更を保存する」 をクリック

「ポリシー設定」画面で、「サイトポリシーハンドラー」のドロップダウンを Policies (tool_policy) に変更した状態

以前に「サイトポリシー URL」を設定していた場合、切り替え後はそちらの設定が無視されるようになります。意図せず古い設定を参照し続けないよう注意してください。

保存すると、管理メニューに新しい項目が2つ増えます。

  • ポリシーを管理する(Manage policies)
  • ユーザー同意(User agreements)
    「ポリシーを管理する」と「ユーザー同意」のメニューが増えている
    これが出たら Step 1 は完了です。

Step 2|ポリシー文書を作る

サイト管理 → ユーザー → プライバシーとポリシー → ポリシーを管理する を開いて、「新しいポリシーを作成する」をクリックします。

「ポリシーの管理」の空の一覧画面。「新しいポリシーを作成する」ボタンが見える状態
フォームの主な項目はこんな感じです。

フィールド 何を入れるか
ポリシーの名前 ユーザーに見える名前(例:「利用規約」)
ポリシーの種別 サイトポリシー/プライバシーポリシー/サードパーティポリシー/その他
対象ユーザー すべてのユーザー/認証済みユーザー/ゲスト
概要 同意ページに出る要約。なるべく平易な言葉で
完全なポリシー ポリシーの本文(HTML エディタで編集できます)
任意同期 同意を必須にするか任意にするかのON/OFF

ポリシー作成フォームの全体。各フィールドが入力されている状態

作るのはこの3つがおすすめ

① 利用規約

種別:サイトポリシー
対象:全ユーザー

サービスの使い方のルール、禁止事項、免責事項など。

② プライバシーポリシー

種別:プライバシーポリシー
対象:全ユーザー

何の情報を集めて、何に使うか。第三者提供の有無、保存期間、問い合わせ先など。

③ クッキーポリシー

種別:その他
対象:全ユーザー

使っているクッキーの種類(セッション・分析・マーケティングなど)と目的。

ページ下部に出るクッキーバナーとは別物です

tool_policy はログイン時の同意フローに特化しています。未ログインのユーザーにも画面下部でバナーを出したい場合は、記事末尾の補足を読んでみてください。

Step 3|ポリシーを「有効」にする

作ったばかりのポリシーは 「下書き(Draft)」 状態になっています。ユーザーに表示されるようにするには「有効(Active)」に切り替えが必要です。

  1. ポリシーの管理 ページでポリシーのステータス列のアイコンをクリック
  2. 作ったポリシーをすべて「有効」にする

ポリシーステータスを有効に設定する
「ポリシーの管理」一覧で、ポリシーのステータスが「有効」になっている状態
:::note warn
有効にするタイミングに気をつけて!
「有効」に変えた瞬間から、次回ログイン時に既存ユーザー全員に同意画面が表示されます。本番環境で有効化する前に、かならずテスト環境で動きを確認しましょう。
:::

Step 4|権限をひと確認(tool/policy:accept

ほとんどの環境ではデフォルトのままで問題ないですが、手動作成や CSV インポートしたユーザーが同意画面で詰まる場合、権限設定が原因のことがあります。念のため確認しておきましょう。

  1. サイト管理 > ユーザー > パーミッション > ロールを定義する を開く
  2. 「認証済みユーザー(Authenticated user)」 を選ぶ
  3. tool/policy:accept を検索して 「Allow(許可)」 になっているか確認

「認証済みユーザー」ロールの設定画面で tool/policy:accept が Allow になっている状態
Moodle Workplace ではテナント設定の影響で変わっていることがあるので、トラブルが起きたらここを疑ってみてください。

Step 5|テストユーザーで動作確認

設定ができたら、必ずテスト用の一般ユーザーアカウントで確認します。

  1. 管理者以外のアカウントでログイン(なければ新規作成)
  2. ログイン直後に同意画面が出るか確認
  3. 各ポリシーを読んでチェックを入れ、「次へ」を進む
  4. 全ポリシーに同意するとトップページへ遷移することを確認
  5. 同意しないと先に進めないことを確認

テストユーザーのログイン直後に表示されるポリシー同意画面(チェックボックスが並んでいる状態
:::note info
管理者アカウントでは同意画面が出ません。必ず一般ユーザーで確認してください。
:::

Step 6(任意)|同意状況を管理する

誰が同意しているか見る

サイト管理 > ユーザー > プライバシーおよびポリシー > ユーザー同意 から、各ポリシーへの同意状況をユーザーごとに確認できます。

「ユーザーの同意」一覧。同意済み・未同意のユーザーが確認できる状態

代わりに同意を記録したい場合

tool/policy:acceptbehalf 権限があれば、管理者が他のユーザーの代わりに同意を記録できます。書面で同意を取得したときや、未成年ユーザーへの対応に使えます。

ポリシーを改訂したときは

ポリシーの編集画面に 「マイナチェンジ」チェックボックス があります。

  • チェックなし:全員が次回ログイン時に再同意を求められる
  • チェックあり:再同意は不要(誤字修正など、実質的な内容変更がないときに使う)
    マイナチェンジの設定

Moodle Workplace で気をつけること

Moodle Workplace にはテナント(Tenant)や組織(Organization)の概念があります。ポリシーまわりで引っかかりやすいポイントをまとめました。

  • ポリシーの管理はサイト全体の管理者が行う(テナント管理者には権限が委譲されていないことが多い)
  • テナントごとに違うポリシーを出す機能は tool_policy の標準機能にはない
  • 「プログラム」や「証明書」とポリシー同意は独立して動く
  • 同意状況は Moodle Workplace の拡張レポートビルダーでも確認できる

(補足)ページ下部のクッキーバナーが必要な場合

tool_policy はログインフロー内の同意に特化しています。未ログインのユーザーにもバナーを出したい場合は、以下を検討してみてください。

  • GDPR Policies Plus(tool_gdpr_plus)tool_policy を拡張してバナーを追加するプラグイン。Moodle 4.x 系への対応状況は公式ページで要確認

まとめ

ステップ やること
Step 1 ハンドラーを tool_policy に切り替える
Step 2 利用規約・PP・クッキーポリシーを作る
Step 3 ポリシーを「有効」にする
Step 4 tool/policy:accept 権限を確認する
Step 5 テストユーザーで動作確認
Step 6 同意状況の管理・改訂ルールを決める

tool_policy は Moodle 3.5 以降コアに組み込まれていて、プラグインを追加しなくても本格的なポリシー管理ができます。Moodle Workplace での法人運用では特に重要な設定なので、サイト構築の最初のフェーズで済ませてしまうのがおすすめです。

参考リンク


※ この記事は Zenn (rublix) にも投稿しています。

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